嵐・二宮がアカデミー賞! 『母と暮せば』公開時に吉永小百合と山田洋次監督が語っていた安倍政権と安保法制批判

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 そして吉永が、「戦後七十年ということなんですけど、今、もう「戦後」という言葉がなくなってしまいそうな時代になっています」と言うと、再び坂本も「やはり一人一人が自由にものを言えないような時代というのは本当に不幸な時代です。今の日本を見ると、自分が生きている間にこんなにも悪くなるとはとても想像していなかったような、とんでもない時代になってきたなという気持ちがあります」と応答している。

 もちろん、メガホンをとった山田洋次監督はなおさらだ。とくに山田監督は、戦時中を満州で過ごし、「飢餓寸前にまで追い込まれて、最後は引き揚げ船に荷物のように積み込まれて日本に帰ってきました」と言う戦争体験者でもある。

「SWITCH」での瀬戸内寂聴と対談では、山田監督はこうも語っている。

「(「聖戦」という名のもとに)日本の軍隊はそうやって何十万、何百万人を殺したし、また殺されもした」
「人類は世界中の人を何十回も殺せるような沢山の原子爆弾を持っていて、その製造を悲しいことに、いまだ止められないのです。原爆や戦争のことを僕たち戦争を知っている世代は、くり返し、くり返し語り継がなくてはいけないのでしょうね」

 そして、瀬戸内がこの夏、国会前に出向いて安保法制に反対の声をあげたことを「素晴らしいことです。よくおいでになった」と称賛し、「今SEALDsのような若者たちが出てきたのは、希望だと思います」と山田監督は語るのだ。

 戦後70年の終わりに『母を暮せば』という映画がつくられたのは、偶然ではない。現在、また日本が戦争へ歩を進めていること、政治家たちが「何十万人でなければ大虐殺とは呼べない」などと戦争犯罪を矮小化しようとすること、そうしたことをなんとしても止めなくてはという強い気持ちが、表現としていま結実したのだろう。

 しかもそれは、日本において一流とされる映画監督、女優、音楽家たちによって共有されている危機感だ。言論弾圧発言が飛び出した例の自民党による「文化芸術懇談会」は、「有名人に『首相のやっていることは正しい』と発信してもらえば、一気に広まる」と期待していたというが、この国が生んだ世界的な映画監督や音楽家、日本を代表する大女優は、そんな煽動に加担するほど馬鹿ではない。ぜひ、真っ当な感性の集合によってつくられた『母を暮せば』という映画を、この節目に多くの人が胸に焼きつけて欲しいと思う。
(水井多賀子)

最終更新:2018.10.18 03:46

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