曽野綾子がアパルトヘイト発言で大炎上! でも安倍政権の移民政策も本質は同じ

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 通常、国家が外国人労働者を受け入れる場合は移民局などの部署を設けて、外国人と自国民が共存できる環境と法制度を整えることになっている。ところが、日本政府はそれをやらずに、外国に日本の技術を伝えること目的とした「技能実習制度」を悪用。これをすべての職種に広げ、数年間限りのビザを出して期限がきたらさっさと帰らせる制度にしようとしているのだ。

 この背景にはもちろん、労働人口の減少で働き手は必要だが、 日本に居ついて子どもや家族をつくられては困るという身勝手な論理がある。技能実習制度については、米国務省からも「人身売買制度」と批判を受けているが、日本政府は改めるどころか、まさに曽野の言う「移民としての身分を厳重に守らせる奴隷制度」づくりを行っているというわけだ。

 そう考えると、今回の曽野のような差別的言説が全国紙に掲載されるのも偶然ではないだろう。政権自体が曽野的な価値観を是としているからこそ、こういう言説が大手をふって流通する。

 彼らに対しては、ネットでの炎上もおそらく効果がないだろう。曽野はそもそもネットの反応なんて一顧だにしていないだろうし、マスコミは作家タブーに阻まれて曽野を批判できない。そして、産経も商売に直結するユダヤ団体にはすぐ謝るが、弱者の介護職やアジアの労働者には謝罪なんて絶対しないだろう。  

 曽野と産経の編集幹部の間では今頃、「いやいや曽野センセイ、ご高説が大反響でして、さすがですな」「あらそう? 正論を言ったまでですわ」などという会話が交わされているかもしれない。

 彼らはおそらく、今後もこうした言説をふりまくことをやめないだろう。そして、安倍政権も対外的には「人種差別には断固反対する」といったタテマエを口にしながら、国内では弱者を虐げ、差別をむき出しにする曽野的な価値観をじわじわと拡げていくはずだ。

 そして、その先にあるのは、保守主義や民族主義ですらない、国家主義と新自由主義とをかけあわせたグロテスクな差別国家である。
(野尻民夫)

最終更新:2017.12.13 09:25

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