星野源はなぜ大衆ウケするようになったのか?…いまだから語れる、くも膜下出血が変えた人生観

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星野源を根本から変えたくも膜下出血

 ここで語られている通り、「化物」は13年5月に発表されたアルバム『Stranger』に収録されている曲で、この楽曲のレコーディングを終えた直後、星野は猛烈な頭痛を訴えて緊急搬送。くも膜下出血と診断されて急きょ手術を受けることになる。

〈気が付けば深夜2時。ボーカルとコーラスの収録を終え、これですべてのレコーディングが終了という達成感の中、スタッフ皆で拍手をしていると、急に目の前がぐにゃっと曲がった。
 あれ?
 猛烈な勢いで変な気分になり、誤摩化そうと携帯電話を手に取り「メール見てくる」とスタジオの外に出ると、バットで頭を殴られたような痛みとともに、立っていられなくなり、地面にへたり込んだ。
 痛い。頭の中が超痛い。歩けない。壁を伝いながらよろよろとスタジオに戻り、スタッフに頭痛を訴え、保冷剤を持ってきてもらった。それを頭に当て、ソファに横になったが痛みは増す一方で、結局救急車を呼んでもらった。
(中略)
 翌朝、くも膜下出血という診断が下った。脳の動脈に慢性的な動脈瘤があり、そこからの出血だと言われた。現在出血した場所はかさぶたのように塞がり血はひとまず止まったが、なるべく早く手術をしなければならなくなった。
 その日の夜7時に、動脈の管を通して行うカテーテル手術をすることになった〉(『蘇える変態』マガジンハウス)

 この手術はうまくいき、星野はいったん仕事復帰するものの、ほどなくして再発。今度の手術は、執刀医に開口一番「手術やりたくないです」とまで言われるほど難易度の高いものだったが、奇跡的に後遺症もなく完治させることに成功した。

 そんな大病を患う前に書いた「化物」は、ステージを終えて日常に帰った「僕」が、風呂場のなかで急に無常感に襲われたときの心の叫びを〈誰かこの声を聞いてよ 今も高鳴る体中で響く 叫び狂う音が明日を連れてきて 奈落の底から化けた僕をせり上げてく〉と歌っている。これは、舞台で共演した中村勘三郎に聞いた話を自分の体験と重ね合わせて歌ったものだと本人は語っているが、確かに前述の対談で星野が言うように「僕のことを誰かわかってくれ!」という主張が前面に出ている。

 一方、病気が完全に治ってから、15年5月にリリースされた「SUN」にはそのような要素はいっさいない。〈Baby壊れそうな夜が明けて 空は晴れたよう Ready頬には小川流れ 鳥は歌い 何か楽しいことが起きるような 幻想が弾ける 君の声を聞かせて 雲をよけ世界を照らすような 君の声を聞かせて 遠い所も雨の中も すべては思い通り〉と歌われるこの曲には、〈壊れそうな夜が明け〉た後の晴れ渡った気持ちが徹頭徹尾盛り込まれている。そんな「SUN」の歌詞について、星野はこのように種明かししている。

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