不祥事・トラブルに関する話題……本と雑誌のニュースサイト/リテラ
日テレはなぜ上重アナに甘いのか? 夏目三久はコンドーム写真だけで降板させたのに
日本テレビ公式HP「アナウンスルーム」より上重聡アナ
どうやら日本テレビは、あの“1億7千万円”アナウンサーをとことんまで守るつもりらしい。
数日前、日本テレビ社長の会見で上重聡アナウンサーの処分が発表されたのだが、その内容はなんと「口頭注意」のみ。もちろんレギュラー番組の降板なども一切なく、『スッキリ!!』にもいつもどおり出演している。
しかし、上重アナのやったことはほんとうに「口頭注意」ですむような話なのか。上重アナは港区の超高級マンションをABCマートの関連会社の役員から購入し、その資金1億7000万円を三木正浩・ABCマート元会長から無利子で提供されている。実際はプレゼントされたとしか思えないが、そうでなかったとしても、通常発生するはずの数千万円単位の利子がないわけだから、明らかに特定企業から利益供与を受けたことになる。税法上では「贈与」にあたり、税金を払っていないなら脱税への関与の可能性もある。
また、上重アナは同じく三木元会長の資産管理会社から無償で借りた2000万円の超高級車・ベントレーで出勤しており、法定速度を大きく上回る時速100キロ以上で一般道を暴走し、路上駐車までしていた。これは日テレの就業規則で禁じられている行為だ。
ところが、上重アナは前述したように事実上のおとがめなし。それどころか、日テレは疑惑を報じた「週刊文春」(文藝春秋)の第2弾の記事を、上重にかわって提訴しているのだ。
なんだろう、この日本テレビという局の自社アナウンサーに対する甘さは……。と思っていたら、真逆のケースが存在することを思い出した。それは現在フリーアナウンサーとして大活躍している夏目三久が同局の社員アナだったときに受けた処遇だ。
2007年に日テレに入社した夏目は、『おもいッきりイイ!!テレビ』でのアシスタントが評価され、入社2年目の09年3月には後継番組『おもいッきりDON!』の司会に抜擢された。
ところが、その直後、例のコンドーム騒動が持ち上がる。写真週刊誌「FLASH」(光文社)が当時、交際していた男性とのツーショットとともに、「サガミオリジナル」と書かれたコンドームの箱を持った夏目がにっこり笑っている写真を掲載したのだ。
といっても、彼女がハダカだったり、男性とベッドで抱き合っている写真でなく、たんに箱を持っていただけなのだが、しかし、これに対し日テレは驚くような厳しい処分を下す。
報道のすぐ後、夏目を抜擢したばかりの『おもいッきりDON!』のMCから降板させてしまったのだ。また、当時、日テレは夏目をさまざまな特番の司会に起用。『おしゃれイズム』にゲスト出演させたり、番組企画で東京マラソンに出場させたりと、局をあげて売り出しをはかっていたのだが、この騒動以降、そういった露出はほぼゼロ。仕事は『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』のアシスタントのみ、と、完全に干し上げてしまったのだ。そして、夏目は11年に日テレ退社に追い込まれる。
他にも似たようなケースがある。12年には、馬場典子アナが男性実業家と海外旅行をし、経費に絡む金銭の授受があったと報じられた後、担当していた『ZIP!』『キユーピー3分クッキング』から降ろされ、やはり14年に退社に追い込まれた。
また、日テレといえば、女子アナ内定取り消し騒動もあった。アナウンサーとして内定を出した笹崎里菜にホステスのバイト歴があることがアナウンサーにふさわしくないとして、その内定を取り消してしまったのだ。
この際、日テレは「アナウンサーは極めて高度の清廉性が求められる」「ホステス就労の経歴はアナウンサーに求められる清廉性に相応しくない」との文書を笹崎に送っていたという。
この騒動は結局、笹崎が日テレを提訴し、和解が成立。笹崎は「アナウンス部所属予定の総合職」として無事日テレ就職を果たしたが、日テレ側は裁判でもアナウンサーの清廉性を持ち出し、内定取り消しを正当化しようとしていた。
こうした女子アナに対する日テレの態度をみると、上重アナへの今回の対応が大甘なことは明らかだろう。
そもそも、局の顔であるアナウンサーに「清廉性」が求められるというのなら、その最大のものは特定企業や政治勢力と癒着しない、利益供与を受けないということではないのか。放送にかかわる者が、企業や政治家と癒着したら、その相手が不祥事や事件を起こした場合、公平に報道、論評できなくなってしまう。
そういう意味では、上重アナの今回の行為こそがアナウンサー、放送人にとってもっとも清廉性にかけるというべきなのだが、しかし、現実には、その上重アナはおとがめなし。一方で、コンドームの箱を持っていたとか、ホステスのバイトをしていただけの女子アナが「アナウンサーにふさわしくない」と降板させられたり、内定を取り消されたりされているのだ。
もしかしたら、日テレのいう「清廉性」って、「処女性」のことなのか、とツッコミたくなるが、実際、日テレの男尊女卑体質を指摘する声は大きい。
「そもそも読売グループは伝統的に女性に対して厳しく、男に甘い。女性の幹部社員も他社に比べて少ないですしね。女子アナをホステス扱いする局員も多い」(元日テレ関係者)
しかし、上重アナへの対応はそれだけでは説明がつかない気がする。これだけの重大なコンプライアンス違反がありながら、『スッキリ!!』という情報番組に出演させ続け、かわりに、会社が裁判まで起こしているのだ。
そんなところから、スポンサーがらみか、あるいは上重アナに強力な後ろ盾がいるのではないか、という説も流れている。
「社長もやたら上重アナをかばっていましたから、何か強力な政治家のコネでもあるんじゃないかという噂も流れていますね。また、上重に利益供与したABCマートは有力なスポンサーで、『スッキリ!!』番組内でもABCマートのオリジナルスニーカーを製作するタイアップ企画を展開したこともあります。そのカラミで甘い処分になっている可能性もありますね」(同前)
この顛末にテレビ局独特の腐臭を感じるのは筆者だけだろうか。
(伊勢崎馨)
最終更新:2016.08.05 06:27
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