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リテラの新年特別企画
「芸能人よく言った大賞」前編! ローラ、ぱるる、古舘寛治らネトウヨに怯まない芸能人が続々、さんまもランクイン
6位 島崎遥香&大島麻衣
嫌韓に危機感を覚えて韓国の本当の姿を発信! ネトウヨに攻撃受けても怯まなかった元AKBの2人
日韓関係の悪化で嫌韓、韓国ヘイトがエスカレートした2019年、その圧力は政治や報道だけでなくカルチャーにも及んでいる。若者の間では空前の韓国ブーム、K-POP、ドラマ、映画、グルメ、コスメ、文学とあらゆる分野で韓国の人気が沸騰しているのに、テレビや芸能人がそのことに触れるのは一切タブーになっている。K-POPや韓国コスメを紹介するだけで、「反日」「売国奴」とネトウヨから攻撃を受け大炎上状態になるからだ。
しかし、そんななか、島崎遥香と大島麻衣という元AKBの2人が相次いで韓国旅行に出かけ、韓国の人たちが日本で喧伝されているような「反日」ではなく、実際に肌で感じた韓国人のやさしさや良い面を伝え、偏見を取り払うようSNSで訴えた。
嫌韓がピークだったあの時期に堂々と韓国を評価し、友好を訴えるだけでもたいしたものだが、さらにすごかったのはここからだ。
ふたりのSNSには例によって、ネトウヨが襲いかかり、口に出すのもはばかられるような偏見と差別丸出しの罵声を浴びせたのだが、大島も島崎もまったく怯まなかったのである。
まず、大島は、「It’s a small world」の歌詞(世界中どこだって笑いあり涙あり/みんなそれぞれ助け合う小さな世界)を貼り付けて〈この歌知ってます? 韓国の話するとキーキー言う人多いね 私が好きなだけで人に迷惑かけてない。好きなものを好きと言う。それだけ。シンプルな話。世界にはいろんな人がいます。気にしないで〉と堂々と宣言。
さらに、「ファンだったのに残念」「失望しました。もうファンやめます」といった類のコメントが大島のもとにも多数寄せられたのだが、このやり口にもまったく動じず、〈何がですか? 私はもともと韓国が好きと言ってるのに今更残念がられても〉と、ネトウヨたちの「ファン」宣言が嘘であることを喝破したうえで、〈日本人だから日本しか好きじゃないとダメなんですか? 地球の外に出たから地球が青いとわかったんじゃないんですか? 外の世界に出てみないとわからないことってたくさんありませんか?〉と歪なナショナリズムを批判し、「外からの視点」の重要性を強調した。
さらにすごいのは、ソウルの繁華街・ホンデで日本人女性が韓国の男性から髪をつかまれるなどの暴行を受けた事件を持ち出して批判してくる意見に対しての回答だ。
大島はネトウヨの言いがかりに対し、〈それは人間性の問題です。私は日本で男性に声をかけられ怖い思いをしたこともあります。韓国人だから。ではなくどこの国でもその人が危険な人なら危険ということではないでしょうか?〉と返答し、個人の犯罪を民族や国民性の問題にすり替えるヘイト的手法の問題点を突くコメントした。
島崎は最終的に炎上を受けて投稿を削除したものの、〈今日のツイートで考えても考えてもやっぱり他国の方が快く思わないコメントが多くて、日本人として悲しくなったので消させてもらいました。私に向けての誹謗中傷は構わないんですけどね〉と投稿。ネトウヨの排外主義的姿勢のおかしさを指摘した。
テレビをはじめとしたメディアがネトウヨからの炎上に怯えて嫌韓報道を繰り返したのと比して、彼女たちの理知的かつ毅然とした戦い方はどうだろうか。メディア関係者は彼女たちの発言を聞いて、自分たちのだらしなさが恥ずかしくならないのだろうか。
特別賞 『いだてん』と宮藤官九郎
視聴率低迷に「紅白」でも無視されたが、戦前日本の「負の部分」から逃げなかった稀有な大河だった
宮藤官九郎脚本の大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』。放送開始前は五輪礼賛、国威発揚ドラマになるのではとの危惧もあったが、ふたを開けてみれば、ふだんの大河では絶対に見ることのできない良質な作品になった。
本サイト的に特に注目したのは、クドカンの脚本が、戦前日本の「負の側面」から逃げなかったことだ。
たとえば、関東大震災を描いた回では、朝鮮人虐殺を示唆する場面を入れ、虐殺の事実をなかったことにしようとする歴史修正の動きに抗った。
また、ベルリン五輪で、朝鮮半島出身にもかかわらず日本の植民地支配により祖国を奪われ日本代表として日の丸・君が代をバックにメダルをもらうことになったマラソンの孫基禎選手と南昇竜選手のエピソードや、オリンピックの舞台となるはずだった国立競技場から学徒動員で戦地へ向かい死んでいった若者の悲劇などを、実際の映像を交えながら描いた。
そして終戦直後、満州で日本人がソ連兵から略奪や虐殺を受けたことに触れる際には、戦争中の日本人も中国の人々に対して同じことをしていたと「加害」について触れることもしている。
さらに、特筆すべきなのが、1940年東京大会が、ナチスによって政治利用されたベルリンオリンピックにならって国威発揚のために政治利用しようとした過去を描いたことだ。これは2020年東京大会に対する、クドカンからの警鐘でもあるはずだ。
もちろん、これらは過去のオリンピックの歴史を辿るなら描くのが当たり前の話だし、ひとつひとつの描写は踏み込みが甘く、物足りないと感じたこともあった。
だが、現在の政治状況下において、「大河ドラマ」というメジャーな枠でそうしたシーンを少しでも描こうとしたことは高く評価されていいだろう。実際、朝鮮人虐殺や韓国併合を描いた回がネトウヨの炎上攻撃にさらされていた。これは、逆にいえば、2019年の大河がいかに良質な作品だったかの証明でもある。
しかし、そのためか『いだてん』は放送中、マスコミでは視聴率の低迷ばかりが話題にされ、放送後は完全になかったことにされてしまった。あれだけオリンピック推しだった『NHK紅白歌合戦』でも『いだてん』のことは一言も触れられなかった。
大河ドラマの中に、歴史の真実に向き合おうとした勇気ある作品があったことを記憶にとどめてもらうためにも、『いだてん』と脚本の宮藤官九郎には特別賞を捧げたい。
ということで、新年早々、熱くお送りした「芸能人よく言った大賞」前編、この芸能人たちを応援したいという気持ちになった人も多かったはずだ。しかし「よく言った」芸能人はまだまだいる。後編では、あのイケメン俳優や大物司会者も登場するので、ぜひ楽しみにしていただきたい。
(編集部)
最終更新:2020.01.05 01:51
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