公明党は動物好きの敵? ペット業界とつるんで子犬売買の法規制を骨抜きに

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 さらに、与野党協議に動物行動学の専門家が出席したときには、麻布大学獣医学部の菊水健史教授が研究データを基に「56日齢以降に引き離された個体は、49日齢で引き離された個体に比べ、7項目中5項目で有意に良い結果が出た」と説明。この5項目とは、「見知らぬ人に対する攻撃行動」「飼い主に対する攻撃行動」「他の犬に対する攻撃行動」「非社会的恐怖行動」「分離による問題行動全般」。すなわち、成犬になったときにこれらの問題行動を起こす可能性を高めないためには、7週齢(生後49日)よりも8週齢(生後56日)に引き離すほうが〈改善の余地がある〉と述べている。〈明らかに8週齢規制こそ是〉としているのだ。

 しかし、その説明後にも、高木議員は「業界はやっと42日齢まで来た状況。49日齢を法律で規定する考えはどうか」と、業界の先棒担ぎのような発言を行っている。

 こうした著者の追及に対し、高木議員は「規制を導入するには科学的データが足りません」と主張。さらに、〈「8週齢規制」については、その根拠として米国のサーペル博士の研究成果が引用されますが、その成果については科学的根拠があるのは7週齢であると環境省の報告書ではされており、この研究は主に大型犬を対象としており、小型犬の人気が高い日本において、この研究成果をそのまま当てはめることへの疑問も指摘されています〉と文書で反論している。

 だが、この反論を読んでも、なぜ高木議員がここまで強固に8週齢規制に反発しているのか、まったく解せない。科学的データが足りないというが、環境省がまとめた「犬猫幼齢動物の販売日齢について」という資料内の「科学的根拠」の項目内で引用されている数々の研究書では、ほとんどが母犬や産まれた場所からの早期切り離しの危険性を訴えている。しかも日本でも大型犬がたくさん飼われており、その基準を小型犬に当てはめて何の問題があるのだろう。問題があるとすれば、それは8週齢にすることで増加する生産コストや、卸価格の下落、売り上げの減少、ブリーダーやペットショップの廃業といった動物取扱業者らの経済面の問題だけだ。

 動物愛護よりも、業界を意識した高木議員の発言の数々──。これには“何か金が絡んでいるのでは?”と見る向きもあるが、こうしたネット上の書き込みに対し、高木議員は自身のブログで「私は、業界団体から、政治献金は一切頂いていませんし、頂いたこともありません」と否定。だが、このような疑惑が噴出するくらい、高木議員が改正案を骨抜きにするために果たした役割は大きい。

 ただ、公明党という党の体質を考えたときに、法案反対が一議員の判断でできるとは考えづらい。背後には、党の総意があると考えたほうがいいだろう。事実、12年8月29日に動物愛護法改正案が可決・成立する約1年前の11年10月19日、公明党は全国ペット協会からの「幼い動物の販売時期の規制については、科学的知見の蓄積により慎重に検討すべき」という要望を受けている。

 環境省が発表しているデータでは、12年度に殺処分された犬の数は3万8396頭にのぼる。現在、キャスターの滝川クリステルや女優の浅田美代子らが賛同人となり、2020年の東京五輪までに殺処分ゼロをめざすキャンペーンなども行われているが、ブリーダーによる乱繁殖やペットショップによる子犬の虐待・遺棄を食い止める第一歩に、この8週齢規制がある。

 犬たちの命を無視して、業界の既得権益が守られているこの現状。その先に、先日、栃木県で起こった犬の死骸が大量に遺棄されたような事件がある。食事も水も与えられず殺されてしまった80匹の犬たちの亡骸を、わたしたちは想像しなくてはいけない。
(田岡 尼)

最終更新:2015.01.19 04:04

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