カジノ法案とセット「パチンコ換金合法化」に警察が反対する“黒い理由”

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 今年8月、警察庁の担当官が「パチンコで換金が行われていることは、まったく知らなかった」と発言したと報じられた。これは、パチンコの合法化やパチンコ税導入を進めている自民党の「時代に適した風営法を求める議員連盟」の質問に対する回答なのだが、警察庁の立場としては当然の答えだったということなのだろう。もし「知っている」と言ってしまえば、それは「我々は違法行為を見逃す集団です」と宣言しているのと同じなのだから。

 パチンコ業界も、それを取り締まる警察庁も歓迎していないとなれば、一体誰がパチンコの合法化を望んでいるのだろうか。それは、上場を目指す一部のパチンコ企業と「カジノ議連」や「時代に適した風営法を求める議員連盟」に所属する国会議員たちだ。

 中小のパチンコ店が多く加盟する全日遊連や日遊協とは異なり、主にチェーン展開するパチンコ企業による団体「パチンコ・チェーンストア協会(PCSA)」は、パチンコの合法化を目指している。

 PCSAの公式サイトには、実現すべき目標として、「パチンコを大衆消費者の立場で合法化し、他産業と同等のビジネスとして社会的貢献を果たし、信用と地位の向上を果たす」と明確に記されている。さらに、「パチンコを国民大衆娯楽として産業化し、参加企業の株式公開を目指す」という目標も掲げており、パチンコの合法化とパチンコ企業の上場がセットになっていることが分かる。

 そして、この団体の政治分野のアドバイザーとして、「カジノ議連」や「時代に適した風営法を求める議員連盟」のメンバーたちが名を連ねているのだ。言ってしまえば、パチンコの合法化は、パチンコ業界全体のためでも、国民の為でもなく、PCSAに加盟する企業のような、一部の大手パチンコチェーンの利益のために進められているのだ。

 そういう意味では、外国人観光客を誘致するという目的で進められているカジノ解禁も、実際にはその先にあるパチンコの合法化こそが本来の目的だということになるのかもしれない。そうなると、そもそもカジノを解禁する必要性にも、大きな疑問が湧いてくる。

 そして、新たな財源として浮上した「パチンコ税構想」もまた、パチンコ合法化を正当化するためのギミックにしか思えなくなってくるのだ。

 パチンコ業界、警察、政治家の足並みが揃っているとは思えない現状を見ると、仮にカジノ法案が成立したとしても、パチンコの換金合法化はそう簡単なことではなさそうだが、いずれにしろ、カジノ解禁もパチンコの合法化も、決して国民のためではないことだけは間違いなさそうだ。
(金子ひかる)

最終更新:2015.01.19 05:24

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