マーティン・ファクラー特別寄稿

元NYタイムズ東京支局長が警鐘! 新型コロナのフェイクニュースから身を守る方法 「インフォデミック」というもう一つの“感染症”

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ウイルスのデマに流されない5つのスキル

 この状況下でも救いになるのが、フェイクニュースから身を守る方法は現にあるということだ。ここで、アメリカの人々の反応から得られたヒントをいくつか示そう。

① ファクトチェッカーを探せ
 もし英語が読めれば、国際機関が立ち上げたデマ対策のためのウェブサイトがあるので紹介したい。

・EPI-Win:新型コロナウイルスに備えてタイムリーで正確な情報を提供するためにつくられた新しいウェブサイト。
https://www.who.int/teams/risk-communication

・Myth busters:同じくWHOによるウェブサイトで、フェイクニュースを列挙しながら内容を暴露している。
https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/advice-for-public/myth-busters

・POLITIFACT:先述したポインター学院(The Poynter Institute)が、30カ国からファクトチェッカーを集め、著名人の発言やSNS投稿に見られる多種多様なフェイクニュースを取り上げている。ウソの度合いを表す「メーター」のイラストが分かりやすい。
 https://www.politifact.com/coronavirus/

・FACTCHECK.ORG:ペンシルベニア大学アネンバーグ公共政策センターによるファクトチェックのウェブサイト。新型コロナウイルスの数多くのフェイクニュースを明るみにした。 (https://www.factcheck.org/2020/04/the-white-house-isnt-selling-coronavirus-coins/)

・NewsGuard:調査員を雇って、信頼性の低い不誠実な情報を流している著者を特定している。記事の一例(https://www.axios.com/newsguard-launches-first-product-2143fc9e-470f-44b6-b8f1-6006646d26db.html

 多くのアメリカのメディアは、記者たちにファクトチェックを積極的に行わせている。注目すべきメディアを紹介しよう。

・バズフィード・ニュース:政府の警告のでっち上げや、アメリカの感染者数についてのデマなど、様々なフェイクニュースについて報じている。
https://www.buzzfeednews.com/article/janelytvynenko/coronavirus-disinformation-spread

・ワシントンポスト:精力的にファクトチェックを行い、定期的に新型コロナの情報をアップデートしている。
https://www.washingtonpost.com/world/2020/05/02/coronavirus-latest-news/

・ニューヨークタイムズ:ファクトチェックの記者チームを設置。その中には、POLITIFACTから移籍してきた若手気鋭の女性記者Linda Qiuがいる。
https://www.nytimes.com/by/linda-qiu

 また、アネンバーグ公共政策センターのトップで、FACTCHECK.ORGの創設者であるジャーナリストのKathleen Hall Jamiesonは、人々が普段使うメディアと、SARSのフェイクニュースを信じたか否かの関連性を明らかにする研究を行った。

 アメリカ全土の調査をもとに、支持政党やイデオロギーに関係なく、ニューヨークタイムズやワシントンポストやウォールストリートジャーナルといった「クオリティ・ペーパー」の読者が、ウイルスについて最も正確な情報を得ていたことを突き止めた。一方、フォックスニュースのように過度な政治的偏りがあるメディアの視聴者は、最も信頼性の低い知識しか持っていなかった。(https://misinforeview.hks.harvard.edu/article/the-relation-between-media-consumption-and-misinformation-at-the-outset-of-the-sars-cov-2-pandemic-in-the-us/

② 情報の“予防接種”を
 オーストラリアの心理学者で、英ブリストル大学で認知心理学の教授を務めるステファン・レヴァンドフスキによると、陰謀論の議論の矛盾に気が付けば、人々はそうした情報への“免疫”を獲得する。

 レヴァンドフスキは、陰謀論のロジックを分析し、その欠陥を見抜く方法を身につければ騙されなくなると主張する。彼はそれを「プレバンキング」と呼ぶ。すなわち、前もって(pre)暴く(debunking)ということだ。

 アメリカでは、プレバンキングはすでによく知られた手法である。インフォデミックに対する“予防接種”という表現も人口に膾炙している。その一つとして、Bad Newsという有名なオンラインゲームがある。その中でプレーヤーは、現実のフェイクニュースの事例を特定するのだ。(https://www.getbadnews.com)

 このゲームは学校や政府によって採用されている。新型コロナウイルスをはじめとする偽情報に人々を前もって晒すことで、フェイクニュースに対する免疫を強化するのだ。

 プレバンキングは、ソーシャルメディア会社も利用している。例えば、ニュースのコンテンツの横に誤報を示すラベルを付けたりする。ただし、このソーシャルメディア上でのラベルは新たな問題を引き起こす危険性がある。「ウソ」のラベルが付いているがゆえに、多くの読者が興味を掻き立てられてクリックしてしまえば逆効果だ。あるいは、ラベルに慣れてしまうと、全ての情報がすでにチェック済みだと思い込んでしまうかもしれない。

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