レコード大賞最高責任者がバーニング周防社長を実名告発…周防社長「自分の獲らせたい歌手に決めることができる」と

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TBS『第59回 輝く!日本レコード大賞』HPより


 先日、第59回日本レコード大賞の各賞が発表され、AKB48、乃木坂46、欅坂46、西野カナ、AAA、三浦大知、SEKAI NO OWARI、AI、氷川きよし、三山ひろしといった面々が優秀作品賞を受賞した。12月30日にTBSで放送される番組のなかで大賞が発表される。

 そんななか、今週発売の「週刊文春」(文藝春秋)2017年11月30日号に衝撃的な記事が掲載された。「レコード大賞を私物化したあの男は許せない」と題した記事で、日本レコード大賞の最高責任者である制定委員長を昨年まで4年間務めていた作曲家の叶弦大氏が告発しているのだ。

 ここで「あの男」と名指しされているのは、もちろん、「芸能界のドン」こと、バーニングプロダクションの周防郁雄社長である。

「週刊文春」2016年11月3日号の記事により、三代目J Soul Brothersが15年のレコード大賞を受賞した裏で、三代目JSBの所属事務所であるLDHからバーニングに対して1億円が支払われていた事実が明るみになったのは記憶に新しい。

 バーニングがレコード大賞を裏で操っていた決定的証拠が出てきたこの記事は各所で大問題となったが、バーニングタブーを抱える大手メディアはいっせいに黙殺。レコード大賞も例年通り行われ、大賞はバーニングが押している西野カナが「あなたの好きなところ」で受賞する結果に終わった。賞の存在意義そのものを揺るがしかねないスキャンダルが表沙汰になったのにも関わらず、メディアで報道されないことをいいことに、なんの反省もなされなかったのである。

「週刊文春」2017年1月19日号によれば、審査員長を務めた日刊スポーツの笹森文彦氏が、審査会議の冒頭で「今回は無記名投票にしたい」と提案。特定の芸能プロとの癒着や圧力に関する疑惑を払拭しようとしていたらしいが、他の委員が複数名反対し、結局いつも通りの出来レースに終わったのだという。

 前掲「週刊文春」2017年11月30日号のなかで叶氏は、バーニングによるレコード大賞の支配から解き放とうとした仕事がいかに失敗したのかをつまびらかに話している。

 2009年、叶氏は審査委員長に毎日新聞の編集委員を務めるK氏を推薦した。それは、K氏が音楽に精通した人であり、また、以前に周防氏を批判する記事を担当したこともあることから、権力に屈せず公平な審査をしてもらえるのではないという希望からだった。

 しかし、ご存知の通り、この希望は打ち砕かれることになる。叶氏の告発では、賞の審査がいかに周防氏の鶴の一声で決められているか、そして、期待していたK氏が、単なる周防氏のメッセンジャーになってしまった様子が記されている。

バーニング周防社長「レコード大賞は自分の獲らせたい歌手に決めることができる」

 そして、驚くべきは、こういった状況に対しての周防氏の認識である。叶氏はレコード大賞の常任実行委員になった2003年頃、周防氏と会食しながらレコード大賞について話す機会があったというが、そのなかで周防氏は「叶さん、この業界はちょっと悪いぐらいじゃないといけない」「レコード大賞は、新聞社十三人の過半数、つまり七人の記者を押さえておけば、自分の獲らせたい歌手に決めることができるんだよ」などと言い放ったという。

 レコード大賞の審査委員のほとんどはスポーツ紙記者や新聞記者、テレビ局の局員で占められている。たとえば、「優秀作品・新人賞委員」では、審査委員長の毎日新聞、副委員長の日刊スポーツを筆頭に、読売新聞、時事通信、産経新聞、東京中日スポーツ、報知新聞、東京スポーツ、MBS毎日放送、RKB毎日放送といった肩書きが並ぶ(第57回時点)。

 言うまでもなく、こういった大手メディアはバーニングタブーを抱えている子飼いの会社だが、それのみならず、バーニングは彼ら審査委員を接待漬けにして甘い蜜を吸わせることで、自らに有利な選考をするよう取り込んでいる。

