不仲・論争に関する話題……本と雑誌のニュースサイト/リテラ
ウーマン村本にデマを指摘された百田尚樹が逆ギレして被害者面! 自分のデマごまかし名誉毀損と恫喝する卑劣
『虎ノ門ニュース』でデマを垂れ流した百田
この間、ネットを賑わせていたウーマンラッシュアワー・村本大輔と作家・百田尚樹のTwitterでのバトル。村本が「極右ハゲ」とツイートしたことでネトウヨから袋叩きになり、とうとうInstagramへの「亡命」を宣言、Twitter撤退を示唆する事態となった。
しかし、これはどう考えてもおかしいだろう。この間のやりとりを見ると、根本の部分では村本の言い分が圧倒的に正しく、むしろ、嘘八百をいっているのは百田の方だからだ。
ネトウヨのまとめサイトや一部ネットニュースなどでは、論戦の構造が歪められているので、きちんと経緯を説明しておこう。発端は5日、村本が、ニュースサイト「Japan In-depth」の記事について、賛同のコメントを付してリツイートしたこと。記事は、石破茂の「日米両政府が本土の反対運動を懸念し、当時、米国の統治下にあった沖縄に海兵隊の基地を移転させた」という趣旨の発言について、百田がネット番組『真相深入り!虎ノ門ニュース』(DHCテレビ)で「そんな事実はどこにもない」と否定したことを検証する内容だ。
結論から言えば、これは石破の解説が正しく、百田の「そんな事実はどこにもない」のほうがデマである。
事実、在沖米軍の半数以上を占める海兵隊の全てが最初から沖縄にあったわけではない。反基地闘争が盛り上がりを見せた1950年代には、実際に本土の米軍基地が削減されたのとは対照的に、たとえば岐阜、山梨、静岡から沖縄へ移転された。また、記事でも指摘されているように、当時のアイゼンハワー大統領の指示によってフランク・C・ナッシュ特別補佐官(元国防次官補)が作成した1957年のリポートからも、在日米軍縮小計画に基地反対運動が影響していたことが読み取れる。
ところが、この検証記事を〈46都道府県の人はこの事実、読むべき記事〉と紹介した村本のツイートに、デマを指摘された百田本人が〈アホか、と。(中略)当然、減った分の何割かは米国の施政下にあった沖縄にいく〉などと反論になっていないことを言いながら噛み付いた。そこから、〈あ、百田さんからのコメントでしたか、すいません。アホのネトウヨのコメントと間違えました。ナッシュ・レポートの事実に対しても返信お願いしますよ〉(村本)、〈わかりきったことを議論しても無意味〉(百田)などと応酬が本格化していく。
いま、ネトウヨ界隈があげつらっている例の「極右ハゲ」ツイートは、その初期の過程で出てきたものだ。
村本は、前述の百田のデマを検証した「Japan In-depth」の記事の紹介のあと、〈極右ハゲの作り話作家が沖縄の歴史のデマを流していたらしい。探偵ナイトスクープに依頼してちゃんと調べろよ〉と投稿。すぐに〈汚い言葉を使ってしまい同類になるので削除〉したのだが、ネトウヨが炎上攻撃にでて、百田も「極右ハゲ」発言に反応したところで、再度、〈ド極右クソハゲの大嘘つき作家が沖縄の歴史のデマを流してたらしい。訂正もしてない。探偵ナイトスクープに依頼してちゃんと調べろよ〉とツイートした。
そして、百田周辺やネトウヨたちが、この「ド極右クソハゲの大嘘つき作家」との村本発言をまるで鬼の首をとったかのように騒ぎたて、村本がタレント活動をできなくなるよう圧力をかけ始めた。
たとえば、百田のお友達である石平はこんなツイートで村本が出演する番組への抗議を扇動した。
〈村本大輔という名の芸人は「極右クソハゲ」の汚い言葉で百田尚樹さんを罵倒した。人の身体的特徴を罵倒の材料にするのは明らかな人権侵害だ。もしこれからも、このような軽薄な人権侵害者を起用するTVがあればその局の良識を問わざるをえない。良識のある皆様、このような番組をぜひ拒否しまう!〉(原文ママ)
ほかのネトウヨやネトウヨ系まとめサイトも同様だ。やたら被害者ぶって、人権侵害だの、差別だのとわめきたてている。
「名誉毀損」と吉本の大﨑社長の名前をちらつかせ、村本を恫喝した百田
普段、自分たちがさんざん汚い言葉でヘイトをまきちらしながら、よく言うわという感じだが、もっと唖然としたのが当の百田だ。なんと9日から10日かけて、村本を名誉毀損で提訴することを示唆するこんなツイートを連投したのだ。
〈今日、ひょんなことから、かつて安倍総理が幹事長時代に、安倍さんの名誉毀損裁判で「噂の真相」を廃刊に追い込んだ辣腕弁護士先生と食事をする機会があった。
で、ふと、ウーマン村本のツイートを見せたら、「これは名誉毀損でやれます」とのこと。
やろうかな〉
