弘道会幹部逮捕など暴力団摘発が続く中、覚せい剤逮捕歴もある「組長の娘」が暴力団離脱者の支援に取り組み

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『組長の娘 ヤクザの家に生まれて』(新潮社)

 山口組の分裂騒動が報道されてから1年以上が経過した。マスコミが煽っていた派手なドンパチはないが、警察の暴力団摘発の動きはますます厳しさを増している。9日には、警視庁が、山口組の中核組織・弘道会(名古屋市)の東京における実質的な責任者といわれる組長を恐喝未遂容疑で逮捕したことを発表した。

 この容疑は借金の取り立てをめぐるもので、かなり強引な逮捕だったのではないかとも言われているが、こうした厳しい摘発に、暴力団の構成員は減少の一途をたどっている。北海道警察がホームページで公にしている情報によると、全国の暴力団構成員の総数は、昨年末の時点で39100人。前年からは7800人減少で、ピークだった1963年の数と比較すると4分の1以下だ。

 こういったデータを見る限り、一見、社会から暴力団を追い出すことには成功しているように見える。しかし、その結果、社会から「暴力」をなくせているかについては疑問だ。暴力団離脱者の再就職などに関しては行政も支援の策を講じてはいるが、それがうまくいっているとは言い難い。むしろ、法律で無理やり社会から暴力団を追い出したことで、彼らをマフィア化させてしまっているのではないかという声は根強い。

 暴力団離脱者の支援に関する問題が山積しているなか、こんな興味深い本が出版されていることをご存知だろうか。犯罪社会学を専門とする久留米大学非常勤講師の廣末登氏による『組長の娘 ヤクザの家に生まれて』(新潮社)だ。この本では、祖父と父が暴力団幹部で、自らも覚せい剤営利目的有償譲渡と使用の罪により刑務所に服役した過去をもちつつも、現在は暴力団離脱者に対して草の根の支援を行っている中川茂代(仮名)さんのライフストーリーを追いながら、彼女の人生と現在の活動を見ることで、いまの行政が行っている支援に足りていないものが理解できるとしている。

 前述の通り、中川さんはヤクザの家系に生まれた。父も母も急に蒸発したり、また家に戻ってきたりと複雑な状況のなか育ったという。そして、中学に上がったころからだんだんとケンカに明け暮れる生活へと突入していくのだが、決定的に深みにハマっていったのは18歳のころ。覚せい剤を覚えてしまったことがきっかけだった。その結果、逮捕。懲役1年、執行猶予3年の判決を受けることになる。

 しかし、その後は結婚。子どもにも恵まれ幸せな日々を送る。だが、平和な日々は永遠には続かなかった。結婚から10年近くの時が経ったあたりから、また雲行きが怪しくなりだす。はじまりは、友人の付き合いで行ったホストに夢中になったことだった。しかも、まずいことにこのホストと不倫関係になってしまう。そのことで生じた悩みが、再び覚せい剤に手を出すきっかけとなる。

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