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安倍政権のテレビ局への圧力は「放送法」の拡大解釈だった! メディア法の専門家に聞く

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──「行政指導」は、実際にはどのくらいの効力を持っているんでしょうか?

「指導では決して『免許を取り消します』とは言いません。一番多いのは『事実に反する』という言い方です。例えばある番組で政府に批判的な意見が見られた場合、政府の側はあくまで『政治的公平に反していますよ』と指摘する。でもそれは、実質的には国が『この内容は法律違反だ』と決めることです。そう言われれば当然番組は変えざるを得ず、場合によっては打ち切りにもなりかねません。反論なんかしたら免許を取り消されちゃうから、局側は『すいません』と謝るしかないんです」

 ここまでの話を踏まえれば『NEWS23』『報道ステーション』への介入からはじまって古賀・藤井批判に至るまで、現在起こっていることは放送法の理念に180度反している現象であることが明らかになる。進行しているのはむしろ、「中立・公平さ」という言葉を逆手に取った権力者による暴走なのだ。これはむしろ「放送法ファシズム」とでも呼ぶべき事態ではないだろうか。

 中立・公平さとは本来どうあるべきなのかを尋ねてみたところ、山田教授は「『中立』とか『政治的公平』って、あるかどうかは誰もわからない幻想みたいなもの。チャンネル数が限られていた当時の歴史的遺産みたいなもので、現在の放送法4条を今後も死守する必要はないと思っています」と断ったうえで「ただ自分たちの自主的な決まりとしての『公正さ』はあった方がいい。少数者の意見に耳を傾けて番組を作っているか、あるいは特定の事件に対して、一方的に対象を断罪するのではなく反論の機会を与えているか──むしろそういう形で放送局は自らを律する番組基準として『公正さ』を保つべきだと思います」と語った。

 現在の状況が続いた結果、本当に恐れるべきは、政治家に言われずともマスコミが自ら進んで政府の意に沿わない報道を「自粛」する空気が醸成されてしまうことだ。4月に刊行された藤井聡氏の新書『大阪都構想が日本を破壊する』(文春新書)のあとがきで、藤井氏は橋下市長との一連の出来事を元に、以下のような危機感を訴えている。

〈(エッセーが)ある種の騒動にまで発展したのは、「都構想」にわずかでも疑問を差し挟むことを「タブー」と見なす空気がメディア、言論空間に濃厚に存在していたからに他なりません。(略)「都構想」をめぐる著しく硬直化した空間は、それ自体が「都構想」の中身に勝るとも劣らぬほどの巨大な問題なのです。〉

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