リテラの新年特別企画

「芸能人よく言った大賞」前編! ローラ、ぱるる、古舘寛治らネトウヨに怯まない芸能人が続々、さんまもランクイン

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注目を集めた「よく言った大賞」島崎遥香と古舘寛治のツイッター


 安倍政権のデタラメが次々と明らかになった2019年、しかし、メディアを取り巻く“物言えば唇寒し”の空気はさらに高まっている。特に芸能人は少しでも安倍政権を批判したり、リベラルな発言を口にしようものなら、たちまちネトウヨや安倍応援団による炎上攻撃、テレビ局やスポンサーへの電凸攻撃にさらされ、いつの間にか仕事を干されるのがパターンになってしまった。
 こんな状況だからこそ、自分の立場が悪くなることもかえりみず、まっとうな社会的発言や権力批判を口にする芸能人のこその勇気を是が非でも讃えたい。ということで今年も「芸能人よく言った!大賞」をお届けしよう。
 毎年言っているが、リテラに表彰されても誰もうれしくないどころか、迷惑に思う人が大半であることは十分わかっているつもりだ。しかし、それでも、わたしたちは彼らを表彰せずにはいられない。
 大衆に影響力を持つ彼らが言葉を発してくれたことで、国民が今まで隠されていた政治の問題点を知り、沈黙していた人たちが励まされ、権力の横暴に「NO」を突きつける声が確実に増えているからだ。
 ということで、迷惑を承知でお届けする「芸能人よく言った!大賞」、まずは前編、10位から6位までを発表しよう!

10位 明石家さんま
闇営業問題の渦中に吉本芸人でただひとり政権との癒着に皮肉!「安倍さんと大崎とゴチャゴチャ言うて」

「闇営業」騒動から吉本興業の問題点が次々と明るみになった2019年。加藤浩次(極楽とんぼ)、近藤春菜(ハリセンボン)、友近など、吉本所属の芸人たちも大崎洋会長ら吉本上層部に対する批判の声をあげた。ただ彼らの批判のポイントはもっぱら芸人の待遇やブラック体質に限られており、しかも松本人志が「大崎が辞めたら俺も吉本をやめる」と大崎擁護を宣言すると、たちまち腰砕けになってしまった。
しかし、そんななか一味違ったのは重鎮の明石家さんまだ。さんまはワイドショーがこの問題を報じなくなった後も大崎会長や岡本昭彦社長をチクリチクリと批判。『ニンゲン観察バラエティ モニタリング』(TBS)で歴代総理大臣が訪れたうどん店でロケした際は、こんなブラックジョークを放った。
「今、吉本もな、安倍さんとアレしてるからなぁ。ここでやってるんとちゃうか? 安倍さんと大崎と、ゴチャゴチャ言うて。『ちゃんとしてくれよ!大崎くん』とか言うてやな」
 これは明らかに、一部で問題になった吉本興業と安倍政権の関係を皮肉ったものだろう。吉本興業は安倍首相を吉本新喜劇に出演させるなど、政権PRに全面協力する一方で、税金を使った公的ビジネスに芸人を送り込み、巨額の政府補助金まで交付されていた。しかも、この背景には上層部と安倍首相の癒着関係があり、大崎会長は沖縄米軍基地跡地利用の有識者懇談会メンバーにまで選ばれていた。
 さんまは、他の芸人が一切ふれることができなかったこの吉本上層部の権力癒着体質に踏み込んだのだ。
 普段、政治的な発言と無縁に見えるさんまだが、ラジオでは時折、リベラルなスタンスの権力批判を口にしている。2013年にオリンピック招致が決まった時は、プレゼンの際の安倍首相や竹田恒泰JOC会長の被災地切り捨て姿勢を真っ向から批判していたし、2018年、トランプ大統領が中東や北朝鮮への挑発的姿勢を繰り返したときは、戦争に予算を使う政府に憤り、税務署に文句を言いに行ったことがあるというエピソードを語ったこともある。
 さんまがおふざけばかりしているように見えて、実は正義感が強く、弱者によりそう視点をもっているのは有名な話。そんなさんまにとって、吉本上層部が安倍首相にすり寄っているのは我慢ならなかったのだろう。
 政治力と狡猾な論点ズラシで吉本の大崎支配と政権癒着を守った松本に爪の垢でも煎じて飲ませてやりたいものである。

