年末特別企画 リテラの2015年振り返り

差別、でっちあげ、抗争扇動、真相隠ぺい…犯罪・事件報道でマスコミが犯した“7つの大罪”

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
zekkakawasaki_01_151230.jpg
左・元少年A『絶歌』太田出版/川崎市中1殺害事件について伝える国内ニュース(YouTube「ANNnewsCH」より)


 安倍政権による安保法制が大きな注目を浴び、近年にないほど政治的関心が高まった2015年。しかし一方で、凶悪な犯罪や悲惨な事件も相次いだ。特に目を引いたのが少年少女が被害者・加害者になるケースだ。メディアの報道も過熱したが、そこには様々な問題も噴出した。メディアスクラム、加害者だけでなく被害者のプライバシー暴き、ヒステリックな感情報道……。権力に対しては萎縮し過剰な自主規制をする一方、事件報道ではその憂さ晴らしとばかりにいい加減な情報を垂れ流し、書き飛ばす傾向はますます強くなっている。今回の犯罪報道振り返りでは、そんなメディアのありようも含めてお伝えしたい。

■加害者へのハーフ差別、被害者の母親への攻撃…「川崎中1殺害事件」で浮き彫りになった歪んだ視線

 2015年、最も世間を震撼させた事件のひとつが、神奈川県川崎市で起こった中学1年生上村遼太くん殺害事件だろう。2月20日、12歳だった上村くんの全裸遺体が多摩川河川敷で発見され、その1週間後には遊び仲間だった3人の少年が逮捕された。
 被害者が幼さを残す12歳の少年だったこと、加害者は年の離れた遊び仲間だったこと、不良グループの存在など様々な問題が浮上し、多くのメディアが加害者少年たちの鬼畜ぶり、凶悪ぶりを報道していった。
 特にマスコミが血眼になったのが主犯とされる18歳の少年をめぐる報道だった。
「キレると何をするか分からない」「地元でも恐れられている有名なワル」「上村くんに万引きを強要していた」
 しかし、この主犯少年Aについては、後に「地元で有名なワル」などではなかったことが明らかになっている。万引きを強要したこともなく、上村くんを殴ったのも一度きり。別のグループとの対立で上村くんに裏切られたと誤解したから、という見方が有力だ。
 だが、マスコミは事件をわかりやすい構図にあてはめ、加害者の少年やその家族のプライバシーを暴きたてた。「週刊新潮」(新潮社)3月12日号では加害者少年の実名と顔写真を掲載。この少年の母親がフィリピン人だったことから、中には、明らかなフィリピンとのハーフに対する差別としか思えないような記事もあった。
 また、この事件では加害者だけではなく、被害者の上村くんの母親に対しても批判、バッシングが噴出した。ネットでは深夜に12歳の子供を外出させた母親への批判コメントが溢れたが、その急先鋒となったのが作家の林真理子だ。複数の媒体で「母親は何をしていたのか」「育児放棄」などと少年の夜の行動を監視できなかった母親を糾弾する。5人の子どもをもつシングルマザーで深夜もダブルワークしているという上村くんの家庭環境への配慮は欠片もないものだった。
 そういう意味では、川崎中1事件報道はメディアの社会構造への意識の欠如、偏見が露わになったともいえるだろう。主犯格の少年の初公判は来年2月2日に行われる予定だが、その際も、再び薄っぺらい報道が繰り返されるのだろうか。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

ネット私刑(リンチ) (扶桑社新書)

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

差別、でっちあげ、抗争扇動、真相隠ぺい…犯罪・事件報道でマスコミが犯した“7つの大罪”のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。マスコミ殺人編集部の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 吉村洋文知事は「武富士」の盗聴犯罪を隠蔽するスラップ訴訟の代理人に
2 安倍政権の「Go To」批判封じを『ひるおび』八代弁護士がポロリ
3 大坂なおみが黒人差別抗議でキレキレ
4 安倍が横田早紀江さんを無視している
5 大村知事リコールに高須克弥、百田尚樹、有本香らが勢揃い…
6 元家族会の蓮池透が「安倍は嘘つき」
7 日本のネトウヨにも聞かせたいビリー・アイリッシュの反差別メッセージ
8 葵つかさが「松潤とは終わった」と
9 吉村知事VS大村知事バトル 本当に正しいのはどっちなのか?
10 ツイッタージャパンの反差別に対する消極性 代表と産経ニュースの関係
11 持続化給付金で中小企業庁長官が電通と接触、「Go To」3000億円も電通か
12 安倍が拉致問題国民大集会を「公務」理由に中座、自宅へ!
13 持続化給付金にさらなる疑惑もワイドショーは電通タブーで報じず
14 NHKが持続化給付金疑惑をスルー、『日曜討論』で野党排除
15 ショーンKと同じ!安倍首相も学歴詐称
16 持続化給付金の作業を電通の“トンネル会社”が! 749億円の税金が
17 検察庁法案改正賛成でわかった維新と吉村洋文知事の正体!
18 生活保護カットで他の低所得者も困窮
19 橋下徹が岩上安身リツイート裁判で矛盾を追及され逆ギレ!
20 箕輪のセクハラを告発した女性が暴露したエイベックス松浦の疑惑
1 持続化給付金の作業を電通の“トンネル会社”が! 749億円の税金が
2吉村洋文知事は「武富士」の盗聴犯罪を隠蔽するスラップ訴訟の代理人に
3安倍政権がコロナ「専門家会議」の議事録を残さないと明言する理由
4持続化給付金にさらなる疑惑もワイドショーは電通タブーで報じず
5安倍首相が「日本のコロナ対策が世界をリード」と自慢するトンデモ!
6松本人志が「黒川検事長は新聞記者にハメられた」と陰謀論で擁護!
7安倍首相「黒川検事長の“訓告”は検事総長の判断」はやはり嘘だった
8安倍政権の「Go To」批判封じを『ひるおび』八代弁護士がポロリ
9 つるの剛士「安倍首相にお疲れ様を言いませんか?」の的外れ擁護
10大村知事リコールに高須克弥、百田尚樹、有本香らが勢揃い…
11吉村知事VS大村知事バトル 本当に正しいのはどっちなのか?
12内閣支持率「27%」だけじゃない、安倍政権の危機を表すデータ
13持続化給付金で中小企業庁長官が電通と接触、「Go To」3000億円も電通か
14NHKが持続化給付金疑惑をスルー、『日曜討論』で野党排除
15検察が河井陣営への“安倍マネー1億5千万円”で自民党本部関係者を聴取
16テラハ木村花さんの死を政権批判封じに利用する政治家と安倍応援団
17ツイッタージャパンの反差別に対する消極性 代表と産経ニュースの関係
18木村花さんの死の責任はSNS 以前にフジ『テラスハウス』にある!
19日本のネトウヨにも聞かせたいビリー・アイリッシュの反差別メッセージ
20大坂なおみが黒人差別抗議でキレキレ
マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