フジテレビ宮内社長「とんねるず」打ち切り発言は本気か? 日枝院政のもとで「フジのタブー」を破れるのか…

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長く続く視聴率低迷から抜け出す道筋すらなかなか見出すことのできないフジテレビ。

 この秋の改編では、月曜から金曜の帯番組『ユアタイム』が終了。また、日曜ゴールデンタイムは古館伊知郎の冠番組『フルタチさん』と21時台の連続ドラマ枠が終了し、『ニチファミ!』と題された3時間の長尺特番枠とするなど、かなり大きい編成の改革がなされた。

 2013年に肝いりで社長に就任したものの、わずか4年たらずで退任することになった亀山千広氏に代わり、今年6月にフジテレビ新社長に就任した宮内正喜氏は、7月の定例会見で「『変える・変わる』をキーワードに、私も勇気をもって、業績を回復する一点に絞って解決に当たりたい」と語っており、こういった番組編成の大きい変更は今後も続けていくとされている。

 そんななか、9月12日付日刊スポーツで応えた宮内社長のインタビューが話題を呼んだ。このなかで宮内社長は「最終的にはタイムテーブルを白紙にするくらいのつもりで改善していく」としたうえ、記事のなかでは、ある番組を名指しつつこのように語られている。

「『宮内社長は本当にフジを変えられるのか』と、活字には必ず書いてある。非常にじくじたるものがあるんですけど、編成が『視聴率が下がってきている。だから、こういう企画に変えたい』と決めてくれば、全く反対しないよ」

 打ち切りも辞さないとして名指しされた番組とは、『とんねるずのみなさんのおかげでした』と『めちゃ×2イケてるッ!』。ご存知の通り、『めちゃイケ』は21年、『とんねるずのみなさんのおかげでした』は『とんねるずのみなさんのおかげです』から合わせると29年にもわたって続くいずれも長寿番組である。

 とりわけ驚きの声があがったのが、『とんねるずのみなさんのおかげでした』だ。本当にあの番組を終了できるのか、と実現可能性について訝しむ声も溢れている。

 というのも、とんねるずに関する案件は、1988年に社長、2001年に会長を歴任するなど、長らく「フジテレビのドン」として君臨してきた日枝久氏以外、フジテレビ社員の誰も触ることのできない「フジテレビのタブー」として知られるからだ。

 実際、亀山氏が社長に就任して以降、フジテレビは『森田一義アワー 笑っていいとも!』や『ライオンのごきげんよう』といった長寿番組を次々と終わらせてきたが、なぜか真っ先に終わらせるべきであろう『とんねるずのみなさんのおかげでした』にはかたくなに手をつけてこなかった。

『とんねるずのみなさんのおかげでした』が「フジのタブー」である理由

 1990年代には一世を風靡した同番組も、いまでは平均視聴率6%を推移するような状態になっている。しかし、その割には、とんねるずのギャラ(「週刊文春」13年7月4日号では1本あたり1000万円超とも報じられている)を筆頭にコストのかかる番組であり、芳しい成績を残せていないフジテレビにとってはいの一番に切るべき不良債権となっているのは疑いようがない。しかし、これまでこの番組に手がつけられることはなかった。それは、前述の通り、同番組が「日枝案件」となっており、フジテレビ社員の誰も触れることのできない「タブー」だからだ。

 なぜタブー化したのか。それは日枝氏ととんねるずの関係性にある。1980年代半ば、『夕やけニャンニャン』でとんねるずが一大ブームを起こしていた時期に編成局長の地位にいたのが、その後フジテレビ社長そして会長へとのぼり詰める日枝氏。つまり、彼にとってとんねるずは出世への道を切り開いてくれた恩人にあたる。そういった深い縁はいまでも続き、日枝氏ととんねるずは現在でも頻繁にゴルフに行く仲とも言われている。そういった経緯があるため、『とんねるずのみなさんのおかげでした』は「タブー」案件となっているのである。

 とはいえ、日枝氏は今回の人事で代表権のない相談役に退任し、今年6月からは後任を嘉納修治新会長が務めている。もう「フジテレビのタブー」などというものは存在しないのではとする声も一部にはあったようだが、しかし、日枝氏による院政は現在でも続いていると思われる。

 その証拠となる記事が「週刊文春」17年7月20日号に掲載されていた。その記事は7月3日にフジテレビ本社で開かれた全体会議の様子をレポートしているのだが、その冒頭で嘉納会長はこのように挨拶したという。

「我々グループを売上六千五百億円、業界他社を寄せ付けない断トツトップに成長させた日枝取締役相談役には長年のご苦労に心より感謝申し上げるとともに、何かあれば過去のいきさつなどを伺い、相談させていただきたいと思っております。フジサンケイグループの代表という大所高所から我々グループのプレゼンスの維持向上にご尽力頂きたいと考えております」

 ずいぶんな持ち上げようだが、それもそのはず。宮内社長はもともと日枝氏の秘書室長を務めていた人物で、嘉納会長も日枝氏が社長だった時期に社長秘書を務めていた経歴をもつ人物。院政が敷かれないほうが不自然なほど意図的な人事なのだ。

 ちなみに、全体会議での太鼓持ち発言はこれだけでは終わらなかった。嘉納会長は続けてこのように語ったという。

「そういうことで、日枝取締役相談役を『代表』とお呼びすることにしたいと思いますが、代表、よろしゅうございますか。みなさんもご異議ございませんか? ご異議のない方は拍手をお願いいたします!」

フジテレビは日枝院政から脱することができるのか?

「FLASH」(光文社)17年7月18日号には、全体会議に先んじて6月28日に行われたフジ・メディア・ホールディングスの定時株主総会のレポートが掲載されていたが、そこには、前述したような日枝氏の「院政」への懸念や、「亀山(千広)氏はBSフジに飛ばされるのに、日枝氏は取締役相談役として残るのは納得できない!」といった怒号が飛び交っていたと記されていた。

 凋落の一途をたどるフジテレビ。そこから抜け出すには、やはり院政を退け、一から出発し直す必要があるだろう。

 となると、本稿冒頭であげた日刊スポーツでの宮内社長の決意は、もしも実現することができれば、低迷が続くフジテレビを救うものとなるかもしれない。

 ただ、あまり期待はできなさそうだ。というのも、日刊スポーツのインタビューでは、先ほど紹介した「編成が『視聴率が下がってきている。だから、こういう企画に変えたい』と決めてくれば、全く反対しないよ」という威勢のいい言葉に続けて、このようにも語っているからだ。

「だけど、そのためには『どういう企画にして視聴率アップを図るんで、やめざるを得ない』という理由がなくては。そういうことであれば、協力すると言ってある」

 これでは逃げを打っているようにしか思えないし、やはり、院政はこれから先も変わらないのではないかと思ってしまわずにはいられない。

 18日に最終回を迎えた『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~THE THIRD SEASON』が月9枠としては、7作品ぶりに全話平均視聴率が10%を超え月9ブランド復活かというのが最近では唯一の明るい話題だが、これだって結局は過去の人気シリーズという遺産にたよったもの。しかも前作、前々作にくらべてクオリティの低さを嘆く声も多かった。フジテレビが低迷から抜け出す日はまだまだ遠そうだ。

最終更新:2017.09.20 01:12

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