能年玲奈への元事務所の圧力を「ない」という山本一郎に、町山智浩や津田大介が「明らかに圧力」「証拠もある」と反論!

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のんオフィシャルブログより


 のん(能年玲奈)の本格的な芸能活動復帰作であるアニメ映画『この世界の片隅に』のヒットが止まらない。63館超の小規模な公開規模にも関わらず、映画評論家からの絶賛や観客からの口コミが後押しし、興行収入は3億円を突破。上映規模も82館以上に拡大している。年明けにはさらに公開館数が増え、180館にまで届く予定だという。

 そんな『この世界の片隅に』に関しては、公開前から継続的に話題になり続けている問題がある。ご存知の通り、テレビ(特にキー局のテレビ番組)において、主演声優を務めたのんを出演させてのプロモーションがほとんど行われていないという問題である。

 週刊誌から映画専門誌にいたるまで雑誌には大量に露出できている一方、在京キー局のテレビ番組は10月19日に放送された『おはよう日本』(NHK)を除いてはプロモーション出演の機会に恵まれていない。8月には、『この世界の片隅に』の主演声優としてのんの名前が発表された際、『めざましテレビ アクア』(フジテレビ)への出演が告知されたものの、実際の放送に彼女の姿はなかったという騒動も起きている。急きょ出演がなくなった理由は明かされていないが、その裏には、前所属事務所であるレプロエンタテインメントとそのバックにいるバーニングからの圧力があったのではないかと言われている。アニメ映画の声優にタレントや女優がキャスティングされた場合、その知名度を活かしたプロモーションがなされるのが一般的なことを考えると不可解な事態である。

 前事務所から独立した直後には、宮藤官九郎が「週刊文春」(文藝春秋)2016年7月7日掲載の連載コラムにこんなエピソードを書いていたこともある。

〈そう言えばトーク番組で『あまちゃん』の話題になり懐かしい映像が流れたのですが、映像使用の許諾が取れなかったのか、アキ(能年玲奈さん)がワンカットも映ってなかった。代わりに前髪クネ男(勝地涼くん)がガッツリ映ってて笑った。あまちゃんは能年さんの主演作ですよ、念のため〉

 こういった事態は当サイト以外にも複数のメディアが扱っているが、ただ、当事者本人たちが「圧力を受けている」と告発することはない(できない)ため、この映画に関してメディアに圧力がかかっているというのは「陰謀論」なのではないかという声も一部にはある(たとえば、ウェブサイト「J-CASTニュース」は先月15日に「のん「声優」初主演の大ヒットアニメ「この世界の片隅に」の報じられ方」とのタイトルでそういった趣旨の記事を配信している)。

 そんななか、この映画を絶賛している映画評論家の町山智浩氏と、投資家・作家の山本一郎氏との間で、このような「圧力の有無」をめぐって論争が起こった。

 きっかけは、町山氏がツイッターにこのような告発文を投稿したことから始まる。

〈のんこと能年玲奈への旧事務所および音事協の放送メディアへの圧力は「彼女を出演させるな」につきるので『この世界の片隅に』という作品そのものはいくら取り上げてもかまわないのに、テレビが全然扱わないのは単なるビビリの自主規制ですね。〉
〈「タブーなき」といわれるMXですが、大川プロデューサーが『この世界の片隅に』ののんこと能年玲奈を番組に出そうとしたんですが旧事務所から抗議があって断念しました。テレビの片隅のMXくんだりまでマメに圧力ご苦労様です。〉

 これに反応した山本氏は、以下の文章をツイッターに投稿。「抗議」「圧力」といったものはないと主張した。

〈なんの抗議ですか?〉
〈MXにも事務所にも確認取りましたが、圧力が事務所からかかった事実確認は取れませんでした。本当に大川Pがそれを仰ったんですか?〉

 そして、ツイッターを介して2人の間で「圧力」に関する論争が始まる。町山氏はこういった事例はMXだけに起きていることではなく、TBSラジオにのんが出演した後に「二度と出すな」との警告があったとの証言も当事者から受けているし、実際、MXに対してそのような「圧力」があった証拠となるものも持っていると主張。一方、山本氏の意見はこのようなものであった。

