「大阪都構想」住民投票直前 特別企画

橋下徹の圧力で凍りつく在阪テレビ局の「都構想」報道…あの怪物を作り出したのは誰だ!?

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■反発恐れ、忖度する「戦前」のような空気

〈冒頭で「橋下さんはテレビが育てたモンスターだ」と言いましたが、橋下さんに対抗できる政治家やきちんと意見を言える人間を育てようとするなら、まずテレビメディアが変わらなければいけないと思っています。自戒を込めて言うと、あまりにも政治をショーとして取り上げ過ぎたために、いい悪いは別にして、こういう多弁で能弁で、世論に敏感で、次々とアドバルーンを上げられるようなキャラクターを生んでしまったんじゃないか、と〉
〈テレビは、橋下さんの言う「権力のチェック機構」としての部分を怠って、その日その日の上澄みをつかんでは投げるということを繰り返してきた。ならば、メディアの責任に立ち返って、どうして彼が世に出たのか、なぜこれだけ人気があり、ふわっとした民意に包まれているのかを考えるうえでも、伝え方、ニュースの取り上げ方を一から考え直さないといけない。このままでは、彼のステージがどこになっても、同じことの繰り返しなんじゃないかと今日強く思いました〉

 これは、朝日新聞社発行の「Journalism」2012年7月号に掲載された橋下番記者座談会で、朝日放送(ABC)のデスクが述べた“反省の弁”である。ここにまったく異論はない。だが、それから3年近く、テレビは果たして「メディアの責任に立ち返って」「伝え方、ニュースの取り上げ方を一から考え直」してきただろうか。とてもそうは見えない。

 むしろ、報道番組の枠に芸人やタレントを起用して「情報バラエティ」化を一層進め、目先の視聴率や話題性だけを追って深く考えない、視聴者にも考えさせない、そんな軽いニュースばかりを流し続けているではないか。都構想の住民投票直前になっても、「中立公正」を言い訳にして、その問題点や橋下の発言の矛盾に踏み込もうとしない。彼の主張を軸にしてバランスを取ろうとするから、最初から賛成派の土俵に乗ってしまい、市民が投票の判断材料にするための「真実」をまったく伝えきれていないのだ。

「何か一つのきっかけでこうなったわけじゃないと思うんです。みんな自分が与えられた目の前の仕事に一生懸命取り組んでいるつもり。その結果として、橋下氏のような権力側からも、世論の側からも反発を受けないように忖度するようになっていく。戦前の空気というのは、こんな感じだったんでしょうね」

 先にテレビ局の空気を分析した報道局関係者の言葉である。

 橋下徹という虚像と「都構想」というまやかしをここまで大きくし、延命させてきたのは、彼自身が備えた大衆の欲望を感知する力と恐るべき詭弁術、そして、その暴走を批判できないばかりか、積極的に手を貸してきたマスメディア、とりわけテレビの責任であることは間違いない(それでも不思議なことに、「信者」からは、メディアは橋下を攻撃する「敵」に見えるらしい)。

 今回の結果がどうなろうと、大阪市政を不毛な混乱に陥れ、市民を分断し、その将来を不安にさらしたメディアの責任は免れない。そして、仮に橋下が負けて公言する通り政界引退しても(なんだかんだで居座るだろうという見方が強いが)、このままではまた新たな虚像を作り出し、その権力の前にひれ伏す愚挙を繰り返すことになるだろう。
(安福 泉)

【リテラ「大阪都構想」住民投票直前特別企画はこちらから!→(第1回)(第2回)(第3回)】

最終更新:2015.05.16 11:44

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