GLAYの新アルバム収録曲「元号」がすごい! 令和ブームに逆らい戦争への反省呼びかけ、社会の弱者排除を批判

2019.10.28 07:59
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GLAYの新アルバム『NO DEMOCRACY』


 90年代から2000年代にかけて社会現象とも言える人気を博したGLAY。かつては「ビジュアル系バンド」「ラブソング」というイメージが強かったが、10月、『NO DEMOCRACY』というタイトルのアルバムをリリースして、話題を集めている。

 リーダーのTAKUROはインタビューでこのタイトルをつけた理由について、「内輪だけで民主主義と浮かれていても、いざ一歩外に出てみると戦争や宗教問題など様々な理由から、未だ民主主義が確立されていない理想とは程遠い現実がある」と語っている(2019年8月17日付ニュースサイト「音楽ナタリー」より)。つまり、『NO DEMOCRACY』はいまの世界情勢や政治状況に対する強い危機感がストレートに表現されたタイトルなのだ。

 実際、このアルバムには、鋭い政治的メッセージが含まれた曲が複数収録されている。例えば、その一つが「戦禍の子」だ。

〈国を奪われ家族とはぐれ/国境を目指す民に/機関銃〉〈今度生まれてくる時は/ちゃんと見つめてもらいなよ/ちゃんと守ってもらいなよ/ちゃんと愛してもらうんだよ〉

 この歌詞からもわかるように、「戦禍の子」は、難民問題に真正面から取り組んだ曲だ。TAKUROによると、シリア難民の支援活動を行っているSUGIZO(LUNA SEA)から話を聞いたのがきっかけになったという。日本のメジャーバンドがこうした題材を扱うだけで異色だが、作詞のTAKUROはGLAY公式サイトのインタビューのなかで、この曲にさらなる深い意味を込めたことを明かしている。

「日本における子供の貧困っていうのも、実は隠れた数値ではものすごく高いらしくて、そういうことも同一線上にもってきたいと思いました。どれくらい悲劇かっていうのは、当事者にしかわからないので、「難民は不幸せで、日本にいたらとりあえず幸せでしょ?」ということでもないなって。誰かの痛みはその人にしかわかり得ない、そうなってくると、壮大な地球の裏側のことを歌っているようで、実はすごく身近なことを歌ってるような気がしてきて」

 日本人がほとんど無視している海外の難民問題に光をあてるだけでなく、それが日本でも現在進行形で起きている事態と地続きであること見抜き、表現する。これはTAKURO、そしてGLAYが非常に高い政治意識をもち、いま起きている様々な社会問題をきちんと勉強していることの表れだろう。

 さらに、驚いたのは、アルバムのラストを飾る「元号」という曲だ。平成から令和への代替わりでは、周知のように日本中が祝福ムード一色に染まり、メディアは元号の根本的な問題点に触れることもなく、無自覚に「日本の歴史を再認識」「新しい時代の幕開け」などと報じた。そして、芸能人やクリエイター、アーティストたちもまるで何か素晴らしい未来の代名詞であるかのように、「令和」という元号を使っていた。

 もしや、GLAYも同じパターンかと思いきや、しかし、「元号」ではこんな詞が歌われていた。

〈かつて兵士たちは目隠しのままで玉砕しました/消え去った祖国の夢と/今もあの戦争(とき)を悔やんでいるならば/声をあげて欲しい 新しい元号の下で〉

 昭和、平成、令和へと時代が移り変わっていく時の流れを歌う中で、昭和の時代に日本が起こした戦争に言及し、新しい元号になったいまこそ、そのことへの反省の声をあげるべきだと明言していたのだ。これは明らかに「令和」の時代、安倍政権下で進む、戦争肯定、歴史修正主義に抵抗する文脈から出てきた歌詞だろう。

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