『アナと雪の女王』は原作レイプなのか!? ディズニー原作改変の功罪

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 ただ、今回「原案」という形が取られたことには、もう1つ理由があるかもしれない。叶によると、実は『アナと雪の女王』には『雪の女王』以外にも参考にされたと思われる作品があるというのだ。それが、『雪の女王』から17年後に発表されたアンデルセンの『氷姫』と『雪だるま』。

『氷姫』の主人公である少年・ルーディは、幼い頃に両親を亡くした。その際、死の世界へと引き込もうとする氷姫にキスされるも奇跡的に生還し、大人になるのだが、結局、結婚式の前日に氷姫の2度目の口づけによって死に至る。そのストーリーは、幼い頃にエルサの魔法が当たり、2度目で氷の彫像と化したアナと重なるところがある。また、『氷姫』の外見は「雪のように白い長い髪と、青緑の着物とが、ひらひらひるがえって、深いスイスの湖の水のようにきらめきます」と書かれているのだが、それは氷の城を築いたあとのエルサに似ているではないか。

 一方、『雪だるま』は、屋敷の庭に作られた雪だるまが主人公なのだが、彼はどうしても屋敷の中にあるストーブが気になっていた。屋敷の犬に「ストーブのある部屋に行けばとけてなくなってしまう」と諫められても聞かず、まるで恋焦がれるように見つめ続ける雪だるま。やがて季節が変わり、雪だるまはとけて崩れてしまうのだが、その中からはストーブの火かき棒が出てくるという話なのだ。『アナと雪の女王』にも、オラフというエルサが作った雪だるまのキャラが出てくるが、彼は雪だるまなのに夏に憧れるという滑稽な特徴をもっている。オラフのモチーフは、まちがいなくストーブに恋焦がれるこの雪だるまだろう。

 たしかに、原作の扱い方は非常に難しい問題で、ディズニー以外でもたびたび議論になる。『アナ雪』には詩情が感じれられないと叶が指摘するように、たとえば宮崎アニメがもっているような不条理や豊穣さという点では、『アナ雪』は物足りないところもある。しかし、決して描かれることのなかった雪の女王の内面を描くという大きなアイデアは、少なくとも“原作レイプ”と呼ばれるような改悪ではないだろう。これほど多くの人に受け入れられたことを考えれば、改変に成功した例といえるかもしれない。続編となる最新短編映画『フローズン・フィーバー(原題)』が来年の4月25日公開予定という情報も発表されるなど、まだまだアナ雪ブームは終わりそうにない。

『アナと雪の女王』は原作レイプなのか、否か。アンデルセンの『雪の女王』『氷姫』『雪だるま』と読み比べてみるのも一興かもしれない。
(島原らん)

最終更新:2014.12.24 07:40

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