現役続行か引退か? 浅田真央、迷いの原因は“キム・ヨナルール”導入!?

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 報道では「6種8トリプルの偉業を見事成功!」という見出しが踊り、 “伝説”の演技と大々的に讃えられたが、しかし、実際のソチでのフリーでは、トリプルルッツにエラー、トリプルフリップ+トリプルループの連続ジャンプの2つ目のループが回転不足、ダブルアクセル+トリプルトゥループの連続ジャンプの2つ目のトゥループも回転不足と判定されている。つまり、「6種8トリプル」でなく、「4種5トリプル」に成功したにすぎない。

 しかも、前述したように、ソチでたまたまエラーがついたわけではない。2007年にジャンプの踏み切りの厳格化の方向でルール改定されて以降、浅田はルッツを飛んでもエラーとなるか、あるいは踏み切りを意識しすぎるあまり2回転や1回転になってしまう事態が頻発。08年にはタラソワコーチのもとで矯正に取り組むが改善できず、ついにバンクーバー五輪に出場した09年シーズンでは、演技にルッツジャンプを入れるのをやめてしまった。さらにバンクーバー後はすべてのジャンプを見直すと宣言したが、佐藤信夫コーチはある程度の年齢になってからの矯正は全体のバランスを崩すため、矯正には否定的だったともいわれている。そうして結局、エラーを修正できないままソチ五輪に挑んだのだ。

 浅田につきまとう厳格化という足枷──。このためネット上では、昨年のルール改定を「真央つぶしのための新ルール」と見る向きがあり、他方で正式に引退を表明したにもかかわらず「キム・ヨナのためのルール」などと揶揄する声もあがった。

 しかし、新ルールは一概に「真央つぶし」とは言えない。そもそもルッツかフリップのどちらかがエラーになってしまう選手は少なくないし、07年にルールが厳格化された際も多くの選手が苦しんだ。キム・ヨナの場合もそれは例外でなく、現在、羽生のコーチを務めるブライアン・オーサーも、先日発売した著書『チーム・ブライアン』(講談社)でキム・ヨナのコーチ時代を振り返り、「(フリップで)たまにエッジで違反を取られていた」「気をつけて跳べば大丈夫ですが、実際に試合となると曖昧と判定されるケースがあった」「ヨナのトリプルフリップのエッジが正しいかどうかをメディアが噂し、それを映像にとって確かめ、全世界に報道することがわかっていました」などと記述。キム・ヨナもエッジの判定についてかなりナーバスになっていたことがわかる。

 また、これまでのルール変更では、浅田に有利な改定もあった。というのも、トリプルアクセルの基礎点は上がっているのだ。07年には7.5点だったのが、08年には8.2点、10年には8.5点と上がりつづけている。トリプルルッツは6.0点のままだったり、トリプルループが5.0から5.1に、トリプルトゥループが4.0から4.1という微増であることを考えると、トリプルアクセルの点数の上がり方は突出しているといえるだろう。

 女子でトリプルアクセルを試合に恒常的に入れているのは浅田だけなので、この恩恵を受けられるのは実質的に彼女だけ。10年の改定時にはISUの平松純子理事がトリプルアクセルの点数を上げることをずっと働きかけていたと語っているが、これは浅田を意識した行動だったはずだ。

 それでも、ルール改定のほかにも判定や採点システムを非難する声は大きい。それもこれも浅田がキム・ヨナに勝てなかったことからヒステリックな反応を引き起こしていると思われるが、前述のオーサーコーチは「新採点法になったことでスケートの採点法は改善したと私は思っています」と評価し、その理由を「旧ルールのように「技術点」「芸術点」だけではなく、ジャンプやスピン、滑りなど何十項目ものチェックがあり、それによって点数が決まるからです。国籍や出自と関係ない、とてもオープンな採点です」と述べる。また、荒川静香も著書『誰も語らなかった 知って感じるフィギュアスケート観戦術』(朝日新書)で、「(よく「公平か」と質問されるが)ほとんどの場合、納得できるもの」と同じように新採点システムを評価している。

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