9位 古舘寛治
ネトウヨから「通報」されても政権批判を継続 売れっ子バイプレーヤーが抱く“全体主義”への危機感

 2019年、岸部一徳が「政権に忖度しないところが好き」と、玉川徹ファンであることを漏らして話題になったが、岸部に限らず、俳優にはリベラルなスタンスを持ち、安倍政権に批判的な人が少なくない。しかし、ほとんどの俳優は政治的なことに一切口を閉ざしているのが現状だ。
 だが、そんななか、物怖じしない発言を続けている俳優がいる。『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS)、『リーガルハイ』(フジテレビ)、『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(NHK)など、数々のドラマ・映画に出演。名バイプレイヤーとして引っ張りだこの古舘寛治だ。
 古舘が注目を集めたのはツイッターだった。昨年、古舘はネトウヨから送られてきた〈NHK大河という、公営放送の看板番組に出ている俳優の古舘寛治が政治的に偏った発言繰り返すのはいただけないので、各所通報しておきました〉というリプライを引用リツイートするかたちで、このように反撃したのだ。
〈私通報されたようです! なんの罪なんだろ? 政治偏向罪? 俳優政治発言罪? アベ批判罪?? 俺日本にいるつもりだったんだけど、、、どこの国に迷い込んだんだ? おっそろしいな〜 私はどうも全体主義国家にいるようですぞ!!!(いつ飛行機に乗せられたんだろ・・・??)〉
古舘の安倍政権批判は筋金入りで、かなり早い段階から安倍政権の危険な本質を見抜き、警鐘を鳴らし続けていた。
『いだてん』出演で注目が高まったのか、ここのところツイートするたびにおきまりの「俳優風情が政治に口を出すな」という類の罵詈雑言を浴びせかけられてきた古舘だが、とうとう「各所通報します」などというネトウヨ定番の卑劣な脅しまで受けてしまったのである。
 だが、古舘が素晴らしかったのは、こうした卑劣なやり口に口をつぐむどころか、真っ向から反論し、むしろその圧力の本質を明らかにしたことだ。
 古舘は、前述した反撃ツイートと同日に、こうツイートした。
〈実質上言論の自由が保障されてるはずの国でこんなに政治発言がしにくい国は日本くらいでしょう。つまり他の国よりずっと全体主義が近い。現に僕に絡んでくる人たちは無意識にせよ全体主義を渇望している。現政権を批判する事自体が許せないのですから。「政府に楯突くなんて許せん!」ですから〉
 いまの日本の言論状況が「政治的発言でなく、政権批判が許されない」という極めて全体主義的なものであることを、古舘は喝破したのだ。
 古舘が政治的なことに言及したのはツイッターだけではない。2019年10月には「WEB論座」のインタビューに答えて、こんなことも語っている。
「欧米人は総じて「もの申す」人々で、申さなかったらばかにされるような文化がある。(中略)でも、日本は、僕なんかからしたらトランプと安倍さんは変わらないけれど、安倍さんがこんなに長い政権を持っているということに対してボーッとして、無関心でいるように映る。社会の右傾化は世界で問題になっいるが、日本はアメリカ、ヨーロッパよりも怖い右傾化をしているなと感じる。」
 古舘の言う通り、日本社会の言論状況は批判が目に見えなくっているぶん、欧米よりもはるかに危険な状況にある。だからこそ、古舘は危険をかえりみず、鋭い政権批判を繰り返しているのだろう。
 本質を突く古舘の発言は、そのたびにネトウヨから批判に晒され、「テレビから干し上げろ」などという扇動も起きている。しかし、幸いなことに心ある製作者たちはそんな理不尽なクレームに惑わされていないようだ。1月クールからは『逃げるは恥だが役に立つ』などでおなじみの野木亜紀子が脚本を手がけるドラマ『コタキ兄弟と四苦八苦』で主演を務める予定だという。
 俳優としても発言者としても、2020年も古舘の活躍に期待したい。

