久米宏がTBSラジオの最終回で何も語らなかったのはなぜか? 圧力説がささやかれる中、その過激発言を振り返る

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ワイドショーの「韓国叩き」に「民放は数字が良ければなんでもやる」と批判

 久米の批判の矛先は大手メディアにも向いていた。2019年夏、日韓の対立をめぐって、日本のマスコミ、特にテレビはヘイト丸出しの解説やコメントが跋扈していた当時、久米はテレビの異常な嫌韓報道を真っ向から批判している。久米は同年8月17日の放送回でこう切り込んだ。

「で、中身がですね、韓国に対して厳しい意見をお持ちの専門家の方をゲストに呼んだり、韓国に冷ややかな見方をしている専門家の人をゲストに呼んだり、あのー、揶揄するようなね、韓国を。揶揄するような人たちがひな壇ゲストに並んでいたりするワイドショーがわりと多くて、どうもね、テレビが反韓国キャンペーンをやっているような匂いが、僕、少しだけするんです。それってどうなのかなって」

 そして、久米は、こうした「反韓国キャンペーン」状態にあるテレビのワイドショーについて、このように批判している。

「あの、国民がやや暴走するようなときに、それを抑えるのがじつはマスコミね、テレビとか新聞とか雑誌の役割じゃないかと、僕は思っているんですけど、どうも国民の感情が暴走しそうなのを、逆に煽ってるんじゃないかって、僕から見ると見えるんですけど」
「世論をね、なだめるような仕事をするのがマスコミの仕事じゃないかと思うんですけど、どうもね、最近ね、必要以上に韓国を非難している」

 本来は、世論が暴走しているときには冷静に「なだめる」のがマスコミの仕事であるのに、いまの状態は、テレビが国民の感情を煽っているのではないか。そう久米は批判したのだ。では一体なぜ、テレビはこんな報道をつづけているのか。久米の見立てはこうだ。

「もしかするとね、いま韓国を叩くとね、数字が上がるんじゃないかってね。(中略)そうじゃなきゃ、連日やってるワイドショーもあるんですよ。毎日、韓国叩きやってるんですよ」
「これ、たぶんね、数字がいいんじゃないかなって。民放ってやりかねませんからね。数字が良ければなんでも」

 悪しき視聴率至上主義の弊害──。久米は加えて「数字が良いってことは、つまり、韓国叩きをやると喜んでテレビを観る人が多いってことにつながっていくわけですから、これはこれでまたね、もしかするとマスコミが国民を煽ってるんじゃなくて、国民がマスコミを煽ってるっていうね」とも述べたが、「嫌韓」という国民の劣情を、視聴率が取れるからといってテレビが煽動していることに間違いはない。いや、そもそもは安倍政権が「歴史修正」と「報復」にこだわって、国民の嫌韓感情にお墨付きを与えている状況があり、テレビも心置きなく韓国叩きに精を出していると言うべきだろう。

 そんな国家ぐるみで「嫌韓」感情が醸成されつづけるなかで、「テレビがやっていることは『反韓国キャンペーン』だ!」と久米ははっきり物を申したのだ。

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