 たとえば、「週刊新潮」(新潮社)では、レコード大賞の審査委員経験者や関係者が自分たちの受けた接待についてこのように証言している。

「高価な贈り物や商品権が届くこともあるし、受賞させたいと思われるタレントの曲や映像が入った高価なiPodが送られてきた人もいます。銀座や六本木のクラブでの接待や、有名店でのディナー攻めも多い。これだけご馳走になったら投票しないわけにはいかない、と思う人もいるし、審査員がそれを逆手に取って、投票するからネタをくれ、などと要求するケースも多いですね」(08年9月11日号)
「11月18日の第4回会合までには受賞作がほぼ確定する見込みですが、それまでは昼も夜もレコード会社や芸能事務所の宣伝担当者との会食が入っている。昼に鰻、夜にしゃぶしゃぶ、あるいは昼ステーキで夜は寿司。当然、酒も入る。そんな毎日ですから、胃腸も肝臓も最悪の状況ですよ」(11年11月17日号)
「J-POP系のあるレコード会社では、5人の宣伝部員が1人あたり300万円以上の予算を持ち、さらに制作部も動くので、レコ大関係の接待費は2000万円を下らないでしょう。同社の場合は、高級焼き鳥店などで食事をした後、六本木のクラブのVIPルームで女の子と飲むことが多いようですが、演歌系の大手事務所などは、一次会は1人3万円位するしゃぶしゃぶ屋で、二次会は銀座の高級クラブ……と、会社や事務所によって接待の流儀はそれぞれです」(同前)

今年の日本レコード大賞も間違いなくバーニングプロダクションに私物化される

 今年のレコード大賞が決まる直前になって再び浮上した「出来レース」問題だが、叶氏のこの告発も昨年の「週刊文春」記事同様に大手メディアで取り上げられることはないだろう。

 どころか、バーニングを告発した叶氏を逆に攻撃するような報道が出る可能性もある。事実、過去にそのような記事が出ているからだ。

 叶氏は三代目JSBの一億円買収問題が報じられた翌週、「週刊文春」16年11月10日号の取材に応え、「このような証拠が出た以上、放置しておくわけにはいかない」とのコメントを出している。

 すると、バーニングの御用雑誌である「女性セブン」(小学館)が17年1月5日・12日号(12月22日発売)で「レコ大のドンがレコード会社幹部に「大賞はAKBで…」」という記事を掲載。レコード大賞を私物化していたのはバーニングではなく、むしろ叶氏だったと書きたてたのだ。そのうえで、12月中旬には叶氏がAKB48が所属するレコード会社幹部に対し「大賞はAKBで行こうかという動きがある」と煽っているとも記されていた。

 この記事は、読者に「真の犯人は『芸能界のドン』ではなく、『レコ大のドン』叶氏だったんだ」と思い込ませる以外に、もうひとつの効果があったという。

「こんな記事が出れば、審査員は当然萎縮します。不穏な動きをすればバーニングの御用メディアを使って犯人に仕立てあげられることがわかったわけですから。これで大勢は決まり、例年通りのバーニング支配に抗う者は激減してしまいました」(芸能記者)

 現在、レコード大賞の受賞は、乃木坂46「インフルエンサー」が有力視されており、また、所属事務所がライジングプロダクションでレーベルがエイベックス系列のSONIC GROOVEである三浦大知という声もある。

 前掲「週刊文春」17年11月30日号で「週刊文春」の記者から直撃された周防氏は、LDHから支払われた1億円問題に対し「答えるわけにいかないよ」としたうえ、叶氏の告発に対しては「相手にしていない」と返していた。結局、今回もレコード大賞の私物化を見直すつもりはないということだろう。

 巷ではすでに「不要な疑いをかけられるので受賞するほうが罰ゲーム」との評価を受けているレコード大賞だが、今年も間違いなく出来レースが繰り広げられる。

 昨年のレコード大賞授賞式は平均視聴率14.5%を記録。放送日を30日に移動させて以降最低の視聴率(13%)を記録した一昨年に比べると一気に数字は回復したわけだが、視聴者はレコ大そのものに興味があったわけではなく、当然スキャンダルの成り行きを見るためにテレビをつけていたに過ぎない。こんなことでは、日本レコード大賞が世間から見放されるのも時間の問題だ。もうすでに手遅れかもしれないが……。

最終更新:2017.11.23 01:05

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