8位 水原希子&ローラ
若い女性が社会的発言をするだけで袋叩きにするミソジニー圧力に負けず、今年も真っ当な発言

 環境活動家・グレタ・トゥンベリさんのケースが象徴的なように、若い女性が社会問題や政治に対し何か発言すると叩かれる風潮がある。とくに日本ではその傾向が顕著で、本サイトでも度々取り上げてきたが、水原希子やローラはその典型だろう。
 しかし、彼女たちはまったくひるんでいない。2019年も口をつぐむことなく、社会に向けて言うべきことを言い続けた。
 たとえば、これまで在日韓国人の母親とアメリカ人の父親の間に生まれた出自をめぐって、ヘイト攻撃を受けながらも、まったく怯まず、「反差別」や「多様性の大切さ」を堂々と語ってきた水原希子は、今年4月、インスタグラムのストーリーで、成田空港の入国審査官を批判した。空港の自動化ゲートで手順がわからず困っている人に対する不親切な対応を目撃して、こうコメントしたのだ。
「係の人が助けてあげればいいのに、遠目から見たりはしてるけど、なかなか助けに行く気配はなくて、入国審査官の人も席に座ったまま、日本語で『指、押して下さい』とか言って、そんなのどう考えたって分かる訳ないと思って、ようやく5分後くらいに係の人が対応してたけど。空港で5分待つってなかなか長いよ。効率良く仕事して、英語くらいちょっと勉強してPress your fingerぐらい中学生でもできるよ」
 水原の指摘はもっともだ。イレギュラーな場面で高度な英語を要求されているわけでもなく、ゲートでの手順説明というルーティンですら英語を使おうとしないというのは、ありえない。入国管理局収容施設における人権侵害問題や外国人労働問題でも、入管は外国人に対してまったく寄り添う姿勢を見せないが、これはその排外主義的体質がにじみ出たもので、水原はおそらくそのことを訴えたかったのだろう。
 2018年、米軍の辺野基地建設に反対姿勢を示し、炎上状態になったローラも同様だ。アマゾン森林火災について、日本ではまだあまり大きく報じられていなかったときに、いち早く自らのインスタグラムで発信したのだ。
〈今ブラジルでは、大規模な山火事が3週間続いています。なのにこの件はほとんどのメディアが取り上げていません。〉〈森が無くなることで地球温暖化はさらに加速し、これから様々な問題が発生します。私たちが何を食べるか、選ぶかで私たちの未来が決まります。〉と呼びかけた。
この投稿には30万件以上の「いいね!」が付けられ、大きな反響を呼んだ。アマゾン火災について知ったという人も少なくないだろう。
 もちろん、水原とローラは今回も、ネトウヨから攻撃を受けた。入管の対応を真っ当に批判した水原に対しネトウヨたちは「日本なんだから日本語で対応するのは当然」などとドメスティックな反論をするだけでなく、またぞろ〈そもそもお前日本人じゃないだろ〉〈うるせえお前韓国人だろうが!〉〈米国人と韓国人のハーフが日本人の振りして偉そうに日本人を批判してんじゃねーよ?(笑)〉などと、水原の出自を取り上げヘイト攻撃を繰り出していた。
 また、ローラについては投稿した写真に過去のアマゾン森林火災の写真などがあったため、「嘘つき」「フェイク」などと非難された。なかにはそのことで、アマゾン森林火災や環境問題そのものを矮小化するような者までいた。もちろん間違いがないに越したことはないが、アマゾン森林火災が起きていたことは事実であり、ローラが発信したからこそ知ったという人も多い。にもかかわらず些細な間違い(フランスのマクロン大統領も同じミスをしていた)を針小棒大に騒ぎ立て、環境問題の矮小化とローラの人格攻撃に利用したのである。
 こうした反応の背景には、よく言われる「芸能人が政治や社会問題を語るな」という風潮だけでなく、前述したように「物を言う女はウザい」というミソジニー心性がある。さらに、水原とローラについては二人の出自を差別するヘイト的な視線もある。
全く愚劣極まりないが、しかし、彼女たちのこと。こんな攻撃はものともせず、おそらく2020年も口をつぐむことなく言うべきことを発信し続けてくれるだろう。本サイトも、今後も彼女たちを応援したい。

