今年も落選!村上春樹はそもそもノーベル文学賞候補ではないとの説が!?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
haruki_10_141010.jpg
「ノーベル賞よりカフカ賞のほうがエラいんだい!」と強がるファンもいるとかいないとか(画像は「ニューズウィーク日本版」2013年5月21日号/CCCメディアハウス)

 昨晩ノーベル文学賞が発表され、フランスの作家・パトリック・モディアノが受賞。ブックメーカーなどで有力候補とされていた、村上春樹はまたしても受賞を逃した。

 2006年カフカ賞を受賞して以降、10月には毎年のように、「今年こそ村上春樹受賞なるか」と様々なメディアが大騒ぎを繰り広げている。昨日も、書店の村上春樹コーナーや、ハルキストと呼ばれる春樹ファンたちがカフェに集まり受賞の報せを待つ様子、春樹ゆかりの海外のファンの声など、今年こそはと受賞を期待する特集が展開されていた。

 そして、別の作家の受賞が発表され「がっかり」……というところまでが、風物詩となっている感もある。ここまで落選が続くと、結局このまま獲れないんじゃないか、と不安になっているファンもいることだろう。

 村上春樹はこれから先もノーベル文学賞は獲れないのではないか。こう指摘するのは、評論家で作家の小谷野敦。小谷野は、著書『病む女はなぜ村上春樹を読むのか』(ベスト新書)のなかで、春樹ノーベル賞の可能性について様々な角度から考察しているのだ。

 そもそも村上春樹はノーベル賞の候補に本当に入っているのか。そこから小谷野は疑問を呈する。というのも、この時期報道でよく目にする「下馬評で1番人気」「最有力候補」などというのは予想屋が勝手に予想しているだけのもの。ノーベル賞の選考委員会は候補を公表しているわけではない。ノーベル賞委員会は50年経つと候補を公開することになっており、たとえば今年はじめに1963年の最終候補から三島由紀夫が一歩手前で漏れていたことがわかったり、当時日本では全くノーマークだった賀川豊彦が実は1947年の候補だったことが50年を経て初めてわかったり、などということがあった。春樹がこのまま受賞しなければ、本当に候補に入っているかどうかは、50年経たないと真相はわからないというわけだ。

 小谷野が「ノーベル賞受賞に当たっては不利な要因」としてまず挙げるのが、「村上春樹は日本ペンクラブ会員ではない」ということ。そんなことで決まるの?と思うかもしれないが、日本人初のノーベル文学賞作家である川端康成は、日本ペンクラブ会長を17年という長期にわたって務めており、2人目のノーベル文学賞作家の大江健三郎も、ペンクラブ理事、副会長だった。

 しかも単にペンクラブの役職に就いていればいいというわけではなく、「根回し」が重要だと小谷野は見ている。川端は会長任期中に日本で初めての国際ペンクラブ大会を開いており、その関係で西洋へもたびたび行き、さらに国際ペンクラブの副会長も務めており、「西洋社会への根回しは十分だった」。大江も「海外へ出ることも多く、それなりに根回しはしていた」。一方、海外での評価も高く候補に入っていたが受賞には至らなかった谷崎潤一郎は、飛行機が怖くて一度も西洋へ行ったことはなかったのだとか。

 さらに政治的な立ち位置も関係している。小谷野に言わせると「ノーベル賞委員会は、少し左寄りである」という。たとえば、アメリカで初めてノーベル文学賞を獲ったシンクレア・ルイスや、授与されたが辞退したサルトルも、社会主義的だった。日本では保守派と見られる川端康成も「その辺はぬかりなく、戦後は平和主義の仮面をかぶり続けた。ノーベル賞をとってしまうと地金が出て、(略)以後日本ペンクラブは右寄りに」なったという。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

病む女はなぜ村上春樹を読むか (ベスト新書)

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

今年も落選!村上春樹はそもそもノーベル文学賞候補ではないとの説が!?のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。文壇村上春樹酒井まどの記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 れいわから出馬 水道橋博士が主張する「反スラップ訴訟法」の重要性!
2 葵つかさが「松潤とは終わった」と
3 維新に反省なし!女性蔑視の石井議員は開き直り、松井代表は経歴詐称を擁護
4 町山、ロマン、水道橋、春日、豪の論戦
5 「報道の自由度ランキング」下落報道でNHKが政権忖度し削除した文言
6 自公維の「国民投票法改正案」に批判の声!小泉今日子も反対表明
7 X JAPAN、TAIJIの死の謎
8 古市憲寿が政府のコロナ対策を検証する「有識者会議」入りで疑問の声
9 『女が嫌いな女』アンケートの噓を暴く
10 オリラジの吉本興業退所でマスコミが触れない松本人志をめぐる圧力
11 古舘伊知郎“最後の一刺し”がテレビ大賞
12 水道橋博士を訴訟恫喝、松井市長が感染者入力を外注、委託料は言い値の1億円
13 朴槿恵と同じ!安倍も操られていた
14 坂上忍『バイキング』打ち切りはフジ上層部による政権批判潰し
15 吉村知事肝いりの大規模入院施設の利用率が最大7%で閉鎖
16 アムウェイにキラキラ女子が急増中!
17 川島なお美が近藤誠の診断を告発
18 乃木坂46橋本奈々未が背負った貧困
19 名古屋リコール不正で維新市議が関与を証言!吉村知事、松井市長の責任
20 ペジー社社長の財団が山口敬之の実家に
1「報道の自由度ランキング」下落報道でNHKが政権忖度し削除した文言
2自公維の「国民投票法改正案」に批判の声!小泉今日子も反対表明
3維新に反省なし!女性蔑視の石井議員は開き直り、松井代表は経歴詐称を擁護
4 れいわから出馬 水道橋博士が主張する「反スラップ訴訟法」の重要性!
5古市憲寿が政府のコロナ対策を検証する「有識者会議」入りで疑問の声

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