森の後任・川淵三郎は極右歴史修正主義者!「コロナは中国の細菌兵器」説の青山繁晴を評価 最高顧問の団体は韓国ヘイトの企業から助成金

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川淵三郎公式Twitterより


 性差別発言が国内外で波紋を広げた結果、東京五輪組織委員会の森喜朗会長が明日12日に辞意を表明するという。辞任は当然で、むしろここまで辞任しなかったこと自体が問題だが、しかし、組織委は海外から批判が巻き起こりかねない新たな火種を抱えることになった。それは、森会長の後任として、元日本サッカー協会会長の川淵三郎氏が就任すると見られているからだ。

 普通、女性への差別発言がこれほど大きく海外にまで知れ渡ったあとなのだからジェンダー平等の観点から然るべき人選がなされそうなものだが、取り沙汰されるのはまたもお友だちの男性……。こうした旧態依然とした姿勢にも批判はあがっているが、しかし、問題はもっと深刻だ。

 というのも川淵氏は、極右思想を隠さず、ネトウヨ御用達の論客を信奉する「歴史修正主義者」だからだ。

 実際、「森氏辞任、後任に川淵氏か」と伝えられるや否や、ネット上では川淵氏の「歴史修正主義者」を裏付ける過去の発言やツイートが数々掘り返されている。

 たとえば、川淵氏はあの百田尚樹氏による“Wikiコピペ疑惑”で有名なプロパガンダ歴史修正本である『日本国紀』(幻冬舎)について、こんな称賛を投稿していた。

〈1ヶ月以上もゆっくり楽しみながら百田尚樹さんの日本国紀を読んだ。最初500ページ余の分厚い本を見た時、読み終わるまでが大変だなぁと。ところが読み始めると興味深い日本の歴史が平易な文章で書かれていて興味が尽きない。昔習った日本史を懐かしく思い出しながら。百田さん最高の傑作だと思う。〉(2019年12月5日)

「昔習った日本史を懐かしく思い出しながら」って、育鵬社とかではないかぎり日本史の教科書にはあのような嘘や陰謀論は書かれていないはずだが、川淵氏は「最高の傑作」と褒めちぎっているのである。

 さらに、昨年5月2日には〈僕は月刊Hanadaの愛読者だ〉と、ヘイト雑誌を愛読していると宣言。witterではたびたび「月刊Hanada」で連載している青山繁晴参院議員のコラムを取り上げ、2020年4月号に掲載された「武漢熱クライシスを超えて」と題された青山氏のコラムを、〈偶発的に起きたと思える新型コロナウイルスに対して、事の信憑性は兎も角、こんな見方も出来るのだという驚愕コラム〉と称賛している。

偏見や差別を防ぐため地域の名前をウイルスの通称に使わないのは国際的な常識だというのに、青山議員は新型コロナを「武漢熱」と命名し、さらには「新型コロナは中国が開発した細菌兵器」などと吹聴していた人物。そんな差別的陰謀論に「こんな見方も出来るのだ」などと感嘆してみせるとは……。

しかも、百田氏や青山議員だけではなく、同じく中韓ヘイトの常連である櫻井よしこ氏についても、〈今夜のBSプライムニュース櫻井よしこさんはまさに国士。女性を国士と言ったらまずいのかな?〉などとツイート(2020年12月17日)。女性を「国士」と呼ぶことに「まずいのかな?」とためらっている点からは女性を低く見ているような感じがするが、それはともかく、櫻井氏を「国士」と礼讃したり、百田氏や青山議員に心酔するなど、川淵氏はまるでそのへんのネトウヨのようなツイートばかりおこなっているのである。

もちろん、ネトウヨらしく川淵氏は安倍晋三・前首相にも相当惚れ込んでおり、〈“政治は命懸け”の覚悟で日々ご努力頂いている安倍総理を全面的に支持している〉(2029年10月13日)と熱いエールを送り、総理辞任の際は〈国のために文字通り命懸けで公務に全力を尽くされた安倍総理に心からお疲れ様でしたと申し上げます〉とねぎらい、〈新しい薬が功を奏して元気を取り戻した暁には再再登板も可能ですよね〉〈桂太郎内閣は第3次、伊藤博文内閣は第4次の歴史があります〉などと3度ならぬ4度の返り咲きまで期待を寄せていた。

