左巻き書店の「いまこそ左翼入門」①

虐げられた無名の者たちよ、ピケティよりもマルクス『共産党宣言』を読め!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
kyousantousengen_01_150410.jpg
『共産主義者宣言』(訳・金塚貞文/太田出版/1993)

 世界が赤く見えないか。

 それは戦火で街が炎に包まれているからか、流された血が大地をおおっているからか。あるいは憤怒で自分の眼球が血走っているためなのか。

 世界がどこまでもくすんだ灰色にしか映らない者は、引き攣った愛想笑いを浮かべながら隣人にへつらっていろ。世界が赤く染まって見える者は、途方にくれる前に左巻き書店をたずねろ。ここには、やつらに見えないものが見えてしまう者の存在に根拠を与える本が揃えてある。

 しばらく休業をもらった左巻き書店もいよいよ新装開店。左巻き書店の本棚に並ぶ本の中から、いくつかの視点に沿ってブックガイドをお届けしていく。まずは「いまこそ左翼入門」だ。世の中がそろって右へならえをし、左翼といえば唾されるいま。ほんとにみんな左翼が何かわかってるのかよ。この体制への反抗を企てる者も、左翼を批判する者も。いま、だからこそ、左翼とは何かを学べ。

「いまこそ左翼入門」ブックガイドの第一弾はもちろんこれだよ。そう。『共産党宣言』。

『共産党宣言』はカール・マルクスと盟友フリードリッヒ・エンゲルスによって共産主義者同盟の綱領として執筆された。綱領とは組織の基本方針を示した文章だ。1848年ロンドンで刊行。マルクスは執筆当時29歳の若さだった。革命組織の綱領として書かれた本書は、『資本論』などの理論研究書ではなく実践的な政治文書だ。ドイツ語原文にして1万語、岩波文庫にして50ページのこの薄いパンフレットは、世界各国語に翻訳され、長年にわたって読み継がれてきた。流布した冊数としても影響力としても『聖書』に比せられることもある。

 ところが、資本主義の暴威やその限界に関する議論がこれだけ世界中で盛りあがっているのに、『共産党宣言』は打ち捨てられたままに見える。資本主義の批判において『共産党宣言』こそが、有効な武器になるはずだのに。

 なるほど確かにいま、マルクスをマルクスとして読むのが、つまりテキストをテキストとして読むのが困難になっている。まずは『共産党宣言』を読むことを阻んでいる障壁を取り除き、もっと自由な読み方ができるテキストとして提示することからとりかかろう。

 テキストをテキストとして読めないのは、『共産党宣言』を読む際に、この書が執筆されて以降の歴史を読み込んでしまうからだ。もちろん読者も歴史に規定されているからには、それはどんな読書にも常につきまとう。しかし、『共産党宣言』においては特に過剰である。例えば「共産党」という一語をとってみても、日本共産党、あるいはソ連や中国の共産党、そしてその国家体制までを読み込んで理解してしまうのだ。マルクスの時代に存在しなかったものをマルクスのテキストに織り込んで読んでしまっている。

 それは読者の政治意識・歴史意識がそうさせているだけではなく、翻訳という作業自体が政治的な改作を忍び込ませ、巧妙に読者を誘導しているからなのだ。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

共産主義者宣言 (平凡社ライブラリー)

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

虐げられた無名の者たちよ、ピケティよりもマルクス『共産党宣言』を読め!のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。トマ・ピケティ共産主義共産党左巻き書店の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 石原伸晃の無症状ですぐ入院に非難殺到! 入院中の国立大学病院は救急お断りも
2 バイデン大統領就任でも日本のトランピストのフェイクは止まらない
3 ぼうごなつこ『100日で崩壊する政権』は安倍政権のインチキの記録
4 河野太郎の「ワクチン接種5月」デタラメ呼ばわりこそフェイクだ
5 大統領選不正デマを拡散した日本のトランプ応援団の妄言総まくり!
6 ノーベル賞・本庶教授が「PCR検査の大幅な拡充」訴えるも厚労省は…
7 菅首相が「明るい話聞いた」相手は「コロナはインフル並み」が持論
8 葵つかさが「松潤とは終わった」と
9 特措法・感染症法の改正案が酷い 嘘の申告した感染者には懲役も
10 蓮舫の菅首相演説事前公開はルール違反じゃない おかしいのは批判する側だ
11 もはや権力の「中の人」…御用ジャーナリスト5位〜2位、大賞を発表
12 稲田防衛相はレイシストと蜜月と最高裁が
13 安倍政権でも菅政権でも権力大好き! 御用ジャーナリスト大賞10位〜6位
14 小倉優香の番組中「辞めさせてください」の本当の理由は番組のセクハラ
15 櫻井よしこ、西岡力、文春…朝日・慰安婦報道叩きのデタラメが次々露呈
16 読売新聞「菅首相が疲労」報道は安倍政権末期にもあった官邸の作戦
17 菅首相のポンコツが止まらない!「変異種」を忘れ、患者を「お客さん」
18 吉村知事のずさんな政策決定と責任転嫁の手口を“8割おじさん”西浦教授が暴露
19 グッディ高橋克実が北朝鮮危機で本音
20 菅首相ポンコツ会見で「国民皆保険の見直し」というグロテスクな本音ポロリ
1 石原伸晃の無症状ですぐ入院に非難殺到! 入院中の国立大学病院は救急お断りも
2菅首相のポンコツが止まらない!「変異種」を忘れ、患者を「お客さん」
3ノーベル賞・本庶教授が「PCR検査の大幅な拡充」訴えるも厚労省は…
4もはや権力の「中の人」…御用ジャーナリスト5位〜2位、大賞を発表
5菅首相ポンコツ会見で「国民皆保険の見直し」というグロテスクな本音ポロリ
6吉村知事のずさんな政策決定と責任転嫁の手口を“8割おじさん”西浦教授が暴露
7特措法・感染症法の改正案が酷い 嘘の申告した感染者には懲役も
8河野太郎の「ワクチン接種5月」デタラメ呼ばわりこそフェイクだ
9 菅首相が「明るい話聞いた」相手は「コロナはインフル並み」が持論
10蓮舫の菅首相演説事前公開はルール違反じゃない おかしいのは批判する側だ
11 読売新聞「菅首相が疲労」報道は安倍政権末期にもあった官邸の作戦
12バイデン大統領就任でも日本のトランピストのフェイクは止まらない

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