山口組分裂で戦争にならないのも当然? 暴力禁止、親子盃も省略、実は刺青入れてない…現代ヤクザの意外な日常

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

 暴力を振るわないヤクザというのはなかなかイメージが湧かないが、それにはきちんとした理由がある。

〈現在では、大きな暴力団は他の組を相手取った抗争をしないようにしているばかりか、実質的に組員の喧嘩も禁じています。というのは、民法や暴力団対策法で定められた組長に対する「使用者責任」を法的に追及されることを恐れているからです。
 もし傘下の組員が誤射や流れ弾で一般人や警官を殺傷した場合、本人や遺族に裁判を起こされ、組の一番トップ、山口組なら組長の司忍が損害を賠償することにつながってしまうためです〉(溝口敦『暴力団』)

 法的な締め付けが厳しくなったいま、ヤクザ映画で描かれるようなヤクザはもうこの世には存在しないのである。また、現在の暴力団の意外な姿はこれだけにとどまらない。ヤクザ映画では、高級そうなスーツを着こなし、女性にもモテモテの姿が描かれるが、それも昔の話だというのだ。

「科学警察研究所報告」1981年7月号におさめられている、組員に「なぜ暴力団に入ったのか」と聞いた調査によると、49%もの組員が「格好のよさにあこがれて」と回答したとの報告が残っているが、それから20年以上の時を経たいま、暴力団は若い人のリクルートに苦慮している。

 その理由は、「シノギ」としてきた違法薬物の取引、恐喝、賭博、ノミ行為などで稼ぎがなくなってきたことにより、ヤクザ自身、その予備軍である不良少年たちに「あこがれ」を喚起するような豪奢な生活ができなくなったことにある。それには、「暴力団排除条例」が大きな影響を与えている。これにより、上記のような商売の他にも、「みかじめ料」をあてにするようなビジネスが不可能になった。また、現在では条例により、暴力団系の土建会社・建築会社は公共工事の下請けに入ることも難しい。

〈暴力団の末端組員は、一般人が苦しい以上に、生活が苦しいのです。民間アパートを借りられず、車の中で寝泊まりしているホームレス一歩手前の組員さえいます。
 なぜアパートを借りられないのかといえばお金がないからですが、もう一つ全国で暴力団排除条例が施行され、暴力団は新しく繁華街で組事務所を開けなくなりました。条例に前後して、警察による行政指導が強まり、組事務所ばかりか、民間アパートでも保証人がなくては貸借することが難しくなりました。「暴力団の組員」でないに○をつけさせる書式も差し出さなければなりません〉
〈都内のマンションで部屋を借りられないのは暴力団事務所ばかりではなく、組員も同じです。借りるためにウソをついたり、他人の名義を使うと、後で詐欺などの容疑や罪名で逮捕される危険があります。
 こうして暴力団組員は公共住宅からはもちろん、民間の不動産からも閉め出されます。銀行口座もつくれませんから、子供の授業料も自動引き落としにできません〉

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

山口組分裂で戦争にならないのも当然? 暴力禁止、親子盃も省略、実は刺青入れてない…現代ヤクザの意外な日常のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。井川健二暴力団の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

1 小林製薬「紅麹」で問題視される「機能性表示食品制度」は安倍案件!
2 櫻井よしこの朝日攻撃の「捏造」が法廷で
3 東山紀之が“反ヘイト本”を出版
4 乙武洋匡が不倫旅行、5人の女性と関係
5 安倍派裏金で読売新聞「非公認以上の重い処分」報道の違和感!
6 久米宏が終了決定のTBSラジオで田中真紀子と
7 セカオワFukaseのいじめ発言
8 葵つかさが「松潤とは終わった」と
9 安倍政権御用ジャーナリスト大賞(前編)
10 コロナ収束前の「Go To」予算1兆7千億円計上に非難殺到も田崎史郎は…
11 東山紀之、朝鮮学校無償化に言及
12 五輪延期で発覚!安倍のお友だち「アパホテル」に組織委用の部屋
13 石田純一がコロナバッシングで「組織に狙われている」と語った理由!
14 御用新聞・産経が安倍首相に食い下がった毎日記者を攻撃する露骨ぶり
15 安倍は辞任報道でもお友達優遇! 前回のTBS時代の山口敬之が
16 世界的建築家の「カジノありきの万博」批判に大阪市長が大ウソ反論
17 小泉進次郎が「靖国参拝」したのは父親と同じ右派支持狙いの戦略か
18 総裁選で自民党がまた新聞社に圧力文書!
19 松本人志『ドキュメンタル』のセクハラ
20 和泉・大坪の安倍側近“不倫コンビ”の新疑惑を政府機関の理事長が告発

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