ブラ弁は見た!ブラック企業トンデモ事件簿100 第3号

セクハラで訴えた労働者をクレーマー扱い、「口がくさい」「家族自慢がウザい」で雇い止め…トンデモ労働審判

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「トンデモ」な事件というと、どのようなものを想起されるであろうか。思い返しても、ひどいなという事件はそれなりに手がけてきた。

「1年後に正社員に登用するから」を言い訳に、契約社員に対して一切の残業代を支払っていなかった会社とか。
 いまで言う「パタハラ」であるが、育児があるからと何度か残業を断ったことを理由に解雇してきた会社とか。
 役員からセクハラを受けた労働者が改善を求めたところ、その労働者のほうを東京に転勤させようとした会社とか。
「この作業が終わるまで帰るな!」と労働者を会社に2泊させ、あまりのことに心配になった夫が会社に駆けつけたところ、妻が顔面蒼白でぐったりしており、慌てて救急車を呼んだケースとか。

 また、会社側が「『解雇』と言ったら負け」と思うあまりに、解雇というかたち以外で労働者を追い出そうと、自宅待機を命じて賃金を大幅減額、あるいはゼロとしたり、正社員なのに「アルバイト勤務を命じる」という辞令(!)を発行したり、といったケースも。恐ろしいことに、前者も後者もそれぞれ複数手がけた。

 なお、この「『解雇』と言ったら負け」信仰は相当蔓延しているらしく、弁護士経験が7年程度の私でも、「呼び出されて退職届を書くことを無理強いされた」といった類型の事件を、2桁にはならないが、それに近いくらい経験している。

 さて、ようやく本題。前回の連載で、労働審判の話が出た。労働審判は、原則として3回以内の期日での解決をめざす、いわば「短期決戦」の制度である。

 地域差もあると聞くが、私のいる大阪では、とにかく初回が勝負、という運用がなされているように思う。初回期日で終結してしまうことも、決して珍しくない(余談であるが、初回で細部まで聞き取りを行い、労働審判委員会が心証を開示するところまでいくため、かつて、15時に始まった期日が18時40分までかかったことがある。これ以来、私は依頼者さんに期日連絡をする際には必ず、「延びてしまって遅くなることもあります」と念押しするようになった)。

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