洗脳なんかじゃない! 能年玲奈の才能をつぶしているのは所属事務所のほうだ!

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ファンは待ち望んでいるのだが…(『A'SCENE』Vol.1/リイド社より)

 女優・能年玲奈に突如もちあがった“事務所独立と洗脳”騒動。まず、24日に東京スポーツが「能年玲奈に洗脳騒動 無断で個人事務所設立」と報じ、同様に27日発売の「アサヒ芸能」(徳間書店)も追随。それらの記事によれば、能年は“育ての親”である魅力開発トレーナーの滝沢充子氏と「株式会社三毛andカリントウ」という新事務所を、所属事務所であるレプロエンタテインメントには隠して設立したというのだ。

 なんでも能年は駆け出しのころに滝沢氏のレッスンを受けており、その際に滝沢氏から「あなたはこの仕事をしなければ生ゴミね!」と言われたことがあるらしく、能年自身もこの「生ゴミ先生」のエピソードをメディアで語ってきた。だが、現在の能年は滝沢氏と同居するほど心酔しきっており、その様子はまるで“洗脳”状態のようだという。

 さらに、本日28日発売の「女性自身」(光文社)も同様で、能年と滝沢氏の関係を疑問視し、「最初の講座で、人格が崩壊するほど徹底的にダメ出しをされたようです」「まるで教祖と信者のようになって、じつは以前から内部で心配する声が出ていました」などというレプロ関係者の証言を紹介している。

 私生活をともにして所属事務所と距離をとらせ、抱え込み、洗脳していく──こうした報道を見ていると、中島知子やX JAPAN・Toshlの洗脳騒動を彷彿とさせるが、一部報道では滝沢氏が確立した演劇メソッド「Jメソード」はスピリチュアル要素も強いと指摘されており、ますますキナ臭い匂いが漂ってくる。

 だが、はたしてほんとうに能年は滝沢氏に洗脳されているのか。そして、そんなに滝沢氏は危険な人物なのか。そのヒントとなるのが、昨年11月に発売された滝沢氏の著書『あなたのままで女優のように魅力的になる方法』(サンマーク出版)だ。

 まず、本書は冒頭から、〈欠点を魅力だと認めず、女性として輝かないなんて、「生ゴミ」と同じです!〉と、例の生ゴミ発言が登場。そして、能年とのエピソードがこんなふうに語られている。

〈じつは数年前のこと。私はある女優に、この「あなたが自分の魅力を突きつめないのなら、生ゴミと同じ」という言葉を投げかけました。女優を職業にするということは、自分の魅力だけで勝負をして仕事をするということです。それが生きる糧。魅力を磨かなければ、ごはんを食べていくことができない厳しい仕事です。だからこそ、私は厳しい言葉で彼女を叱咤したのです。〉

 人間を生ゴミ扱いする。まだ10代の能年にとっては厳しすぎる現実を突きつけられる体験だったかもしれない。しかし、この指導をきっかけに能年は〈「欠点」と思われていたことを磨き抜いたことで、朝の連続ドラマの主役を射止め〉たのだと滝沢氏は述べる。

 また、滝沢氏は別項でも能年のことをこのように記述している。

〈オーディションで、いつもいいところまでいくのに、最終試験で落とされてしまう少女がいました。その子は極度の人見知りで、人前で自己PRをするのがとにかくヘタだったのです。そのせいで、本当はすごく魅力的な子なのに、役を逃がしてきました。
 そこで、「あなたの一番の魅力は、他の人がバカにしてやらないようなことを、まっすぐまじめにやれること。だから、いい恥をかこう。まじめに恥をかけば、それをおもしろいと思ってくれる人が必ずいるはず」とアドバイスしました。〉

 そんな能年のもとに、〈「町おこしでアイドルを目指す女の子の役」のオーディション〉がやってきた。最終面接は歌と自己PR。滝沢氏は能年に秘策を伝授する。

〈他の子が16ビートでキレのいいダンスを踊る中、彼女には、首を左右にかしげながら4ビートで踊る、昭和のダサかわいいアイドルのようになってもらったのです。〉

 この作戦が功を奏したのか、能年は主役・天野アキ役を掴む。滝沢氏はこのオーディションについて、〈彼女に眠る爆発的な魅力を披露できた、本当に感動的な瞬間でした〉と振り返っている。

「生ゴミ」の例に顕著なように、滝沢氏は“欠点こそ魅力である”と提唱する。人に嫌われることを恐れるな、自分を愛して、自分をほめてあげよう──。滝沢氏の主張はまるでベストセラーになった『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』(ダイヤモンド社)のようだ。芸能マスコミは滝沢氏が危険思想の持ち主であるかのように煽るが、なんてことはない、たんなる自己啓発ではないか。

