「ノーベル賞は日本人ではありませんでした」報道で露呈した日本の“精神的鎖国” 文化も科学もスポーツも「日本スゴイ」に回収

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個人に与えられるノーベル賞を“日本スゴイ”で消費する国内マスコミの異常

 ただ、別に共同通信の肩を持つ気はないが、今回の件は共同に限った問題ではないだろう。周知の通り、例年、ノーベル賞の受賞者発表が近づくと、日本のテレビや新聞は「日本人受賞者の可能性は?」「これまでの日本人受賞者は?」といった特集をこぞって組む。そして、受賞者が出れば「日本中が喜びの声」などと報じるとともに、総理大臣の「お祝いの言葉」をスポーツの実況中継さながらに伝え、世の中の“万歳ムード”を作りあげる。ようするに、国内マスコミの報道姿勢はもっぱら「日本人」にだけ注目しているのだ。

 しかし、あらためて考えてもみれば、個人の功績を称える経済学賞、物理学賞、化学賞、生理学・医学賞といったノーベル賞に、本来、「日本人」か「外国人」かなんて、いったいなんの意味があるのだろう。例外的に文学賞はその性質から「ルーツ」の部分にスポットが当たるかもしれないが、その分を差し引いて考えても、日本のマスコミが「外国人受賞者」作品の普遍的な文学性、世界文学における立ち位置などを深く掘りし、視聴者たちが喧々囂々の文学論議をSNSで始める、なんて様は滅多にお目にかかれない。ようは、この国ではノーベル賞ですらも、もっぱら「日本スゴイ」になるかどうかでのみ、消費されているのである。

 こうした「日本スゴイ」の背景にあるのは、あらゆる物事に対して「国家への貢献」を求め、意にそぐわないものを「反日」として排斥する安倍政権下の風潮だろう。「日本人」と「外国人」で二分し、前者にのみ賞賛を注ぎ、後者は「日本と縁があるか」「日本のことが好きか」と日本との関係を血眼になって探しその1点に焦点を当てそれがなければスルー。そんなふうにして、いまやすべてが“内向き”になっている。

 文化や芸術の領域でもそうだ。出版界では翻訳文学の点数がどんどん減少し、洋画離れも洋楽離れも叫ばれて久しい。こういう“ガラパゴス現象”を目の当たりにすると、外からの新しい知識を欲し、国際感覚に鋭敏であることをよしとする風潮は、もはや過去のものになってしまったように感じる(その意味で、若い世代がK-POPや韓国文学などに親しんでいることは数少ない希望のひとつである)。

 一方で、書店には、ひたすら日本を賞賛する「日本スゴイ本」が平積みにされ、中国・韓国を貶すヘイトまがいのタイトルが並んでいる。テレビをつければ「外国人」に「日本美術」や「日本製品」を賞賛させる番組が目立つが、慰安婦問題を象徴する「平和の少女像」が脅迫やテロ予告の標的となって美術展が中止に追い込まれた。あいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」中止問題をめぐっては、海外で美術関係者が連名で抗議したり署名運動が行われたが、日本の政治家やネトウヨはハナから無視しているし、一般の人々のほとんども国際的な目線を気にかけない。また、世界的な「#MeToo」ムーブメントが日本ではいまだ局所的であるように、国際的なソーシャルイシューに対する姿勢も完全に遅れている。

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