あいトリ問題では河村市長を絶賛 徴用工の差別的待遇を否定する報道を全面支持

森会長は安倍前首相を組織委の「名誉最高顧問」に引き立てており、もしこれで川淵氏が会長に就任すれば、東京五輪が安倍前首相の政治利用の舞台と化すのは目に見えているだろう。

だが、川淵氏の言動で看過できないのは、こうしたヘイトを撒き散らしている人物を称賛するだけではなく、自身も歴史修正に加担するかのような発言をおこなっていることだ。

たとえば、「あいちトリエンナーレ2019」で展示された「平和の少女像」に対して河村たかし・名古屋市市長などが攻撃を繰り出していた際、「表現の不自由展・その後」が展示中止となった2019年8月4日に、川淵氏はこんなツイートをおこなっていた。

〈ホテルで何年か振りに朝日新聞の素粒子を見た。昔は僕の尊敬する早大サッカー部の轡田先輩が執筆していたから一番先に素粒子を見る習慣がついている。見てびっくり。「平和の少女像」の芸術祭展示に「日本人の心を踏みにじる」と市長。日本人の心は市長が決めるものじゃあない。と。市長!!良くやった!!〉(2019年8月4日)

「平和の少女像」は苦難を強いられた女性たちの歴史とともに世界の平和と女性の人権について投げかける作品だが、それを河村市長は「慰安婦像」と呼び、「日本人の心を踏みにじっていいのか。一番大きいのは、人に誤解を与えること。あたかも名古屋市や愛知県、日本が、従軍慰安婦の強制連行はあったと認めたと誤解を受ける」などと主張していた。つまり、強制連行を否定するという歴史修正をおこなっていたのだ。そうして飛び出した河村市長の「日本人の心を踏みにじる」なる言葉に、川淵氏は拍手を送っていたのである。

 これだけではない。川淵氏は歴史修正とフェイクに満ちた『反日種族主義』(文藝春秋)についても、〈日本人が同じ内容の本を書いても信憑性を疑われるが韓国の博士が入念に調査実証した上での著作だけに反論するのは難しいはず。日本にとってこれ程有難い歴史書はない〉(2019年12月6日)と絶賛。さらに約10日後の同年12月17日には〈反日種族主義の発刊に刺激を受けて、韓国の良識が動き出した。徴用工お二人の証言は何人たりとも反論できない〉などとツイートしている。

 この「徴用工お二人の証言」というのは、川淵氏のツイートの4日前に「NEWSポストセブン」が配信した元徴用工の男性2人の差別的な待遇を否定する証言を指していると思われるが、この2人がそう証言したからと言って、強制動員・強制労働や差別的な扱いがなかったことにはならない。なぜなら、この二人とは真逆の、虐待や暴行、給与未払いなどを裏付ける数多くの証言、証拠があり、そればかりか徴用工の差別的待遇や強制労働を示す公文書も存在しているからだ。

にもかかわらず、川淵氏は「反論できない」などと歴史修正に加担したのである。

最高顧問を務める「大和魂教育」の教育団体はあの親学と連携 フジ住宅から助成金

 さらに、見過ごせないことがもうひとつある。それは、川淵氏が最高顧問を務める「公益社団法人マナーキッズプロジェクト」なる団体の存在だ。

 この団体は、〈スポーツ・文化活動を通じ、日本の伝統的な礼法を体験し、〈体・徳・知〉バランスのよい子供を育てる公益社団法人〉(HPより)で、「設立趣旨・背景」を説明したページでは〈16〜19世紀 日本人の礼儀正しさ 節度ある立ち居振る舞い 外国人は感嘆の声〉〈礼儀正しさのDNAは残っているはず 今がラストチャンス〉などという文言が躍っている。また、理事長である田中日出男氏の「ご挨拶」の文章でも、〈明治維新、敗戦、バブル期とここ百数十年の間に三回日本の伝統的な良さを放棄してきたツケが回ってきており、まさに日本人の心は風前の灯火〉〈このコロナ危機は、日本人の心=大和魂を復活させるいい機会〉〈「大和魂」を取り戻したいものです〉などと書かれている。

