『ONE PIECE』は“反日”を乗り超えるための書だった?

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 気を取り直そう。ヒントは恋愛エピソードにもあるらしい。ルフィの海賊団の一員であるサンジは、涙を武器に迫ってくるヴァイオレットという美女に恋をした。彼女は敵対する海賊団の一員だった。結果、騙されて拷問めいたことをされながらもサンジは叫ぶ。「おれは女の涙を疑わねェっ!!!!」

 ヴァイオレットは複雑な心境の変化のなかで、しだいに敵であるサンジに協力していくことになるのだが、どうやら長谷川アナはここにも希望を見出したようだ。

「私たちは日本という国の一員だから、全韓国人と戦わなければいけないのか。中国国民一人ひとりが、日本人全員と憎しみ合わなければいけないのだろうか。そんなこと、あるはずがない。どの国にもサンジが、ヴァイオレットがいるはずだ」

 まあ、言わんとするところはわかる。不可解なのはこの段落の直後。国家の枠を越え個人で信頼を勝ちとる例として、AV女優の蒼井そらをひっぱってきていることだ。

「しかし次第に、彼女自身が中国語を学び、相手に対する敬意と歩み寄る姿勢を見せ、また中国側も蒼井さんの魅力にときめき、〔中略〕、セクシー女優という枠だけではくくれない、日本の精神的な大使とまで呼ばれるようになったのである」

 確かに蒼井そらは中国で絶大な人気を誇る日本人。でも『ワンピース』とは関係ない。無理矢理に言うなら、絶世の美女キャラであるハンコックに少し似ていることぐらいか……。

 首を傾げたまま読み進んでいくと、本書は最後にこんな文章で締めくくられる。

「やっぱり人間はもっと仲良くしなければいけない、人間対人間のつき合いなんて、もっとシンプルなものなんだ、というルフィたちの教えや生き様が多くの人につながるといい。実はワンピースでルフィたちが探している『ひとつなぎの大秘宝』というのは、『この漫画によって世界がひとつなぎになる』ということなのではないか」

 70巻以上続く『ワンピース』がこんなかたちでまとめられるとは。ところで、「反日問題」解決のヒントというのは、さっき挙げた「じいちゃんに言えよ」とか「サンジとヴァイオレットになれ」というようなやつだけ?

 たしかに近年、「ワンピース」や「ルフィ」の文字を書名に記した書籍が数多く出版されている。『「ワンピース」に学ぶ仕事術』、『「ワンピース」に学ぶ勝利の交際術』、『「ワンピース」に学ぶ就職活動』(以上、平居謙/データ・ハウス)、少しひねって『モンキー・D・ルフィの「D」はドラッカーだった』(阿部美穂/経済界)などなど、挙げていけばきりがない。しかし、いくらなんでも、これはどうだろう……。

 韓国や中国で高まる反日、そしてその陰画のようにエスカレートする日本の嫌韓、反中……両者の不毛な対立を乗り越える方法があるならぜひ知りたいと期待してきたが、どうやら今回は完全に空振りに終わったらしい。

 しかし、長谷川アナはルフィから「クヨクヨすんなよ」というメッセージを受け取ったという。それは「時間の無駄でしかない」と。いやはや、まったくそのとおり……当たり前だ!!!!!(ドン!)
(HK・吉岡命)

最終更新:2018.09.27 01:07

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