『SMAP×SMAP』最終回、SMAP最後の日に捧ぐ

この寂しい最後こそSMAPの誠実さだ! 他の“ビジネス仲良しグループ”とは違った5人の本物の関係、そして…

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

『SMAP×SMAP』という番組にとって最初にやってきた試練は、放送開始から約1カ月足らずで森且行が脱退したことだった。森が事務所を辞めてレーサーの道を選んだことがジャニーズに歓迎されなかったことは、脱退後、SMAPの歴史から森の存在が抹消されたように扱われたことからもよくわかる。しかし、事務所が森に対して冷たい態度に出ても、『SMAP×SMAP』で森自らが選曲したメドレーを歌い、送り出した。そのとき、最後に「BEST FRIEND」を歌い終わると、いつもならメンバーを仕切る中居が号泣しているためにすぐさま木村が場を回し中居をフォローしたシーンは、やはりSMAPは木村と中居というツートップがいてこそ成立し得たことを示していただろう。

 それは稲垣が道路交通法違反で、草なぎが全裸事件で、ともに謹慎処分となった後の復帰放送でも同じだ。緊張感を漂わせた中居に対して木村は明るく盛り上げるという引っ張り方で、『SMAP×SMAP』という番組はグループの危機を生放送の「ショー」として公開し、視聴者を巻き込むかたちで「危機を絆で乗り越えようとするSMAP」を肯定して見せてきた。2013年に放送された「SMAP5人旅」において、カラオケの「BEST FRIEND」に中居が涙したことがあれだけの大反響を呼んだのは、「危機を乗り越えてきたSMAP」を視聴者が目撃してきたことの結果でもある。

 しかし、解散危機報道が出たことでおこなった「公開生謝罪」は、そうではなかった。

 本サイトでは繰り返し伝えてきたが、育ての親である飯島マネージャーが退職に追い込まれたのは、娘可愛さにメリー副社長の目の敵にされたことが原因であり、すでに昨年1月の段階から「SMAPと一緒に出て行け」と宣告されていた。そうしたなかでSMAPが飯島氏とともに独立を画策したことは、不義理でも何でもない、当たり前の行動だった。そして、2015年に放送された『SMAP×SMAP』を見返しても、実際は大きな不安を抱えていたのだろうが、彼らには曇りはない。12月、木村が手のひらを返すまでは。

 木村の裏切りだけではない。あの生放送の公開謝罪で、別にSMAPは謝罪する必要なんてなかった。視聴者には「心配しないで」とだけ説明すればよかった。だが、悲痛な表情を浮かべて真意とは思えない謝罪を口にしなければならなくなったのは、既報の通り、メリー副社長からの要求だったからだ。──これまでSMAPは危機を乗り越えるために『SMAP×SMAP』で生放送を選んで視聴者に語りかけてきたが、そうした大事にしてきた舞台をメリー氏によって蹂躙されてしまった。あの瞬間に、『SMAP×SMAP』も、SMAPも、壊れてしまったのだ。

 そう考えれば、あの日以降、ギスギスした5人のまま番組が継続されたことは当然の話だった。信頼し合い、言いたいことを言い合ってきた関係は、もうそこにはなかったのだから。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

この寂しい最後こそSMAPの誠実さだ! 他の“ビジネス仲良しグループ”とは違った5人の本物の関係、そして…のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。SMAP大方 草の記事ならリテラへ。

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