東京五輪は本当に国民犠牲の実験場に…代々木公園では木々を剪定しパブリックビューイング会場を設営開始、しかも電通が巨額で落札

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コロナ収束の目処も立ってもいないのに、パブリックビューイングの実施を決定する狂気

 これは「東京2020ライブサイト計画」というもので、コロナ第一波前である昨年1月に作成された東京都の資料によると、〈世界中から訪れる観戦客等が、競技チケットの有無にかかわらず、誰でもライブ中継を通じて競技観戦を楽しみ、大会の感動と興奮を共有できるような会場を設置することを目指〉すとして計画。大規模なライブサイトとなる「拠点会場」には代々木公園と井の頭恩賜公園が選ばれ、競技のライブ中継=パブリックビューイングのほか、ステージイベントに競技体験、大会パートナーの出展ブース、飲食売店なども実施され、代々木公園では1日当たり3万5000人、井の頭恩賜公園では2万人の来場者が想定されていた。

 しかし、周知のとおりその後、日本も含め世界では感染拡大が起こり、東京五輪の開催も延期に。当然、この計画も見直されると思われていた。ところが、東京都で感染が急拡大していた最中の昨年12月15日の資料によると、第2波到来中の昨年9月に〈ライブサイトを実施する方針をIOC・組織委員会と確認〉したとし、こう宣言されているのである。

〈新型コロナウイルス感染症を乗り越え、都民・国民の共感を得て大会を成功させるためには、都市の活動であるライブサイトの開催は重要。適切な感染症拡大防止対策を行った上で実施〉
 
 さらにこの資料では、代々木公園と井の頭恩賜公園の2会場のほか、〈都のパブリックビューイングを核とする盛り上げ会場〉として日比谷公園や上野恩賜公園、東京都立大学 南大沢キャンパス周辺(講堂内)、調布駅前広場周辺などでも実施することを明記しているのである。

 感染拡大の真っ最中に、収束の目処もまったく立ってもいないというのに、パブリックビューイングや競技体験、関連イベントの実施を決定する──。それだけでも頭がおかしいとしか思えないが、実際に開催まで2カ月を切った現時点で東京は緊急事態宣言下にある。しかも、現在主流となっているイギリス型変異株は従来型よりも感染力が高く、事実、5月2日の時点でコロナ担当の西村康稔・経済再生担当相も「屋外でマスクを付けていても確認される事例の報告が相次いでいる」と述べているのだ。

 ライブサイトの実施について書かれている前述の資料では、感染症対策として〈3密(密閉・密集・密接)の回避〉だの〈飛沫感染・接触感染防止〉だのと並んでいるが、現在主流となっているイギリス型変異株の感染力を考えれば、屋外でも人が集まれば危険性は高い。その上、厚労省アドバイザリーボードのメンバーである西浦博・京都大学教授は5月19日、イギリス型変異株よりも感染性が50%も強いとも言われるインド型変異株について「日本でも、2カ月程度よりも短いスパンで置き換わりが起こるものと考えられる」と発言。つまり、東京五輪開催時にはさらに強い感染防止策が必要で、屋外で人が集まるパブリックビューイングの実施などもってのほかの状況になっているのは間違いない。

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