 むしろ同書から強く感じるのは、いかに滝沢氏は能年の魅力を見事に引き出し、肯定してきたか、ということのほうだろう。

 というのも、能年は13歳で「第10回ニコラモデルオーディション」に合格し、ティーン向けのモデルとして芸能界入りしたが、注目を浴びることもなく鳴かず飛ばず。「ニコラ」モデルをクビ寸前だったとも噂されたことさえあるほどだった。そんななかで出会ったのが、滝沢氏の“いい恥をかこう”“欠点を魅力に変えよう”という自分を認めてくれる言葉だった。実際、『あまちゃん』(NHK)の最終オーディションでは、チーフプロデューサーの訓覇圭氏によると能年が一番演技が下手だったというが、橋本愛や有村架純、松岡茉優、モデルの森星らという錚々たる顔ぶれが並ぶ約2000人のエントリーのなかから、能年が主役の座を獲得した。そこには、あえてダサい踊りで勝負に出るという、能年がもっとも輝くアピール手段を編み出した滝沢氏の作戦によるところも大きいはずだ。

 しかも、独立騒動に発展するまで能年を追い込んでいるのは、むしろ、所属事務所・レプロの問題なのだ。たとえば、本日28日に発売された「週刊文春」(文藝春秋)では、いかに能年が事務所から冷遇されてきたかが詳細に語られている。

 同誌によれば、仕事も入らず、くすぶっていた能年だが、滝沢氏の演技レッスンによって変化し、映画やドラマの仕事が少しずつ増え始めた。でも、事務所がプッシュしていたのは社長の肝いりである川島海荷のほう。『あまちゃん』オーディションも事務所としては川島が本命で、能年は“当て馬”でしかなかったのだ。

 いざ能年が主人公を射止めても、扱いは変わらなかった。『あまちゃん』出演時の月給はたったの5万円。朝ドラの主演というハードなスケジュールのなかでも事務所のサポートも手薄で、能年が頼れる人間は滝沢氏しかいなかった。同記事によると、『あまちゃん』の撮影も佳境に入った2013年4月、ついにパンクしてしまった能年は滝沢氏に電話し、「寮の乾燥機が壊れて、もう明日のパンツがない」「財布には二百円しかない」と泣きついた。そこから滝沢氏は能年の身のまわりの世話をするようになったのだという。

 そうして滝沢氏と距離を縮めた能年だが、その態度が事務所スタッフの怒りを買ってしまう。『あまちゃん』終了後にはチーフマネージャーが「玲奈の態度が悪いから、オファーが来てない。仕事は入れられないよね。事務所を辞めたとしても、やっていけないと思うけどね」と宣言。今年8・9月に公開予定の『進撃の巨人』からも出演オファーがあったが、レプロはこれを断り、仕事をもっとしたい能年との溝はさらに深まることになった。そしてついに昨年1月には、能年が「事務所を辞めたいです」とマネージャーにメールを送るまでに事態は発展。こうした能年の表明に対し、レプロの社長は激昂して「負け犬!」と言い放ったという。

 この記事では当事者である能年にも直撃している。独立騒動について記者に問いかけられても能年は無言を貫いているが、唯一「能年さんは仕事を断っているのですか?」という質問には、「私は仕事をしてファンの皆さんに見てほしいです。私は仕事がしたいです」と語っている。今年3月にもブログで〈仕事がしたい、仕事がしたい、仕事がした~い〉と書き込んでいたが、これが能年の正直な気持ちなのだろう。

 せっかく大ブレイクを果たしたのに、飼い殺し状態に追い込まれてしまった能年。もちろん、レプロとしては、同事務所の看板である新垣結衣の後に続く女優として育てようと、能年の評価を落とさない作品選びや露出量をコントロールしていた側面もあるはずだ。しかし、そのプロデュース自体が失敗だったと言わざるを得ない。

 たとえば、能年と同じく『あまちゃん』で注目を浴びた有村架純は大量露出路線で連ドラやCMに引っぱりだこ、映画も『ストロボ・エッジ』『ビリギャル』と主演作が目白押し状態。他方、そんな有村に大きく水をあけて期待されていたはずの能年は、『あまちゃん』以降、出演したのは『ホットロード』『海月姫』の映画2本と『世にも奇妙な物語』のオムニバスドラマ1本のみ。しかも、せっかく選び抜いた作品なのに話題性も弱く、いまでは出し渋りによって存在自体が忘れられそうになっている。挙げ句、こうした事務所の戦略を納得させることもできず、能年は信頼を置く滝沢氏との距離を縮めた。これでは事務所に内緒で独立を画策したとしても当然の話である。

 ただ、能年が滝沢氏に感じているであろう“私を誰よりも認めてくれる、叱ってくれる”という強い信頼関係は、相互依存という閉じた関係に変わっている可能性だって大きい。多くの報道にあるように、能年が滝沢氏の言うことしか聞かない状態にあったとしても不思議ではないのかもしれない。しかし、事務所のサポートもなく、自分が放ったらかしにされていると悩み、なおかつもっとも注目を集めている時期に演技の仕事ができなかったということが、どれほどこの若き女優を苦しめたことだろう。

 多くのマスコミは滝沢氏の洗脳だと書き立てるが、じつのところ、能年の才能の芽を摘んでいるのは事務所のほうだ。──『あまちゃん』で見せた、あの瑞々しい存在感は、このまま闇に葬られてしまうのだろうか。それはあまりにむごく、もったいなすぎる話である。
(大方 草)

最終更新:2017.12.23 07:17

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