イスラム国事件「自己責任論」噴出の裏で安倍政権が日本人拘束を隠蔽していた!?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

 この状況は海外から見ると、非常に奇異に映ったようで、米「ニューヨーク・タイムズ」が「深層には、この島国を何世紀にもわたって支配し続けてきたヒエラルキー構造がある。お上(okami)にたてつくことが、人質たちの罪となったのだ」と報じたのをはじめ、海外メディアは一斉に人質バッシングを批判。パウエル米国務長官(当時)までが「もし誰もリスクを引き受けようとしなかったら、私たちは前に進むことはできなくなる。(略)彼らのような市民や、リスクを承知でイラクに派遣された自衛隊(soldiers)がいることを、日本の人々はとても誇りに思うべきだ」と語り、「私たちは『あなたはリスクを冒した、あなたのせいだ』とは言えない。彼らを安全に取り戻すためにできる、あらゆることをする義務がある」と言及したほどだった。

 まさに日本という国の人権や表現の自由への意識の低さが明らかになった騒動だったが、しかし、実はこのとき、人質バッシングに火をつけたのは、政府・自民党だったという見方がある。たしかに、かなり早い段階から小池百合子環境相(当時)をはじめ、小泉内閣の閣僚、自民党幹部がオフレコで人質や家族批判を口にしていたし、週刊誌が書き立てた「(人質の)親が共産党員」というような情報もほとんどが、内閣情報調査室や公安からリークされたものだった。また、2ちゃんねるの書き込みも明らかに政府関係者でないとわからないものもあり、バッシングは自衛隊のイラク派兵への反対世論が盛り上がるのを恐れた政府・自民党が仕掛けた可能性がかなり高いといっていいだろう。

 そう考えると、今回のイスラム国の事件で噴き出ている自己責任論も、政府・自民党の情報操作である可能性は否定できない。今回の事件の対応をめぐっては、冒頭で述べた安倍首相のイスラム国への挑発的発言以外にも、政府は決定的な失態を犯しているからだ。

 それは、拘束事件そのものを放置・隠蔽してきたことだ。湯川氏の拘束が判明したのは昨年8月、さらに後藤氏も昨年11月には消息不明となり、同時期に妻への身代金要求もあった。しかし日本政府は本格的な交渉には動かず、後藤氏の拘束や身代金要求をひた隠しにした。一説には「後藤氏のイスラム国拘束の可能性を公表すると衆院選に不利」との思惑さえあったといわれている。そして、水面下でこうした事態が進行していたにもかかわらず、安倍首相は中東の地で「イスラム国がもたらす脅威を食い止めるために2億ドルを支援する」という挑発的な演説をぶったのである。この責任はきわめて重大だろう。
 
 もちろん今回の問題の根源はイスラム国の卑劣なテロ行為にあり、それに対してきちんと非難をするのは大前提だ。しかし同時に、事件の背景には、国家と自らの政権のためには国民の生命など一顧だにしない、安倍政権の体質がある。マスコミやネットが流す浅薄な自己責任論に踊らされてそのことを忘れてはならないだろう。
(伊勢崎馨)

【検証!イスラム国人質事件シリーズはこちらから→(リンク)】

最終更新:2017.12.09 05:06

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

日本人は人を殺しに行くのか 戦場からの集団的自衛権入門

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

イスラム国事件「自己責任論」噴出の裏で安倍政権が日本人拘束を隠蔽していた!?のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。イスラム国人質事件伊勢崎馨安倍晋三自己責任論の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 “G7でぼっち”菅首相フォローのため甘利明やFNNが妄想ストーリー
2 立民議員「50歳と14歳」問題でおぎやはぎが「多様性」「ロリータは名作」
3 「五輪子ども動員」強行のために東京都が“キャンセル案内文書”を隠蔽!
4 葵つかさが「松潤とは終わった」と
5 組織委が五輪取材の海外メディアに「隔離0日」になる“抜け穴”例文を提示!
6 五輪の有観客開催強行のため菅首相が会見で空疎な嘘を連発!
7 五輪映画監督の河瀨直美が露骨な五輪礼賛発言、反対の声を八つ当たり扱い!
8 G7で“借りてきたネコ”状態の菅首相をヨイショするためNHKがフェイク!
9 「大阪の自宅死が全国最多」でも吉村知事を追及できないマスコミ 朝日も…
10 吉本芸人「ほんこん」のサムすぎるネトウヨぶり!
11 JOC経理部長の飛び込み自殺で囁かれる「五輪招致買収」との関係,
12 高須院長が田中事務局長と鈴木宗男に超法規的なリコール期限延長を陳情
13 吉村知事の大阪府は「時短協力金」支給も大幅遅れでダントツ最下位! 
14 国会延長拒否の菅政権が「土地規制法案」だけ強行採決へ!その危険な中身
15 櫻井よしこ、西岡力、文春…朝日・慰安婦報道叩きのデタラメが次々露呈
16 小倉優香の番組中「辞めさせてください」の本当の理由は番組のセクハラ
17 平井卓也のヤクザ並み恫喝はオリパラアプリのデタラメ発注をごまかすため! 
18 五輪組織委の現役職員が異常な人件費と中抜きの実情を告発!
19 産経が「慰安婦を強制連行」と報道!
20 安倍首相が会見も新しい対策ゼロ! 質問打ち切りに記者から怒号
1JOC経理部長の飛び込み自殺で囁かれる「五輪招致買収」との関係,
2五輪組織委の現役職員が異常な人件費と中抜きの実情を告発!
3炎上、竹中平蔵がYouTubeで「一部の既得権者が利益」とおまゆう発言
4「大阪の自宅死が全国最多」でも吉村知事を追及できないマスコミ 朝日も…
5変異株クラスター発生のなか…政府は病床使用率の変更
6組織委が五輪取材の海外メディアに「隔離0日」になる“抜け穴”例文を提示!
7「五輪子ども動員」強行のために東京都が“キャンセル案内文書”を隠蔽!
8G7で“借りてきたネコ”状態の菅首相をヨイショするためNHKがフェイク!
9平井卓也のヤクザ並み恫喝はオリパラアプリのデタラメ発注をごまかすため! 
10国会延長拒否の菅政権が「土地規制法案」だけ強行採決へ!その危険な中身
11吉村知事の大阪府は「時短協力金」支給も大幅遅れでダントツ最下位! 
12高須院長が田中事務局長と鈴木宗男に超法規的なリコール期限延長を陳情
13“G7でぼっち”菅首相フォローのため甘利明やFNNが妄想ストーリー
14五輪の有観客開催強行のため菅首相が会見で空疎な嘘を連発!
15立民議員「50歳と14歳」問題でおぎやはぎが「多様性」「ロリータは名作」

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