『アナと雪の女王』は原作レイプなのか!? ディズニー原作改変の功罪

2014.12.24 06:51
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

 ただ、今回「原案」という形が取られたことには、もう1つ理由があるかもしれない。叶によると、実は『アナと雪の女王』には『雪の女王』以外にも参考にされたと思われる作品があるというのだ。それが、『雪の女王』から17年後に発表されたアンデルセンの『氷姫』と『雪だるま』。

『氷姫』の主人公である少年・ルーディは、幼い頃に両親を亡くした。その際、死の世界へと引き込もうとする氷姫にキスされるも奇跡的に生還し、大人になるのだが、結局、結婚式の前日に氷姫の2度目の口づけによって死に至る。そのストーリーは、幼い頃にエルサの魔法が当たり、2度目で氷の彫像と化したアナと重なるところがある。また、『氷姫』の外見は「雪のように白い長い髪と、青緑の着物とが、ひらひらひるがえって、深いスイスの湖の水のようにきらめきます」と書かれているのだが、それは氷の城を築いたあとのエルサに似ているではないか。

 一方、『雪だるま』は、屋敷の庭に作られた雪だるまが主人公なのだが、彼はどうしても屋敷の中にあるストーブが気になっていた。屋敷の犬に「ストーブのある部屋に行けばとけてなくなってしまう」と諫められても聞かず、まるで恋焦がれるように見つめ続ける雪だるま。やがて季節が変わり、雪だるまはとけて崩れてしまうのだが、その中からはストーブの火かき棒が出てくるという話なのだ。『アナと雪の女王』にも、オラフというエルサが作った雪だるまのキャラが出てくるが、彼は雪だるまなのに夏に憧れるという滑稽な特徴をもっている。オラフのモチーフは、まちがいなくストーブに恋焦がれるこの雪だるまだろう。

 たしかに、原作の扱い方は非常に難しい問題で、ディズニー以外でもたびたび議論になる。『アナ雪』には詩情が感じれられないと叶が指摘するように、たとえば宮崎アニメがもっているような不条理や豊穣さという点では、『アナ雪』は物足りないところもある。しかし、決して描かれることのなかった雪の女王の内面を描くという大きなアイデアは、少なくとも“原作レイプ”と呼ばれるような改悪ではないだろう。これほど多くの人に受け入れられたことを考えれば、改変に成功した例といえるかもしれない。続編となる最新短編映画『フローズン・フィーバー(原題)』が来年の4月25日公開予定という情報も発表されるなど、まだまだアナ雪ブームは終わりそうにない。

『アナと雪の女王』は原作レイプなのか、否か。アンデルセンの『雪の女王』『氷姫』『雪だるま』と読み比べてみるのも一興かもしれない。
(島原らん)

最終更新:2014.12.24 07:40

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

『アナと雪の女王』の光と影

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

『アナと雪の女王』は原作レイプなのか!? ディズニー原作改変の功罪のページです。LITERAは政治・マスコミ・ジャーナリズム・オピニオン・社会問題や芸能(エンタメ)・スキャンダル・カルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。ディズニー、島原らん、海外アニメの記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

1 高市“飲酒G7ドタキャン”を隠すため茂木外相が嘘答弁!嘘に嘘を重ねる迷走
2 「議員定数削減」で自民・維新は議席占有率アップと「企業献金」温存の一挙両得
3 高市早苗“G7ドタキャン”言い訳の嘘と本当の理由を徹底検証!
4 市川沙耶と熱愛・野島アナに二股の過去
5 高市早苗が「戦争をしたがっている」ことを証明するトンデモ発言集!
6 吉高由里子が元カレに言った一言
7 葵つかさが「松潤とは終わった」と
8 キティ、マイメロが戦争反対を訴え!
9 今秋発足「防災庁」の職員は「国家情報局」の半分しかいなかった!
10 自民・茂木幹事長「消費減税なら年金3割カット」と物価高に苦しむ庶民を恫喝
11 りえママ、娘にたけしとの不倫を強要!?
12 おおさか維新が政党交付金を返還逃れ!?
13 古代史研究者が「神武天皇から続く伝統」に抗議声明 読売テレビも
14 止まらない岡田晴恵バッシング!「週刊新潮」が「予言外れた」と的外れ批判
15 X JAPAN、TAIJIの死の謎
16 ケントのヘイト本に版元の講談社で批判
17 朝ドラ『まんぷく』の憲兵より本物の憲兵のほうがヒドい
18 自衛隊が小学生まで「自衛官勧誘」目的のパンフレット作成
19 水木しげるが描いた慰安婦「兵隊以上に地獄」
20 高市推薦、自民党ヒトラー本が怖すぎ

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