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吉本興業“改革”の委員会が酷い! 自民党に護憲派攻撃を指南した学者、裏金隠蔽に加担の検察警察幹部、三浦瑠麗…
トップは責任を取らず!(吉本興業HPより)
闇営業問題に端を発する吉本興業問題が、強引に幕引きされようとしている。
8日、吉本興業の経営アドバイザリー委員会が開かれたのだが、そこで発表された具体案はなんと、「専属エージェント契約」を導入するというだけだった。これだけの不祥事を引き起こしながら、コンプライアンスの問題などは先送り。組織のトップである大崎洋会長・岡本昭彦社長の責任問題には、一切触れられなかった。
ところが、御用スポーツ紙などは「吉本、日本初「専属エージェント契約」導入」などと、あたかも大きな改革がなされるかのような報道を展開。大崎会長の責任を問うていたはずの加藤浩次も「エージェント制を自ら提案して、エージェント契約で残る」などと、矛を収めつつある。
あらためて言っておくが、いま、吉本興業が真っ先にやらなければならないのは、エージェント契約の導入などでお茶を濁すことではない。
これまで何度も繰り返してきたように、吉本興業は、宮迫博之やロンブー亮の「反社会的勢力から謝礼を受け取っていた」という告白を会社ぐるみで隠蔽したばかりか、逆に宮迫らに虚偽を押し通すことを強要していた。そして、吉本興業も会社として反社がスポンサーのイベントにタレントを送り込んでいた。
また、芸人との関係についても、待遇とか契約形態以前のレベルの問題で、パワハラや強権的支配など、違法性の高いやり口が次々に明らかになった。
吉本は、そうした会社としての不祥事、コンプライアンス違反に対して、事実関係を明らかにし、大崎会長と岡本社長がきちんと責任を取るべきなのだ。吉本はテレビ局などが株主を構成し、政府関係の仕事や税金が投入されるプロジェクトも数多く受注している法人だ。その責任は、個人の宮迫らとは比べ物にならないくらい重いものであり、組織のトップが辞任するのは当然と言える。
それが、こういった問題は一切なかったかのように、「エージェント契約導入」だけを先行発表したのだ。吉本上層部と一体化し、陰で会社を牛耳っている松本人志は、11日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ)で「これで終わりじゃない」などと、エクスキューズを口にしていたが、エージェント契約導入から発表したことを考えると、責任問題をなし崩しにしようとしているとしか思えない。
しかも、このエージェント契約導入も、加藤などは「会社側と芸人が対等になる」などと言っているが、そんな楽観的な話ではないだろう。
発表された新制度では、一方的な共同確認書はそのままに、一部のタレントに専属マネジメント契約かエージェント契約を導入するということだが、エージェント契約というのは、経費もタレントの自己負担、不祥事を起こしたときもすべてタレントの自己責任となる。
また、『バイキング』(フジテレビ)で坂上忍も指摘していたが、エージェント契約の場合、吉本が本気でサポートしてくれるのか、という問題もある。現状でも、タレントに任せきりという傾向の強い吉本のこと、エージェント契約のタレントのために熱心に仕事を取ってきたり、ギャラ交渉をしたりするとはとても思えない。結局、タレントはテレビで仕事をするためのみかじめ料として、エージェント料を吉本にピンハネされているだけ、ということになリかねない。いや、それどころか、わざとエージェント契約の芸人を外して、利幅の大きい専属マネジメント契約の芸人をねじ込むなど、エージェント契約が吉本にとって不満分子の追放のための格好の口実になる可能性もある。
座長は自民党に「護憲派を敵と位置づけネガキャンせよ」と提案した学者
「反省」「改革」と言いながら、結局、誰も責任を取らず、逆に会社側に都合のいい制度を導入しようとしている吉本興業。呆れるしかない厚顔ぶりだが、しかし、これ、何かと似ていないか。
そう、森友、加計、公文書改ざんなど、様々な不祥事を惹き起しながら、政権幹部が誰一人辞任せず、改革と称して「文書を作成しない」「文書を即廃棄する」という自分たちに都合のいいルールを作ってしまった安倍政権と、やり口がそっくりなのだ。
