村上春樹「侵略は事実、謝るべき」発言はポーズじゃない! 初期作品にも東アジアへの罪の意識

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村上春樹『村上さんのところ』(新潮社)

 村上春樹は政治的姿勢を強めている― ここ数年の村上の言動を見ていると、そんなことを思う人もいるのではないだろうか。国際舞台では、システムや権力を「壁」に、その立ちはだかる壁の前に立つ「私たち」を「卵」と見立てた、2009年のエルサレム賞受賞時の有名なスピーチに始まり、11年のカタルーニャ国際賞受賞時の「日本人は核に対する「ノー」を叫び続けるべきだった」という反原発を訴えたスピーチ、昨年はドイツの新聞社主催の「ウェルト文学賞」でも、「壁のない世界」の実現を願う旨のスピーチを行っている。国内に目を向けると、先月5月13日まで限定公開をしていたホームページ「村上さんのところ」では、「15万の人々の人生を踏みつけた効率に何の意味があるのか」と、原発推進派を真っ向から批判した。

 かつて村上春樹は自らの創作について、「デタッチメント(社会とのかかわりのなさ)」を大事なポイントだと挙げ、その作風や政治にコミットしない姿勢から、「ノンポリ文化人」だと揶揄されてきた過去がある。だからそのレッテルを払拭するかのようなこの最近の目立った政治性へのアプローチの裏には、今年こそノーベル文学賞を取るぞ、という村上流マーケティングがあるのではないかという声も聞かれる。ここ数年、毎年10月になると、ノーベル文学賞を受賞するかしないかで過剰な報道がされるのが最早おなじみの風景になったが、そもそも村上はロビー活動がまったく足りないから受賞はありえないだとか、作風が通俗小説的であり、信条的に「左寄り」の作家の受賞が多いノーベル文学賞の受賞ははなから無理なのではないかという説もある。なかなか受賞できない現実にそろそろしびれを切らした村上が、政治的発言をすることでアピールをしているのではないかというわけだ。

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