振り込め詐欺を支える一般企業顔負けの緻密な組織と驚愕のネタ元

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 ここまではある程度予想がつく。だが問題は外部協力としての「名簿屋」の実態だ。プレイヤーたちは「名簿屋」から入手した“お年寄りネタ帳”を元に電話をするのだが、その“ネタ元”のひとつは驚愕すべきものだ。「独居でボケ気味もしくは認知症で、しかもある程度預金額がある」。そんな名簿を作るためのネタ元、それは訪問介護事業者であり、介護事業所で働くホームヘルパーだというのだから──。

「ホームヘルパーさんっていうのは、本当にひどい雇用条件で働いているし、闇金から金つまんでる人間も少なくない。女の場合は風俗兼業って人も少なからずいる。裏稼業の世界とは、結構近いところにいるんですよ」

 本書には振り込め詐欺業者のこんな証言がのっている。もちろん、これは介護事業者やホームヘルパー全体からしたらごく一部だろうが、驚くべき事実ではないか。

 情報源はほかにもある。相続専門のコンサルタントをやっている弁護士からも、相談者名簿が流失しているらしい。「弁護士も本当に食えないから相続専門なんてやってるわけで」という具合だ。さらにほとんど満室だという「高級介護施設」に入居できると偽り、興味を持った老人たちの情報を入手して売る手法、バリアフリー物件を手がけた元リフォーム会社の職人なども情報源になるという。

 老人をターゲットにした卑劣な「振り込め詐欺」だが、実際に犯罪行為をする者だけでなく、背後には彼らを支える“一般人の協力者”の存在がある。これではどれだけ注意を喚起しても、周囲が気をつけていても、被害が減らないはずだ。「振り込め詐欺」の知られざる恐怖の実態である。 
(林グンマ)

最終更新:2014.08.14 04:47

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