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自民党がまた『モーニングショー』に圧力! 内閣府政務官の和田政宗が青木理発言に「事実でない」と噛みつくも嘘は和田のほうだった
和田政宗参院議員がツイッターでイチャモン
安倍自民党がまたぞろ『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)に対し、圧力を仕掛けている。
安倍政権のコロナ対応を厳しく批判し続けている同番組については、内閣官房、厚労省、自民党広報のツイッターが一斉に反論を仕掛けるも、その反論じたいがデマだったことが明らかになり、「報道圧力だ」と批判を受けたばかり(詳細はhttps://lite-ra.com/2020/03/post-5296.html)。
ところが、連中はまったく懲りていなかったらしい。今度はコメンテーターの青木理氏の発言について、自民党の広報副本部長から国交大臣政務官兼内閣府大臣政務官に出世したネトウヨ議員の和田政宗参院議員が、ツイッターでイチャモンをつけてきたのだ。和田議員に煽られ、ネトウヨや安倍応援団が一斉に青木氏や玉川徹氏、『モーニングショー』を炎上攻撃する事態となっている。
攻撃の対象になったのは、3月31日放送回。この日緊急事態宣言について議論されたのだが、そのなかで、宣言が出された場合に懸念される点について、まず、玉川徹氏がこう語った。
「(緊急事態宣言が出されると)集会も禁止できるし、NHKに対する指示もたしかできるんですね、放送内容に。で、民放にも、最初できると言っていたんですよ。
それは検閲ですよね、簡単に言えば。だから、これ私権の制限が入ってくるんだけれども。法律には、恣意的な、この感染症と関係ないようなことで介入すれば、それは僕ら黙ってないですからね。黙ってないので、メディア全体がこの緊急事態宣言が発令、出た後は、チェックしなきゃいけないですね。
たとえば、集会も、本当にその集会が感染を蔓延させる恐れがある集会だというふうに認める合理的な根拠がなければいけないわけです。
それから、たとえば、NHKに対する指示に対しても、その放送が明らかに感染症を広げる可能性があるというふうに認識できる合理的な説明がなければ、介入してはダメなはずなんですね。
だから、これは事後のチェックだけじゃなくて、同時に政府の動きはチェックしていかなきゃいけない。
もちろん感染症を広げないために、いろんなことはやらなければいけないんだけれども、かといって、それを濫用されるということに対しては、我々が必ずチェックしていくと。で、もしも、この番組なんかに、そういうふうなことが来たら、僕、生放送で言いますから」
私権制限にも関わる大きな権限を権力者に与える緊急事態宣言が出された場合は、普段以上にメディアによる権力チェックが必要だと訴えたのだ。玉川氏の発言を受け、青木氏も権力によるメディア介入の危険性について指摘した上で、こう話した。
「実際に、この番組を名指しして、政府だったり厚労省だったり、自民党のツイッターで、『嘘じゃないか、この番組は』と言ってて、実はそちらが嘘だったということも、起きてるわけですね。
玉川さんがおっしゃるように、メディアがチェックしなきゃいけないというのは、その通りなんだけれども、残念ながらそんなメディアばかりではないので、よっぽど目を凝らしてこういうところをチェックしておかないと、集会の自由の弾圧だったりとかメディア統制だったりとかということになりかねないので。必要だとしても、本当によくよく目を凝らしながら見ておかないと危険ですよっていうところは。まさに、本当に緊急事態宣言出そうなので、いまだからこそ、そういうところはきちんと注意しなくてはいけませんよということは申し上げたい」
玉川氏も「残念ながら、メディアのなかには、そういうふうな政府の動きがあると、おとなしく言うこと聞いちゃうようなところがかなりあるのが、現実だよね、たしかに」と同調した。
和田政宗〈自民党のツイッターは嘘はついていない〉の“嘘”を検証!
