“嫌韓反中本”“ヘイト本”を売る書店員の苦悩とは? 問われる出版社の製造責任

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 言うまでもなく、書店は商売をしているわけで、売れ行きがよい本が前面にプッシュされるのは自然だ。しかし、ヘイト本のように明らかに反人権的である場合には、どう対応するべきなのか。実際、拒絶反応を示す書店員は少なくない。

「個人的には、絶対に売りたくないです」(雑誌・ムック担当)
「客観的に見れば対外的に良いことは何ひとつなく、どうしてこういう行動をとるのかわからない」(人文担当)
「『愛国』という言葉を他の民族を排除し貶める意味で使用しているみたいで恐怖を感じます」(法律・政治・経済・経営担当)

 他方で、このような意見もあった。

「それらの本を置くことに書店員が良心の呵責を感じていようといまいと実際に置いている以上、なんら免責されるものではないのは明白でしょう。(略)同業者に対して必死に言い訳している書店員こそ、小売業の風上にも置けない輩であると思います。第一、実際に自分の棚から購入されているお客様に失礼です」(政治経済・就職担当)

 しかし、この問題で書店員の責任を追及するのはあまりに酷だろう。むしろ最大の問題は、こうした本をつくりだしている出版社の体質だ。

 そもそも、出版社は商業的な理由から「売れる」ネタに殺到するものだ。ある出版社からベストセラーが飛び出せば、それに続く第2段、第3弾を同じ著者に依頼するし、他社でも似たような企画が大量に持ち上がる。こうした“2匹目のドジョウを狙う”姿勢はかねてから見られたものだが、それでも10年ぐらい前までは、部数がさほど期待できない地味な学術書や海外翻訳ものなどを扱い続ける部署も多かった。

 ところが、ここ最近の出版業界では、明らかに「売れる」ネタと「売れない」ネタの売り上げ格差が激しくなっている。ゆえに、一定以上の部数が見込める“手堅いコンテンツ”としての嫌韓反中ネタを手放すことができない──これが出版社側の理屈らしい。

 ヘイト本の多くは新書や安価なつくりの単行本で、内容も極めて分かりやすい。出自や民族など、取り消すことのできない属性に対して一方的に相手を貶めることで、一部の日本人読者に優越感を与える。鬱憤のはけ口としてうってつけで、かつ、ファストフードのように手頃なのだ。

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