三浦瑠麗がついに安倍政権の有識者会議「安保懇」メンバーに!“上から目線”御用学者のお粗末すぎる知識レベル

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『ワイドナショー』でも有識者会議メンバー入りを自慢(2月11日スーパーセル発言時の三浦氏)

「国民を守るために真に必要な防衛力を見定めていく必要がある」「サイバーや宇宙空間など新たな領域で優位性を保つことが死活的に重要だ」──総裁選に向けて“やってる感”の演出に躍起になっている安倍首相がこう吠えた。8月29日、初会合がおこなわれた有識者会議「安全保障と防衛力に関する懇談会」(安保懇)でのことだ。

“北朝鮮の脅威”を煽り倒したかと思えば、次はサイバー・宇宙分野の危機……。トランプ大統領は2020年までに「宇宙軍」を創設すると言っているが、今度は宇宙に配備するとんでもない額の兵器を買わされることになるだろう。

 だが、問題はそうしたことだけではない。この安保懇の開催者は安倍首相だが、座長には安倍首相の“会食”友だちでもある新日鐵住金の三村明夫名誉会長が就任。さらに、自衛隊日報隠蔽問題で昨年7月に引責辞任した防衛省の黒江哲郎・前事務次官や、“安保法制は合憲”と主張したほか安倍政権の政策を後押ししてきた坂元一哉・大阪大学大学院教授などの「安倍シンパ」で固められている。

 そして、この安倍首相お手盛りの有識者メンバーに、ついにあの人も抜擢された。そう、三浦瑠麗・東京大学講師だ。

 三浦氏といえば、『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日)で披露する、鼻で笑いつつ繰り出す「上から目線」トークがなぜかウケてテレビでおなじみの論客となったが、同時に巧妙な安倍政権擁護を繰り出してきた人物。たとえば、安保法制に対しては〈解釈改憲には「一定の筋の悪さ」が付きまとっています〉と政権側にひと言申したフリをしつつ、安保論議は法律論に押し込めるべきではない、安倍政権は憲法論議に正面から向き合わなかったのは画期的などと最終的には安倍政権の立憲主義破壊を肯定。森友問題でも近畿財務局の職員が自殺したことを「この問題っていうのは人が死ぬほどの問題じゃないんですよ」と発言して公文書改ざんを矮小化し、加計問題では大企業優遇の経済政策を引き合いに出しながら結果的には“トヨタもいいんだから加計も問題ない”という論を展開した。

 こうした政権擁護の活動が認められてか、昨年5月には安倍首相と会食デビューを果たした三浦氏だったが、今回、ついに安倍首相の“お友だち会議”のメンバーに選ばれたというわけだ。

 天皇の「生前退位」会議しかり、安倍首相はこれまで自分の主張を代弁してくれる者に都合のいい提言をさせることで異論を封殺してきたが、今回の安保懇も同じこと。加計問題であれだけ政治の私物化が問題視されたというのに、何の反省もないのだ。

 だいたい、三浦氏を“有識者”として政府が認定すること自体に問題がある。

 記憶に新しいと思うが、三浦氏は今年2月、『ワイドナショー』(フジテレビ)で「北朝鮮のテロリスト分子が日韓に潜んでおり、とりわけ大阪が危険だ」という発言をおこなって大炎上。この発言は「北朝鮮のスリーパーセル=在日朝鮮人」と想起させるもので、「とりわけ大阪が危険」という言葉からもあきらかなように“大阪には在日が多いから「大阪がヤバイ」”と言っているとしか思えない、在日差別を助長する危険極まりないものだった。

 しかも、三浦氏はこの発言について反省はおろか、「逆にそういう見方を思いついてしまう人こそ差別主義者」などと抗弁。いまだに撤回も謝罪もしていない。

 こうした差別主義者を有識者として認めるとは、逆に安倍首相の姿勢がよくわかるというものだが、しかし、そもそもの疑問は、三浦氏を“有識者”として扱うことにある。

炎上した「スリーパーセル」発言の根拠は、ネッシー報道のタブロイド紙

 実際、この「スリーパーセル」発言が炎上して反論した際、三浦氏は〈すべての情報源を明らかにすることはできませんが、本件は、専門家の間では一般的な認識〉〈国民にとって重要なことですので、どのような状況か、公開情報となっているものを紹介していきましょう〉と思わせぶりに大見得を切った後、真っ先に〈韓国の情報源に基づく英国の記事〉として紹介したのは、あの「デイリー・メール」の記事だった。