7位 石田純一
2019年は嫌韓を批判し、「桜を見る会」の実態を暴露!「招待状の後に内閣官房から電話がきて、ダメと」

 2015年の安保反対デモ参加、そして都知事出馬騒動以降、メディアに顔を出す機会が減ってしまった石田純一だが、干されても叩かれてもめげることなく、その後も安倍政権批判や反戦、護憲などを発信し続けている。
 昨年も2月にニュースサイト「デイリー新潮」の連載コラムで、元徴用工の問題やレーダー照射の問題について、〈日韓問題はたがいに感情的になっているかぎり解決しない。メディアもことさら嫌悪感情を煽らないでいただきたい〉と釘を刺したうえ、「日韓請求権協定で韓国の請求権は放棄されているので、徴用工問題は解決済み」と突き放す日本側の姿勢にこう再考を促した。
〈1965年当時の韓国は朴正煕大統領による軍事政権下で民意が抑えられていた。だから、韓国人の国民感情としては、その時代に解決済みだといわれてもなかなか納得できない。そして強制労働や、劣悪な環境の労働に対する反省や謝罪は、やはりなかった。〉
 さらに石田は、安倍政権の韓国への対応と、アメリカやロシアに対する対応の違いについても疑問を呈した。
〈ロシアのプーチン大統領やラブロフ外相から「北方領土はロシア主権下にあると認めることが平和条約交渉の前提だ」なんて言われても言い返せないし、トランプ大統領にねじ込まれるまま何千億円分も武器を買う弱腰の総理が、韓国にだけ強い態度に出るというのは、いかがなものか〉
 韓国バッシング一色に染まるいまの日本で、ここまで正面からきとんと安倍政権とメディアによる“嫌韓”の間違いを指摘した者はジャーナリストや評論家でもそうはいないのではないか。
 しかし、2019年の石田の功績はなんといっても、かつて「桜を見る会」に招待された体験者として、安倍政権の招待者選別の驚くべき実態を暴露してくれたことだ。
 石田が語ったのは、「桜を見る会」が大きな問題になる半年以上も前、「週刊金曜日」(金曜日)2019年2月1日号のインタビューでのこと。石田は安倍首相と古くからの友人で、2014年と2015年は「桜を見る会」に参加していたのだが、それ以降、参加しなくなった。その理由について石田がこう明かしたのだ。
「実はいまこんなに安倍政権を批判しているけれど「桜を見に来てください」とか安倍さんから招待状が来ます」
「でも、内閣官房から後で電話がきて、ダメ、といわれる」
 そう、内閣官房がわざわざ「来るな」と電話かけてきていたというのだ。政権批判をした有名人は排除されているということを、証言したのである。
 当時、この発言は、本サイトが話題にしたくらいだったが、その後「桜を見る会」問題が大きくなると、この石田の発言が改めて注目された。
 すると石田は、「週刊ポスト」(小学館)2019年12月6日号の取材に対して、あらためてこう語ったのだ。
「僕の意見は政府の政策と違うことが多かったけど、招待状をいただいて出席の返事をしたんです。そしたら、内閣官房から『その話はなかったことに』と出席はダメといってきた。連絡は文書と事務所への電話の両方だったと思う。今年は招待状も来ていません」
 かつてポロリと発言したことが、その後大きなスキャンダルと関連して再注目されると、面倒なことに巻き込まれるのを嫌がり、その後は口をつぐんでしまう者も少なくない。
 しかし石田純一は、あらためて内閣官房から「来るな」と言われたことを証言、しかも「今年は招待状も来ていません」と新情報まで加えるサービスぶり。
 どれだけ叩かれても、干されても、発言し続ける。さすが石田というほかはない。今年はもっとテレビで露出する機会が増えてくれるといいのだが……。

6位 島崎遥香&大島麻衣
嫌韓に危機感を覚えて韓国の本当の姿を発信! ネトウヨに攻撃受けても怯まなかった元AKBの2人


 日韓関係の悪化で嫌韓、韓国ヘイトがエスカレートした2019年、その圧力は政治や報道だけでなくカルチャーにも及んでいる。若者の間では空前の韓国ブーム、K-POP、ドラマ、映画、グルメ、コスメ、文学とあらゆる分野で韓国の人気が沸騰しているのに、テレビや芸能人がそのことに触れるのは一切タブーになっている。K-POPや韓国コスメを紹介するだけで、「反日」「売国奴」とネトウヨから攻撃を受け大炎上状態になるからだ。
  しかし、そんななか、島崎遥香と大島麻衣という元AKBの2人が相次いで韓国旅行に出かけ、韓国の人たちが日本で喧伝されているような「反日」ではなく、実際に肌で感じた韓国人のやさしさや良い面を伝え、偏見を取り払うようSNSで訴えた。
 嫌韓がピークだったあの時期に堂々と韓国を評価し、友好を訴えるだけでもたいしたものだが、さらにすごかったのはここからだ。
 ふたりのSNSには例によって、ネトウヨが襲いかかり、口に出すのもはばかられるような偏見と差別丸出しの罵声を浴びせたのだが、大島も島崎もまったく怯まなかったのである。
 まず、大島は、「It’s a small world」の歌詞(世界中どこだって笑いあり涙あり/みんなそれぞれ助け合う小さな世界)を貼り付けて〈この歌知ってます? 韓国の話するとキーキー言う人多いね 私が好きなだけで人に迷惑かけてない。好きなものを好きと言う。それだけ。シンプルな話。世界にはいろんな人がいます。気にしないで〉と堂々と宣言。
 さらに、「ファンだったのに残念」「失望しました。もうファンやめます」といった類のコメントが大島のもとにも多数寄せられたのだが、このやり口にもまったく動じず、〈何がですか? 私はもともと韓国が好きと言ってるのに今更残念がられても〉と、ネトウヨたちの「ファン」宣言が嘘であることを喝破したうえで、〈日本人だから日本しか好きじゃないとダメなんですか? 地球の外に出たから地球が青いとわかったんじゃないんですか? 外の世界に出てみないとわからないことってたくさんありませんか?〉と歪なナショナリズムを批判し、「外からの視点」の重要性を強調した。
 さらにすごいのは、ソウルの繁華街・ホンデで日本人女性が韓国の男性から髪をつかまれるなどの暴行を受けた事件を持ち出して批判してくる意見に対しての回答だ。
 大島はネトウヨの言いがかりに対し、〈それは人間性の問題です。私は日本で男性に声をかけられ怖い思いをしたこともあります。韓国人だから。ではなくどこの国でもその人が危険な人なら危険ということではないでしょうか?〉と返答し、個人の犯罪を民族や国民性の問題にすり替えるヘイト的手法の問題点を突くコメントした。
 島崎は最終的に炎上を受けて投稿を削除したものの、〈今日のツイートで考えても考えてもやっぱり他国の方が快く思わないコメントが多くて、日本人として悲しくなったので消させてもらいました。私に向けての誹謗中傷は構わないんですけどね〉と投稿。ネトウヨの排外主義的姿勢のおかしさを指摘した。
 テレビをはじめとしたメディアがネトウヨからの炎上に怯えて嫌韓報道を繰り返したのと比して、彼女たちの理知的かつ毅然とした戦い方はどうだろうか。メディア関係者は彼女たちの発言を聞いて、自分たちのだらしなさが恥ずかしくならないのだろうか。

