安倍首相宅放火未遂事件「18年目の真実」●山岡俊介(前編)

安倍事務所が暴力団に通じる人物に選挙妨害を依頼していた決定的証拠! 「安倍代議士に選挙妨害を報告」の記述も

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「これがあるかぎり絶対に捕まらん」とブローカーが口にしていた念書の存在

 放火事件の裏には、安倍事務所のとんでもないスキャンダルが隠されていたわけだが、さらに警察関係者に取材を進めると、この事件は、当初、闇に葬り去られるはずだったことも明らかになった。実際、放火された時点で、安倍サイドは小山が犯人であることは察しがついていたはずだが、警察に捜査を依頼せず、山口県警も地元の名士である安倍を忖度して動こうとしなかった。その結果、小山は3年もつかまらなかった。

 それは、おそらく、小山が前述の竹田筆頭秘書がサインしたとする念書をもっていたためだろう。もし事件化して小山が取り調べや法廷で念書を持ち出したら、安倍事務所の選挙妨害が明るみに出かねない、そう考えたのではないか。

 実際、小山は前出の地元関係者にこの念書をちらっと見せ、こううそぶいていたという。

「これがあるかぎり絶対に捕まらん」

 事件から3年経って、小山や実行犯の工藤会系組長らがいきなり逮捕されることになったのも、安倍の地元の山口県警でなく、福岡県警が暴力団・工藤会の一斉摘発をしている過程で、この事実をつかんだためだった。政治家とは関係のうすい暴力団担当の部署が捜査していたため、しぶる山口県警を押し切って、事件化に踏み切ることができたのだ。一応、メンツを立てるために山口県警と合同捜査ということにしていたが、実質は福岡県警が捜査を仕切っていたという。

 だが、経緯はどうあれ、福岡県警が捜査に動いたことで、闇に葬り去られるはずだった安倍宅放火事件は明るみに出た。そして、筆者の取材をもとに、「噂の真相」がトップ特集で、この事件の裏に安倍事務所の選挙妨害依頼があったことを記事化し、大きな話題を呼んだ。

 おそらくこれで一気に火がついて、週刊誌はもちろん、新聞やテレビも安倍のことを徹底的に追及するだろう。筆者も「噂の真相」編集部もそう考えていた。

 しかし、現実は逆だった。どこのメディアもこの記事を後追いしなかったのである。筆者や編集部には、新聞や週刊誌の問い合わせが何件もきたが、結局、報道したマスコミは皆無だった。

 当時、「なぜ記事にしなかったのか」とメディア関係者を問い詰めると、必ず返ってきたのが、「当事者の小山が収監されていて、証言が取れないから」「物証である念書があれば」という答えだった。しかし、他の政治家のケースでは、当事者証言のないまま、記事にしているケースはいくらでもある。実際は、飛ぶ鳥落とす勢いだった安倍晋三に腰が引けたというのが真相だろう。

 実際、2006年10月、安倍第1次政権が誕生したタイミングで、「共同通信」がこの件を記事にしようとしたことがあった。共同通信は拘留中の小山氏に面会し証言を取っていたというが、上層部の判断で結局、記事は潰されてしまった。記事がつぶされたいきさつは月刊『現代』(06年12月号)で元共同記者の魚住昭、青木理のふたりが「共同通信が握りつぶした安倍スキャンダル」と題してレポートしている。

 しかし、そうはいっても、もっと決定的な証拠を提示しなければ、マスコミが動かないのも事実だった。鍵になるのは、小山自身が「これがあるからワシはつかまらん」といっていた念書の存在だった。念書の現物があれば、マスコミも動くだろう、そう考えた筆者はその後もしつこく取材を続けた。

 3年前には、念書にサインしたとされる筆頭秘書の竹田の自宅を2日続けて直撃したこともある。竹田は念書の存在は認めたが、内容は読まなかったとシラを切った。さらに取材を繰り返すつもりだったが、竹田は一昨年に死去し、取材は叶わなくなった。

 拘留中の小山にもアプローチしたが、反応はなかった。小山は裁判でも一切、念書のことは持ち出さなかった。そして、懲役13年の実刑判決を受け、刑務所に収監されたため、その後、小山とは連絡を取れなくなってしまった。

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