しかし、考えてみれば、それも当然なのかもしれない。というのも、今回、吉本のシナリオに沿って、骨抜き改革案を発表した経営アドバイザリー委員会のメンバーには、安倍政権の御用学者・ブレーンや元忖度官僚が顔を揃えているからだ。
その代表的な存在が、アドバイザリー委員会の座長である川上和久・国際医療福祉大教授だ。
川上氏といえば、政治心理学者という肩書を持つが、「改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会」に八木秀次や加計孝太郎とともに名を連ね、育鵬社の「公民教科書編集会議」座長も務める、安倍政権の極右仲間。
しかも川上氏は、昨年12月、自民党憲法改正推進本部の会合に招かれ、「憲法改正国民投票の最大の壁とは」というテーマでヒアリングに応じた際、投票に向けて改憲派も反対派を敵と位置付け、名指しで批判するなどネガティブキャンペーンが必要だと説いたという。会合で配られた資料には「改憲派自身も何らかの『敵』を作り、国民の不安、怒りなどを覚醒させるしか方法はない?」などと記されていた。
ようするに、吉本興業が「改革」のために発足させた委員会の責任者は、自民党に“護憲派を敵とみなして攻撃を仕掛けろ”などと分断を煽っていた人物だったのだ。吉本はこの間、裏で御用マスコミに宮迫や亮、加藤らのネガティブ情報をしきりにリーク、会社側芸人vs反会社側芸人の分断を深めてきたが、もしかしたら川上氏のこの時の意見を参考にしていたのか、と勘ぐりたくなるではないか。
北海道警の裏金問題発覚時の警務部長、三井環を逮捕した主任検事も委員に
川上氏だけではない。吉本は今回、元警察と検察官僚をアドバイザリー委員に選んでいるが、この人選もひどいものだ。
まず、元警視庁副総監の島根悟氏は北海道警の裏金問題が明るみに出た時代の道警警務部長。警務部長は警察の人事や会計の責任者で、本来なら経理不正を徹底調査しなければならない立場だが、島根氏は度重なる告発にもかかわらず、当時、ろくな調査もせず「私的流用はなかった」と裏金を否定し、疑惑を積極的に隠蔽していた。そして、島根氏はその後、警察庁長官官房に栄転、安倍政権下ではさらに静岡県警本部長、警察庁長官官房政策評価審議官、神奈川県警本部長、そして副総監へと出世階段を駆け上っていった。事実よりも上層部の意向を優先する典型的な忖度官僚と言っていいだろう。
検察官僚出身の元最高検総務部長の大仲士和氏も、同じように自分の組織の裏金問題隠蔽に加担している。
2002年、大阪高検公安部長の三井環氏が検察庁の組織的な裏金を実名で告発しようとして、大阪地検に口封じ逮捕されるという事件が起きたことを記憶しているだろうか。三井氏の容疑は、マンション購入の際にその物件に居住するよう偽った書類を提出したというもので、普通なら逮捕されるなんてことはあり得ない話だった。当の大阪地検幹部も、当初、逮捕には反対していたという。しかし、どうしても三井氏に裏金実態を公にされたくない検察庁は、原田宏検事総長の指揮のもと、関係者の聴取さえないまま、三井氏に対して強引にでっち上げ逮捕を強行した。
その際、検察上層部の意向に沿って、主任検事として、この口封じ逮捕を実行したのが、当時、大阪地検特捜部副部長の職にあった大仲氏だったのだ。しかも、大仲氏もこのあと、やはり大分地検検事正、岡山地検検事正、最高検総務部長と検察内部で着実に出世を果たしている。
どうだろう。自分の組織の不正隠蔽に積極的に加担した警察官僚と検察官僚が、吉本興業の「組織改革」「コンプライアンス強化」のメンバーに選ばれているのだ。ここまでくると、何かのギャグとしか思えない。
三浦瑠麗が闇営業問題で語ったトンデモ反コンプライアンス発言
だが、吉本のアドバイザリー委員にはさらにもう一人、首を捻りたくなる人物が名前を連ねている。
8日の会合には、スコットランドでバカンス中という事で欠席していたが、自称・国際政治学者の三浦瑠麗氏だ。三浦氏は『ワイドナショー』で、松本人志も一目置いているらしいが、企業コンプライアンスや契約の専門家でもなんでもない。こんなタレント学者をなぜ委員にすえたのか、意味がわからない。
