【検証!ブラックディズニーの恐怖 第2弾】

殴られても笑顔!? ディズニーがバイトに強いる恐怖のホスピタリティ

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 また、この小松田氏は『新装版 ディズニーランドのホスピタリティ』(長崎出版)でも修学旅行生の高校生グループ同士がディズニーランド内で喧嘩が発生。とめに入ったセキュリティースタッフが巻き込まれ殴られるエピソードも紹介している。

「ディズニーランドのキャストは、ゲストから殴られるようなことがあっても、決して殴り返すようなことをしてはならないように決められています。準社員であっても最初の研修時点で教えられますが、彼が殴り返さなかったのは、ディズニーランドというところが“聖地”のようなところになっているということを、ゲストもキャストも本能的に理解しているからでしょう」

 ここまでくると、新興宗教のような不気味ささえ感じるが、しかし、ディズニーランドのホスピタリティというものは、ほんとうに最初からこういうものだったのだろうか。

 実は、本家・アメリカのディズニーの人材教育(ディズニー・インスティチュート)には「ホスピタリティ」というキーワードは存在しない。そもそも労働組合が強いアメリカでは無償の奉仕なんてありえないし、ゲストに暴行を受けたら、即、警察に通報して傷害罪で告訴するだろう。

 日本でも90年代には、ディズニーランドのサービスにホスピタリティという言葉が使われることはなかった。2000年に出版された『改訂版 ディズニーランドの人材教育』(志澤秀一/ウィズダムブック社)にも、著者はオリエンタルランド人事部ユニバーシティ課に在籍していた人物だが、「ホスピタリティ」というキーワードはまったく出てこない。

 オリエンタルランド副社長を務めた上澤昇氏の『魔法の国からの贈りもの 「ディズニー」とともに歩いた人生』(PHP研究所/2008年)では、「TDLのサービスは、本場アメリカ仕込みの徹底したマニュアルによって、指の先、爪の先まで管理され、統率されている。開園後、かなり長い間にわたって、世間にはそのような評判なりイメージが流布していたようです。それは、サービスに『隙がない』というほめ言葉でもあると同時に、『マニュアルに縛られている』という“けなし言葉”でもありました」とあり、300もあるというマニュアルに縛られた接客だったと振り返っている。

 ところが、ディズニーの接客は途中から、アメリカのマニュアルとはまったくちがう、これまで紹介してきたようなブラックとしかいいようのない過剰なものに変質していったのである。同調圧力によって、バイトであってもディズニーへの自主的に奉仕することが要求され、ゲストに対してだけでなく、会社や上司、同僚への献身まで強要する空気ができあがっていった。

 そして、2004年から2005年にかけて、ラグジュアリーホテルのリッツカールトン大阪のホスピタリティ本がヒットすると、そのディズニーランドの過剰なサービスに「ホスピタリティ」という言葉がつけられて、ディズニーの元管理職社員や研修担当らによるホスピタリティ本が次々出版されるようになったのだ。

 そういう意味では、ディズニーランドにホスピタリティの伝統があったわけでなく、むしろ自分たちの「ブラック企業」的本質をごまかす“魔法の言葉”として機能してきたといってもいいかもしれない。実際、本来は真っ先にブラック企業として批判を受けるべきディズニーリゾートは、逆にそのブラック的要素をすべてホスピタリティという言葉に変換して宣伝、いつのまにかホスピタリティブームの主役になってしまった。

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