Netflix版『新聞記者』の踏み込みがすごい! 綾野剛が森友問題キーマン官僚に、安倍御用ジャーナリストはあの人が…

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政権御用ジャーナリスト・山口敬之氏を彷彿とさせるユースケ・サンタマリア

 だが、本作でもうひとり注目すべき登場人物は、ユースケ・サンタマリアが演じる豊田進次郎だろう。

 豊田は五輪招致にもかかわる新報エージェンシーに所属しながら内閣官房参与として政権に多大な影響力を誇り、総理補佐官の中川久志(佐野史郎)や内閣情報調査室の多田智也(田中哲司)とはツーカーの仲。首相の素顔を伝えるヨイショ本を執筆したり、テレビではコメンテーターとして政権擁護を繰り出しているが、じつは豊田はAI技術の開発に深く関与し、経産省から出ていた多額の助成金をめぐって逮捕状が出されながらも、逮捕直前で取りやめになるという疑惑があり……という人物だ。

 これまた現実に安倍政権下で暗躍したさまざまな人物や事実を下敷きにした脚色が施されてはいるが、この豊田という人物のモデルの核となっているのは、あきらかに山口敬之氏だろう。

 ご存知のとおり、山口氏といえば、元TBS記者として「安倍首相にもっとも近いジャーナリスト」と呼ばれていた人物で、安倍首相の礼賛本『総理』(幻冬舎)を出版したり、森友学園問題でもワイドショーに出演しては官邸が流したと思しきデマ情報を喧伝するなど政権擁護の尖兵役を担っていた。さらに、伊藤詩織さんが告発した山口氏から受けたという性暴力をめぐる事件では、伊藤さんの相談を受け捜査を担当していた高輪署の捜査員が逮捕状を持って成田空港で山口氏の帰国を待ち構えていたにもかかわらず、逮捕直前に警視庁刑事部長の指示によってストップがかかっていたことが判明。その上、この問題について「週刊新潮」(新潮社)が山口氏に取材をかけると、山口氏がその対応を内閣調査室のトップで“官邸のアイヒマン”との異名を持つ北村滋内閣情報官(当時)に相談していた可能性まで指摘されている。

 しかも、Netflix版『新聞記者』では、前述したように豊田はAI開発の助成金問題をめぐる疑惑を抱えているという設定だが、山口氏も「第3の森友事件」と呼ばれたスーパーコンピュータをめぐる助成金詐取事件でも名前が取り沙汰された。それは経産省所管法人からの助成金4億円超を詐取した容疑でスパコン開発会社「ぺジーコンピューティング」の齋藤元章社長が逮捕された事件で、山口氏が齋藤社長と昵懇の間柄であったことや同社の顧問を務めていたことが判明。山口氏が安倍首相や麻生太郎財務相(当時)など政権中枢に食い込んでいることから、事件の背景に官邸の関与があったのではないかという疑惑が囁かれた。

 このように、政権をめぐって実際に起こった事実や疑惑を、フィクションを交えながら組み合わせ、生まれたのが、ユースケ・サンタマリア演じる豊田というキャラクターなのだ。

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