こうした文言からも極右の匂いがぷんぷんするが、実際、同団体は、極右団体「日本会議」の中心メンバーである高橋史朗氏が提唱する「親学」を推奨する「TOSS」(Teacher’s Organization of Skill Sharing/教育技術法則化運動)などと協力して「親守詩全国大会」なる親への感謝の詩や歌を子どもに発表させるイベントを開催。「親学」自体、トンデモ理論であると同時に「伝統的な子育て」と称し、女性を強制して家庭に縛り付ける戦前の「家制度」のような思想を復権させようとする極右の主張そのものだ。

しかも、さらに重大なのは、この「公益社団法人マナーキッズプロジェクト」は、「ヘイト企業」から助成金を受けている、ということだ。

そのヘイト企業とは、大阪府岸和田市に本社を置く大手不動産会社で東証一部上場企業の「フジ住宅」。同社は今井光郎会長の名で「在日は死ねよ」「(中国人や韓国人は)嘘つき」「野生動物」などと侮辱する書籍や雑誌記事のコピーを社員に配布したのに加え、それを読んだ社員からの「(韓国人は)全般的に自己主張が強い、自分を有利にするための上手な嘘を平気でつく」などの感想文のコピーもほぼ連日配られていたといい、また、今井会長は歴史修正教科書を発行する育鵬社の教科書の採択を求めるアンケートを提出させるなど社員に採択運動への協力も求めていた。同社に勤務する在日コリアンの女性は特定の民族を貶める文書の配布をやめるよう申し入れたが、その後も文書配布はつづいたため、同社と今井会長を提訴。2020年7月に大阪地裁堺支部は同社と会長に対して計110万円の損害賠償を支払うよう命じた(その後、フジ住宅側が控訴)。

 そして、このフジ住宅の今井光郎会長の名前を冠した「一般社団法人今井光郎文化道徳歴史教育研究会」は「日本の為に尽力されておられる個人・ 法人・グループ」に助成をおこなっているのだが、第1回となる2020年度の資金助成先には「テキサス親父日本事務局」や「一般社団法人新しい歴史教科書をつくる会」、「琉球新報、沖縄タイムスを正す県民・国民の会」「一般社団法人美し国」「親学高知」といった団体と並んで、「公益財団法人マナーキッズプロジェクト」が選ばれているのである。

官房長官時代の菅首相に会って極右教育「マナーキッズプロジェクト」を売り込み

卑劣なレイシャルハラスメントを裁判所も認定したヘイト企業の会長がおこなう助成事業に採択されるような団体で、川淵氏は最高顧問を務めている──。しかも、川淵氏が最高顧問を務めているのは「名義貸し」のようなものではない。

実際、川淵氏は2018年4月25日にマナーキッズプロジェクトをめぐって“教育委員会が活動にストップをかけてきた”ことをTwitter上で報告しているのだが、そのなかで〈明日この件で菅官房長官にお目にかかる事になっています〉とツイート。翌日には、こう綴っている。

〈和田義明国会議員にお願いしてマナーキッズプロジェクトの件で菅官房長官にお忙しい中会って頂いた。子供の体幹を鍛える事が如何に大切かを理解して下さって支援しましょうと約束して頂いた。 会うなりいきなり沖縄の選挙でお世話になりましたと言われて恐縮したけど嬉しかった。〉

 つまり、川淵氏は当時官房長官だった菅義偉氏と面会し、マナーキッズプロジェクトについてわざわざ直談判までして支援を取り付けていたのである。

これがネット上に巣食う高齢ネトウヨならまだしも(それも十分害悪だが)、東京五輪組織委会長と目される人物が、ネトウヨ的主張を繰り広げるばかりか、レイシャルハラスメント経営者から助成を受ける団体の最高顧問に就いているというこの事実。そのような人物が、一大国際イベントの開催国代表として先頭に立つことになれば、韓国のみならず歴史修正主義やヘイトスピーチに厳しい目を向ける欧米からも問題視されることになるだろう。

セクシストが退場したと思ったら、次に現れたのはリヴィジョニスト兼レイシストだった──悪い冗談のようなことが、現実に起こりそうになっている。まさしく、この国の地獄を見ているようだ。

最終更新:2021.02.12 01:04

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