青木氏と玉川氏の懸念はまさに的を射たものだ。周知のとおり、安倍政権はメディアに対して陰に陽に圧力をかけ、政権に批判的な報道をことごとく封殺してきた。しかも、新型コロナ感染拡大の危機に乗じて、これまで以上にメディア介入をしてきている。青木氏が指摘した『モーニングショー』を名指しした圧力はその典型といえる。
ところが、この青木氏らの発言から1時間も経たない、まだ番組放送中の9時22分、同日自民党の和田政宗参院議員がこんなツイートをしたのだ。
〈先程テレビ朝日「モーニングショー」で、緊急事態宣言とメディアの話の中で青木理氏が「この番組も自民党のツイッターで批判されたが、向こうのほうが嘘だった」という内容の発言をしたが、党のツイッターは嘘はついておらず事実ではない。
皆様はこうした発言をどう思われるでしょうか。〉
「どう思われるでしょうか」などと一見穏当を装っているが、この和田議員のツイートを合図に、ネトウヨたちが青木氏や玉川氏、『モーニングショー』への攻撃を展開していた。
しかし、和田議員の〈自民党のツイッターは嘘はついておらず事実ではない〉という主張こそ真っ赤な嘘だ。
前述したように、『モーニングショー』については、厚労省、内閣官房、自民党広報の3者が攻撃を仕掛けてきていた。そのうち、マスク配布の不備について報道をデマだと攻撃した厚労省は自分たちの間違いを認めている。
一方、自民党広報と内閣官房が攻撃したのは、政治アナリストの伊藤惇夫氏の「新型インフルエンザ等対策特措法の改正」についてのコメントだった。3月6日、自民党広報のアカウントは以下のようにツイートした。
〈3/5テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」で「総理が法律改正にこだわる理由は『後手後手』批判を払拭するため総理主導で進んでいるとアピールしたい」との政治アナリストの発言がありました。
#新型インフルエンザ等対策特措法 の改正を目指す理由は?(1/2)〉
〈#新型コロナウイルス はウイルスとしては未知のものではないため「未知のウイルスしか対象としていない」現行の法律が適応できません。不測の事態に備えるため「打てる手は全て打つ」というのが法律改正を目指す理由です。
引き続き、新型コロナウイルス 対策への皆さんのご協力をお願いします(2/2)〉
ちなみに自民党広報アカウントに先立って、内閣官房もほぼ同内容のツイートも投稿していたが、そもそも、政権の思惑を分析する論評にまで反論してくるということ自体、明らかな言論弾圧だろう。
しかも、それだけでなく、この反論の内容じたいが青木氏の言うとおり「嘘だった」のだ。
自民党広報のツイッターは「特措法では未知のウイルスしか対象としていない」などと主張しているが、特措法にはそんなことは一言も書いてない。一方、感染症法では、新感染症は〈既に知られている感染性の疾病とその病状又は治療の結果が明らかに異なるもの〉とある。普通に考えれば新型コロナもこれにあたると解釈できるし、特措法が適用できるはずだ。
これは何も本サイトだけが主張していることではない。政府の新型コロナ専門家会議のメンバーで特措法の立法にも専門家会議議長として携わった岡部信彦・川崎市健康安全研究所長も、国会で“新型コロナは特措法に適用可能”だと認識を示している。
緊急事態宣言のネット情報をめぐり西村康稔コロナ担当相が「警察に相談」と恫喝する異常
政府の専門家会議メンバーさえも「適用できる」としているのに、「新型コロナは特措法の対象にならない」と主張し、ありもしない条文をでっちあげる。これのどこが「嘘はついていない」ことになるのか。
今回も、事実でないことを発言したのは、青木氏ではなく、和田議員のほうなのだ。というか、そもそもこの非常時に、こんな細かいことをいちいちあげつらってくるというのは、自民党がコロナ対応で国民の命を救うことより、批判封じ込めに血道を上げていることの証だろう。
実際、安倍政権や自民党の言論圧力の動きはこれだけではない。3月末に「4月1日に緊急事態宣言が出る」というデマ情報がネット上で流れ、菅義偉官房長官と安倍首相が「デマ」だと相次いで否定するということがあった。
このネット情報で「親しい記者に緊急事態宣言を出すということを漏らした」とされていた西村康稔コロナ担当相が、「名誉棄損や風説の流布による業務妨害にもなりえるので警察に相談している」などと話したのだ。
公人中の公人である閣僚は、厳しい批判や揶揄も甘受するべき立場である。ましてや緊急事態宣言というのは、私権制限もともなう重大な政策だ。それに関して、いつ出るのか、どうしてそのタイミングになるのか、それが適切なのか、などあらゆる角度から推測・論評が流れるのは、ある意味当然の話だ(そもそもこうした真偽不明の情報が出回るのは、安倍政権のこれまでの数々の情報隠蔽が招いている不信感と、またどういう状況になったら出すという具体的見通しを示していない政府の怠慢に寄るところが大きい)。
それが、名誉毀損で民事提訴どころか「警察に相談」など、口にするだけでも脅し以外のなにものでもない。言論封殺そのものだ。
1日に発表された「マスク2枚」もそうだが、後手後手+場当たり対応続きで、感染防止のためのまともな検査・医療体制も補償策も打ち出せない安倍政権の新型コロナ対応には、現段階でも、多くの国民から批判の声があがっている。
このまま感染が広がれば、さらに批判が高まるのは確実で、そうなれば、安倍政権はもっと露骨に「国難だから」「国民一丸にならなければ」「いまは批判するときではない」などと批判封殺の動きに出てくるだろう。
緊急事態宣言が出れば、なおさらだ。言っておくが、安倍首相がなかなか緊急事態宣言を出さないのは国民の人権に配慮しているからなどではない。経済の影響しか頭にない“影の総理”今井尚哉首相秘書官が止めているからだ。いったん緊急事態宣言を出せば、それを最大限に利用して、報道圧力を高めてくるだろう。
しかし、玉川氏や青木氏が指摘していたとおり、言論弾圧体質の安倍政権が長年続いてきた結果、本来権力チェックが役割のはずなのに政府の圧力に弱腰になっているメディアが多く、御用メディアも跋扈している。
安倍政権の新型コロナ対応とともに、メディア圧力にも一層、監視の目を向け、おかしなことがあればその都度声をあげていかないと、本当にこの国は恐ろしいことになってしまうだろう。
(編集部)
最終更新:2020.04.03 11:29
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