テレビの利権を守りたい人たちが合唱する「フジテレビは文春の誤報の被害者」論のインチキを徹底検証!

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フジテレビで10時間以上放映されたやり直し会見


 中居正広の女性トラブルとフジテレビをめぐる問題は、「週刊文春」(文藝春秋)が記事内容について一部訂正したことを受け、流れがおかしな方向にいっている。

「週刊文春」は昨年末の第一報で、トラブル当日の会食について「(被害者の)X子さんはフジ編成幹部A氏に誘われた」ことを記述していたとして、1月27日に「週刊文春 電子版」記事中で「X子さんは中居に誘われた」「A氏がセッティングしている会の“延長”として認識していた」と説明。28日にはあらためて訂正コメントを発表し、謝罪した。

 すると、テレビのワイドショーやニュース、コメンテーター、タレント、著名人たちがここぞとばかりに「週刊文春」を批判。あたかもフジテレビが「文春の誤報の被害者」であるかのような主張を展開し始めたのだ。

 後に理由を詳述するが、これらの多くはたんにフジテレビを擁護したい、あるいは「文春」を攻撃したいという結論ありきの暴論にすぎない。

 その筆頭が、山里亮太だろう。山里はMCを務める『Day Day.』(日本テレビ)1月29日放送でこんなコメントをしていた。

「これ、結局フジテレビは関与してなかったっていうことになるわけでしょ? そうなると、今回のことの騒動の根本が違うわけで」
「週刊誌の間違った情報を真実としてそれを武器にいろんなことが起きてたわけじゃないですか。で、間違ってましたって言ったからって、いままで間違ったことから派生したことはもう取り返しがつかなくて」

 山里は、松本人志の性加害問題や中居のトラブルについては「いまは何も言えない」などとごまかしていたのに、「文春」が訂正を出したとなるや打って変わって饒舌になって、「これでフジテレビは関与してなかったということ」などと強引に“フジテレビ無罪”に結びつけてしまったのである。

 他にも同様のフジテレビ擁護をする番組やコメンテーターが続出していた。

 最近、コメンテーターとして引っ張りだこになっているタレントで放送作家の野々村友紀子も1月30日の『ゴゴスマ~GOGO!smile~』(TBS系)で、「スポンサーが離れて、フジテレビが(27日の)会見でもすごく詰められていた部分って、フジの社員が関与してるっていうところがすごく大きな部分だったと思う」「(文春は)指摘されなければ取りあげもしなかったんじゃないか。これで本当にいいのかな」と、フジテレビが誤報被害で窮地に立っているかのようにコメント。

 カンニング竹山にいたっては、同じ日の『ゴゴスマ』で「文春さんが間違った報道をして、そこが肝だから、フジテレビは文春さんに対し、裁判なり何かを僕はしたほうがいいと思う」「直接、当人同士が連絡を取り合って……ってなると、(フジは)関係ねえなってことになるし」と、フジに訴訟を勧める始末だった。

 もっとひどかったのは落語家の立川志らく、維新の会の前参院議員・音喜多駿、幻冬舎の編集者である箕輪厚介の3人だ。志らくはXに〈フジテレビは上納していなかった可能性が浮上。文春、10時間の記者会見やりなさい。フジは潰れかけたんだぞ〉、音喜多は〈話の前提が大幅に覆りかねない訂正。これは世紀の大誤報になるのでは…。。〉と投稿。箕輪は自身のYouTubeチャンネルで「まったく問題の性質が違くなってしまい、大変重大なこと」「(フジ編成幹部A氏は)社会的には抹殺されてしまった」「それに派生してフジテレビの社長、会長が辞任して、スポンサー何十億って飛んで……それで『すみません、ちょい間違えてました』って怖すぎないですか?」と、すべて文春の誤報に責任を被せる発言をしていた。

 こうした「フジテレビ=誤報の被害者」論は、当事者であるフジの番組でも展開された。同局の『めざまし8』の1月29日放送回では、金子恵美・元衆院議員が「スポンサーが広告の差し止めといった判断の根拠となったのは、文春のフジテレビ社員の関与ではないかというところにもかかわらず、これで訂正、おわびというひとことで済ませていいのか」とコメント、スポンサー引き上げが「文春」の誤報のせいとする主張を展開した。

 また、同じ『めざまし8』1月30日放送回では、社会学者の古市憲寿も「フジテレビだけが10時間の会見をやらされて、『週刊文春』が今回のきっかけをつくったわけですけど、その『週刊文春』がこの文章一枚で終わりってあまりにもアンフェアだと思うんです」などと発言。

 古市は1月31日の『とれたてっ!』(関西テレビ)では「週刊文春、廃刊した方がいいと思います。」とまで言い切っていた。

 さらに驚いたのは、フジの新社長である清水賢治までがこの「文春」叩きの流れに乗っかろうとしていることだ。清水社長は、「文春」の訂正を受けて、「なぜ(訂正が)昨日だったのかなと。10時間以上の会見をやっていましたが、あそこにいらした記者さんがそこまでの時間を使わなくても済んだんじゃないかという気はした」と、「文春」がもっと早く訂正していれば、10時間会見が必要なかったかのように発言。さらに、翌日の取材では、「文春」に対して損害賠償請求の訴訟を起こす「可能性」まで示唆した。

 まったく呆れるほかはない。この連中は事実関係をフジ擁護に有利なように捻じ曲げ、出鱈目な主張を垂れ流していることに気づいていないのだろうか。

 はっきりいうが、フジテレビに対する責任追及の動きは「週刊文春」の“誤報”のせいで始まったわけではない。そのことは、この間の出来事を時系列で整理するだけでも明らかだ。

 次章で改めて報道とメディアの動き、当事者の反応などを一から振り返ってみよう。

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