世界が注目する経済学者・ピケティが来日して“アベノミクス”をケチョンケチョンに!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
Piketty_150204.jpg
アベノミクスを一蹴するピケティ氏(NHK『パリ白熱教室』より)


『21世紀の資本』で大ブレイク中のフランスの経済学者、トマ・ピケティ氏(43歳)が疾風のごとく日本を駆け抜けた。1月29日朝にエールフランス機で成田に到着、3泊4日の滞在中に3カ所でのシンポジウムや日本記者クラブでの記者会見、各種メディアの単独インタビューなどを精力的にこなし、2月1日午後にはパリへトンボ返りという過密スケジュールだった。

 話題の著書は世界十数カ国で発行され、700ページを超える学術書にもかかわらず累計150万部を突破した。日本語版も昨年末に発売された。1冊5940円で重さ約1キロ、厚さ約5センチの分厚い本がすでに13万部という、ある意味“異常な”ブームになっている。中身は何が書いてあるかというと、要は資本主義社会においては持てる者(富裕層)と持たざる者(貧困層)の経済的不平等(格差)が徐々に広がっていくのが必然で、このまま放置すれば「バルザックの時代のような」一部の裕福な不労所得者が多数の貧困層を支配する時代が来る、という話だ。

 これが経済学に与えた衝撃は大きかった。というのも、それまでの主流派経済学ではサイモン・クズネッツが主唱していた「資本主義が発展すると、一時的に格差は広がるが、やがて縮小する」が定説になっていたからだ。ピケティ氏の主張が真実ならば、これが180度ひっくり返ることになるわけだ。

 それは「r>g」=資本収益率(r)は経済成長率(g)を常に上回るというシンプルな不等式で説明される。ザックリ言うと、資本主義社会では土地や株に投資して得られる収益(不労所得)の上昇は、労働によって得られる収益(賃金)の上昇より“常に”大きい。つまり、広大な土地や株を持っている人はそこから得られる賃料や配当だけで働かずに優雅な暮らしができるが、労働者は汗水たらしていくら頑張っても絶対に追いつくことはできない。それどころか、その差は開く一方だという。

 この法則をピケティ氏は世界20カ国以上、過去200年以上の税務当局のデータを15年がかりで集計・分析することで明らかにした。それによると、2つの世界大戦と累進課税の強化によっていったんは縮小した格差が80年代以降に再び拡大し始めた。とくにこの傾向はアメリカで顕著で、上位10%の富裕層が総所得に占めるシェアは、1980年の34%から2012年には50%にまで急上昇して、格差の激しかった第2次世界大戦前の水準をも超えているという。アメリカで労働者平均の300倍を優に超える超高額報酬を得るスーパー経営者が登場したのもこの頃だ。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

21世紀の資本

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

世界が注目する経済学者・ピケティが来日して“アベノミクス”をケチョンケチョンに!のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。アベノミクストマ・ピケティ安倍晋三政策野尻民夫の記事ならリテラへ。

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