「デイリー・メール」といえば、フェイクがしばしば問題になっている有名なイギリスの右派系タブロイド紙であり、1934年にネッシーが湖面から首を出した写真を初めて掲載して大きな話題になったことでも有名。その上、三浦氏が掲げた「デイリー・メール」記事は同紙が取材したものですらなく、同紙よりもさらにお下劣な日本でいう実話誌のようなタブロイド紙「デイリー・スター」の記事を引用したもので、しかも、両紙の記事とも北朝鮮本国が工作員に向けてラジオ放送で暗号を送っているというよく聞く話を書いているだけで、北朝鮮のスリーパーセルがテロを起こそうとしているなんていう話は一切書いていなかった。

 さらに三浦氏は再反論で〈(阪神)大震災時の迫撃砲発見などの事後的な未遂案件〉とやらがあると言い出したが、これも具体的な根拠やディテールのないもので、あきらかにデマと思われる情報でしかなかった。結局、2018年現在、「テロを起こす可能性のあるテロリストが潜伏している」「大阪がヤバイ」と言う根拠はまったく示せなかった。

 国際政治学者でないと知り得ないような情報源や資料をもっているのかと思いきや、三浦氏は得意気にそんなシロモノを根拠にし、在日差別を繰り返したのである。

 これだけではない。三浦氏は2017年8月12日付けの東京新聞のインタビューで、「大日本帝国が本当の意味で変調を来し、人権を極端に抑圧した総動員体制だったのは、一九四三(昭和十八)~四五年のせいぜい二年間ほど」と主張。言わずもがな、言論の自由など基本的人権を著しく制限した希代の悪法・治安維持法が制定されたのは1925年のことで、国家総動員法が制定されたのは1938年。三浦氏はこんな中学校の教科書にも載っているような歴史的事実を無視し、「経済的に比較的恵まれ、今よりも世界的な広い視野を持った人を生み出せる、ある種の豊かな国家だった」と戦前を賛美するのだ。

 さらに「民主政治は成熟しました」「人権を守る強い制度も定着した。あの時代のような拷問や弾圧が容認されるはずがないでしょう」「警察官もはるかにプロ意識のある集団に育ち、抑制が利いています」と印象論で共謀罪の危険性を否定してみせた。いやいや「人権を守る強い制度」「抑制が効いている」って、ふつうに新聞を読んでいるだけでも自白強要や令状なしのGPS捜査や盗撮など警察が人権を無視した乱暴な捜査をしていた事例はこの数年でも枚挙にいとまがないし、取り調べの可視化すら認められず2013年に国連の拷問禁止委員会で日本の刑事司法は戦前どころか「中世並み」と指摘されているのだが……。

中学生の教科書レベルの知識も無視し、どっちもどっち論で政権批判つぶし

 しかも、この発言にネット上でツッコミが相次ぐと、今度は“大学生が学徒出陣に駆り出されるまで日本国民はみんな自発的に戦争に参加していた”などと反論、さらに無知と偏見をさらけ出した上、“政府だけに悪をおしつけると民主主義は自省しない”などとお得意の上から目線で“どっちもどっち論”的説教をはじめたのである。

 三浦氏は一事が万事この調子だ。神視点で“どっちもどっち”的なロジックを語り、中立的で知性があるように錯覚させているが、よく聞けば、アカデミズムに裏打ちされた高度な国際情報に精通しているどころか、中学生の教科書に載っているレベルの歴史的事実や、新聞を読めばわかる程度の権力の不正実態の知識すら無視。根拠もなく、権力や政府の政策を擁護ありきで、政権批判者を批判しているだけなのだ。マウンティングとセルフブランディングによって“知的なアカデミズムの住人”“中立的な立場で政治状況を俯瞰して検証できる学者”というポジションを獲得しているが、実際にやっていることはトンデモ歴史観や差別思想、フェイクを連発する安倍応援団そのもの。そんな程度の学者でしかないのだ。

 しかし、テレビで擁護を展開してくれる三浦氏の存在こそ、安倍首相にとっては最大の武器であることは間違いない。

 現に、三浦氏は“フェイク対象”“極右論壇のお手盛り賞”とも揶揄されているフジサンケイグループ主催の2017年「正論大賞」で、「新風賞」をあの小川榮太郎氏とともに受賞。まともな学者なら恥の上塗りでしかない賞だが、三浦氏は贈呈式に嬉々として登場し、「(北朝鮮危機の)Xデーについても、専門家はそれに伴うリスクやコストもしっかり情報発信していくべきだ」などと「スリーパー・セル」発言を正当化した。

 そして、安倍首相はこの贈呈式に寄せたビデオメッセージのなかで「既存メディアの論調などに決して流されることなく、持ち前の冷静な分析力とわかりやすい語り口で、評論活動を通じておられる三浦さんには、初の女性受賞者としても、今後、さらなるご活躍をおおいに期待しております」とエールを送ったのだ。

 学者として底が割れていても無関係。“反知性”の旗手である安倍首相に見初められ、ついに政府からお墨付きをもらった三浦氏は、これからさらなる政権擁護の主張を繰り出していくことだろう。

最終更新:2018.09.02 11:44

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