〈そう言えば、今日、「噂の真相」を廃刊に追い込んだ弁護士先生が言っていたが、最後に編集長だか副編集長だかが、「このままで終わると思うなよ」と捨て台詞を吐いたとのこと。〉
〈多くの人から、裁判は時間の無駄と言われたが、弁護士の先生に一任するので、私の時間が取られることはない。
彼がもう一度なめたツイートしたら、訴えることにする。〉
〈まあ、でも訴える時は、一応、友人の大崎に仁義を切らないとあかんやろなあ〉
ちなみに「友人の大崎」というのは、村本が所属する吉本興業の大﨑洋社長を指すと思われるが、それにしても、言論を生業としている人間が言論人同士の論戦で、デマを指摘されて逆ギレしたあげく、安倍首相や所属事務所社長の名前を持ち出して訴訟圧力をちらつかせるとは……。その卑怯さには唖然とするしかない。
しかも、百田自身が村本を「名誉毀損」よばわりしているこのツイートで、自分が明らかなデマをとばしている。
それは、百田が名誉毀損提訴をちらつかせて村本を恫喝するために、弁護士のことを〈かつて安倍総理が幹事長時代に、安倍さんの名誉毀損裁判で「噂の真相」を廃刊に追い込んだ辣腕弁護士先生〉と紹介していたくだりだ。
これ、真っ赤な嘘である。2004年に休刊した『噂の真相』はたしかに、その少し前、2003年当時、官房副長官だった安倍晋三に名誉毀損で訴えられている。しかし、休刊はそれよりも前からとっくに決まっていた話で、安倍の裁判とは何の関係もない。実際、「噂の真相」のバックナンバーをチェックすると、少なくとも1999年の段階で休刊を公言していた。これで、どうして、安倍が名誉毀損裁判で「噂の真相」を廃刊に追い詰めたことになるのか。
百田が「沖縄の歴史のデマを流していた」これだけの証拠
「噂の真相」と安倍首相の裁判については、せっかく百田センセイがもちだしてくれたので、別稿でたっぷりやるつもりだが、その前にまず、指摘しておかなければならないのは、百田もネトウヨ連中も「ド極右クソハゲの大嘘つき作家」という言葉のことばかり騒ぎ立て、問題の本質をごまかしていることだ。
ツイッターの論戦ではこの程度の罵倒の言葉がとびかうのは珍しくないし、「クソハゲ」はともかく、「作り話作家」「大嘘つき作家」、「沖縄の歴史のデマを流してたらしい」という部分は決して間違っていない。
百田は以前『SMAP×SMAP』(フジテレビ)に出演した際、「わたしも、ノンフィクション書くとき、平気でいっぱいウソ入れてます。ほんまにそのまま書いたら、おもろない」などと明言していたし、例の『殉愛』(幻冬舎)をめぐる裁判のなかでも、その「ウソ」がどんどん暴かれて、名誉毀損が確定している。
また、百田が「沖縄の歴史のデマを流していた」というのも、説明不要なほどの事実だ。だいたい、前述したように、村本とのバトルからして、百田の沖縄米軍基地に関する虚偽発言が発端なわけだが、これまでもこの作家は、沖縄に関する悪質なデマを散々ふりまいてきたからだ。
一例を挙げると、百田は2015年、「沖縄の二紙は潰さなあかん」発言をぶった自民党の若手勉強会で、米軍普天間基地について「もともと田んぼの中にあり、周りは何もなかった。基地の周りに行けば商売になると、みんな何十年もかかって基地の周りに住みだした」と発言。沖縄タイムスのインタビューでも「住んでいた場所に基地が引っ越してきたわけではない」と自説を繰り返した。
しかし、百田の主張は歴史的事実とまったく異なる。もともと、普天間基地が建設された場所は1925年の段階で1万人近い住民が住み、役場や小学校もあった。しかし、1945年4月に沖縄戦で上陸した米軍が住民を強制排除して占拠。本土決戦のため、普天間での滑走路建設に着手した。つまり、元々そこに住んでいた住民たちは強制的に土地を奪われたのだ。
しかも、終戦直前には住民は収容所に入れられ、終戦後に帰村が許されたときには、すでに基地に占拠され、自分の集落に立ち入ることができなかった住人が多くいた。それでやむをえず、米軍から割り当てられた周辺の土地に住み始めたのである。その歴史的経緯を無視して「基地ができた後に商売になると人が住み出した」などというのは明らかに悪質なデマだ。
つまり、ウーマン村本が指摘したように、百田が沖縄に関してさんざん悪質なデマを垂れ流してきた、というのは紛れもない事実なのである。
百田やネトウヨ連中はそれを村本に指摘されて、逆ギレしたあげく、話をすりかえているだけにすぎない。
村本はTwitterからの撤退を示唆したが、そんなことをする必要は全くない。これからも、この連中のデマを徹底的に糾弾してくれ、とエールを送っておきたい。
(編集部)
最終更新:2018.10.16 11:39
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