しかも、この三浦氏、7月30日放送の『ワイドナショー』では、吉本興業の問題をめぐってとんでもないことを口走っていた。
まず、三浦氏は宮迫らが闇営業問題で「お金を受け取っていない」と弁明したことについて、例の上から目線でこう切り出した。
「反社会勢力との関係が問題、嘘をついたからこそ問題になったんですが。じゃあ、ただで芸を提供するのが、利益供与に当たらないかと言うと、実は当たると思うんですね」
利益供与かどうかはともかく、ここまでは理解できた。三浦氏はおそらく「お金を受け取っていなければ問題なし、ということではない、ましてや、お金をもらっていたのだからもっと罪が大きい」と言いたいのだろう、と。ところが、その後、三浦センセイはこう続けたのである。
「(ただで芸をするのは)私がある政党にタダで講演会をしたら応援していることになっちゃうというのと一緒なんです。プロである以上、お金をもらうべきです。対価が、マーケット価格、その人の通常の価格と合ってますか、みたいなのも大事ですから」
そう、犯罪集団の集会で無料で芸を披露することは利益供与、芸を披露したのだからプロとしてお金をもらうべき、と主張し始めたのだ。
しかも、たとえとして持ち出したのが自身の政党講演会のギャラ問題。三浦氏は少し前、自民党で講演して高額なギャラを得ていたことを本サイトなどから批判を受けていたが、おそらく今回、闇営業問題にかこつけて、自身のこの問題を正当化しようとしたのだろう(まったく正当化にはなっていなかったが)。
しかし、自身のことはともかく、反社会勢力のイベントへの闇営業までも「きちんとお金をもらうべき」って、三浦氏はどう考えても暴対法や暴排条例の趣旨を理解しているとは思えない。こんな考えの持ち主にコンプライアンス対策の意見を聞いて吉本は本当に大丈夫なのか。
吉本上層部はこのまま責任問われず、加藤や春菜、友近が干されていく
いずれにしても、吉本興業が世間の批判を受けて、「改革」「コンプライアンス強化」のために発足させたアドバイザリー委員会には、権力におもねる御用学者や、不正を無かったことにして出世を果たした元官僚が名前を連ねていたのだ。
これでは、吉本興業の責任をきちんと追及するような提言、改革案が出てくるはずはないし、これからも出てくることはないだろう。
もちろん、吉本がいくらお手盛りの委員会で、こうした骨抜き改革でお茶を濁そうとしても、メディアがきちんと批判すれば、状況を改善することは可能だ。
しかし、現実には、テレビもスポーツ紙もこのアドバイザリー委員会の人選や動きをまったく批判しないどころか、前述したように「日本初のエージェント契約導入」とPRに勤しんでいる。
この背景には、何度も言っているように、テレビ局が吉本興業の大株主であり、スポーツ紙や週刊誌なども吉本と癒着して完全に御用化しているという問題がある。
加えて大きいのが松本人志の存在だ。“テレビ業界の天皇”であり、芸人たちにとって絶対的なタブーである松本人志が大崎会長、岡本社長のバックについているため、メディアも芸人も、松本が怖くて物が言えなくなっているのだ。
実際、宮迫と亮の会見や岡本社長のグダグダ会見の後には、加藤浩次や友近ら芸人からも会社への批判の声が上がったため、一部のテレビ番組などでは吉本興業の体制に対する多少の批判も語られたが、松本が積極的に動き始めて以降、芸人たちも次々口を閉ざすようになった。
わずかにあったマスコミの吉本批判もどんどん声が小さくなり、逆に宮迫、亮、そして、加藤らへのバッシングのほうが強くなっていった。
賭けてもいい。吉本と反社会勢力の問題はこのまま、会社の責任は一切問われずに収束し、芸人との関係もエージェント制導入などという上辺だけの改革で、強権支配は温存されるだろう。そして、今回、上層部を批判した加藤や近藤春菜、友近、陣内智則、トレエン斎藤司などはゆっくり時間をかけながら、テレビから消されていくはずだ。
結局、マスコミの体質が変わらない限り、この国の芸能界を改革、風通しを良くすることは不可能なのである。
(編集部)
最終更新:2019.08.14 09:49
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