紅白の安倍批判で「反日」と炎上の桑田佳祐 じゃあ『永遠の0』主題歌提供はなぜ!?

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 だが、結論からいうと、これは深読みのしすぎだろう。桑田がそこまでの確信犯でないのは『永遠の0』への楽曲提供を決めた経緯を見ても明らかだ。主題歌の依頼は映画の製作サイドがオファーしたものだったようだが、桑田はそれを引き受ける前に仮編集の『永遠の0』を鑑賞して多いに感動したらしい。桑田はあるインタビューでこんなことを語っている。

「凄い映画を観た。手ぬぐいがビショビショになるくらい泣いた」
「映画の中に流れている“平和への祈り”のようなメッセージを、私なりに音楽という形を通じて、多くの方々に伝わっていくお手伝いができればと思っております」

 つまり、桑田は『永遠の0』をほんとうに反戦映画だと思って感動していたのだ。実際、できあがった歌詞も批評性がある訳ではなく、百田のつくりだした情緒的な世界観に丸乗りしたものだった。

 おそらく、桑田の政治行動にはたいして深い考えがあるわけではない。もっとシンプルに、そのときの正義感、怒り、感情、盛り上がりで行動しているにすぎないのではないか。

 横浜アリーナのライブも、安倍首相が来るというものだから半分冗談で仕掛けてみたら、安倍が何も知らずにのこのことやってきたということらしい。

 紫綬褒章についても、当初は何も考えずにありがたくもらったら、一部で「日和った」などといわれたため、ちょっと照れ隠しにたいしたことないよと言ってみせたという程度のことだろう。

 そういう意味では、その反戦メッセージがアメリカという国家から危険視され、FBIから監視され、国外退去命令まで受けたジョン・レノンなどとはまったくちがう。ただの思いつきで行動しているおっちょこちょい。その感じはむしろ、山本太郎に近いといってもいいかもしれない。
 
 だが、桑田の行動は思いつきで一貫性がないゆえに、大きなインパクトをもったことも事実だ。政権の顔色ばかりをうかがっているNHKをここまで慌てふためかせ、褒章の権威をここまで揺るがせ、ネトウヨをここまでいらだたせることは、ポジションが固定化された反戦・権力批判では不可能だっただろう。

 これからも、桑田にはネトウヨの炎上攻撃などは気にせず、ぜひ、思いつくまま安倍攻撃、戦争批判、政治的発言をがんがん展開していただきたい。ただし、百田作品の主題歌だけはイデオロギーとは関係なくイメージダウンにつながるのでやめた方がいいとは思うが……。
(酒井まど)

最終更新:2017.12.09 04:44

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