特別賞 『いだてん』と宮藤官九郎
視聴率低迷に「紅白」でも無視されたが、戦前日本の「負の部分」から逃げなかった稀有な大河だった
 
 宮藤官九郎脚本の大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』。放送開始前は五輪礼賛、国威発揚ドラマになるのではとの危惧もあったが、ふたを開けてみれば、ふだんの大河では絶対に見ることのできない良質な作品になった。
 本サイト的に特に注目したのは、クドカンの脚本が、戦前日本の「負の側面」から逃げなかったことだ。
 たとえば、関東大震災を描いた回では、朝鮮人虐殺を示唆する場面を入れ、虐殺の事実をなかったことにしようとする歴史修正の動きに抗った。
 また、ベルリン五輪で、朝鮮半島出身にもかかわらず日本の植民地支配により祖国を奪われ日本代表として日の丸・君が代をバックにメダルをもらうことになったマラソンの孫基禎選手と南昇竜選手のエピソードや、オリンピックの舞台となるはずだった国立競技場から学徒動員で戦地へ向かい死んでいった若者の悲劇などを、実際の映像を交えながら描いた。
 そして終戦直後、満州で日本人がソ連兵から略奪や虐殺を受けたことに触れる際には、戦争中の日本人も中国の人々に対して同じことをしていたと「加害」について触れることもしている。
 さらに、特筆すべきなのが、1940年東京大会が、ナチスによって政治利用されたベルリンオリンピックにならって国威発揚のために政治利用しようとした過去を描いたことだ。これは2020年東京大会に対する、クドカンからの警鐘でもあるはずだ。
 もちろん、これらは過去のオリンピックの歴史を辿るなら描くのが当たり前の話だし、ひとつひとつの描写は踏み込みが甘く、物足りないと感じたこともあった。
 だが、現在の政治状況下において、「大河ドラマ」というメジャーな枠でそうしたシーンを少しでも描こうとしたことは高く評価されていいだろう。実際、朝鮮人虐殺や韓国併合を描いた回がネトウヨの炎上攻撃にさらされていた。これは、逆にいえば、2019年の大河がいかに良質な作品だったかの証明でもある。
 しかし、そのためか『いだてん』は放送中、マスコミでは視聴率の低迷ばかりが話題にされ、放送後は完全になかったことにされてしまった。あれだけオリンピック推しだった『NHK紅白歌合戦』でも『いだてん』のことは一言も触れられなかった。
 大河ドラマの中に、歴史の真実に向き合おうとした勇気ある作品があったことを記憶にとどめてもらうためにも、『いだてん』と脚本の宮藤官九郎には特別賞を捧げたい。

 ということで、新年早々、熱くお送りした「芸能人よく言った大賞」前編、この芸能人たちを応援したいという気持ちになった人も多かったはずだ。しかし「よく言った」芸能人はまだまだいる。後編では、あのイケメン俳優や大物司会者も登場するので、ぜひ楽しみにしていただきたい。

最終更新:2020.01.05 01:51

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