〈MXからは、東京テアトルから営業があり、映画の宣伝を依頼されるにあたり、能年玲奈の出演の件になったので、レプロ担当者と話し合いを持ち、契約問題についての事実関係を確認して、それであれば出演は問題が落ち着くまで見送るという結論になったと言っています。〉
〈MXもレプロも抗議をした、圧力をかけたという認識は全くなく、大川Pが誤解したか、貴殿が勘違いしたかという事情ではないかと思いますが、MXが事務所からの抗議の事実関係を否定し、大川さんもそうは言っていないそうなので、再度ご確認ください。〉

 山本氏は以上のような経緯から「圧力」はなかったとしているが、考えるまでもなくこれ自体が立派な「圧力」そのものである。第一、もはや彼女とレプロはなんの関係もないのに(レプロ側はまだ契約は続いていると主張しているが)、出演に際して前に所属していた事務所の担当者と話し合いの場が設けられている時点でもうおかしい。

 ひとまとめに「圧力」というが、それは「あのタレント使ったらお前の番組潰すぞ!」などと直接的な脅しをかける行為だけを指す訳ではない。山本氏はそういったものだけを「圧力」と認識しているのだろうが、周知の通り「圧力」というのはそんなにわかりやすいものではない。それこそ、やんわりと懐柔してくるケースもあれば、裏から嫌がらせを加えることでプレッシャーを与えてくるケースもある。

 しかも、バーニングの場合は長年の芸能界支配によって、テレビ局との関係は完全に一体化している。バーニング側から一言も発しなくても、メディア側がお伺いをたてたり、状況を「忖度」することで、バーニングが干し上げると決めたタレントへの出演オファーは自主的にしないという体制ができあがってしまっているのだ。

 ジャーナリストの津田大介氏は一連のやり取りを見て、ツイッターにこのように綴った。

〈町山さんが言うようにまさにこれこそが「圧力」では。「この進言は御社のリスク回避のためです」って言えば、テレビ局側も「あくまでリスク回避のための自主規制であって圧力に屈したわけじゃない」という形で面目が立つ。でも、動いた当事者からすればそれは忖度の名を借りた「圧力」と映るわけで。〉
〈あまり突っ込んでる人いないけどこれが事実として、本来は現事務所とMXが交渉すれば済む話がなぜ前事務所とMX間で「話し合い」をしているかだよな。MX側からレプロにお伺い立てたのか出演知った前事務所からのクレームでセットされたかでも違う。〉
〈少なくとも僕は町山さん以外にも彼女を民放の番組に出演させようと動いた当事者何人か知っていて皆番組側は乗り気だったけど上の判断で止められたと聞いてます。「圧力をかけたという話が聞こえない」ことは「忖度含めた自主規制がない」とイコールではないですよね。〉

「圧力」というものは、暴言や暴力などの直接的な「力」を伴うものだけを指すのではない。「逆らえば面倒なことが起きる」という認識さえ相手に植え付けてしまえば、後は「進言」に近いような穏やかな言葉でも十分に相手を屈服させることができるし、もっと言えば、相手から勝手に空気を読んで自分の思い通りの行動を取らせることもできる。本稿の趣旨とはずれるので深くは述べないが、この「バーニング」の部分に「政権与党」という言葉を代入しても、まったく同じ構図が成り立つのはご存知の通りである。

 山本氏もそんなことは十分承知のはずで、なぜ今回、「圧力がない」なんてことを言い出したのか理解に苦しむが、それはともかく、映画のヒットをきっかけに少しずつ状況は変わりつつあるのかもしれない。

 5日に放送された『あさイチ』(NHK)では、「ヒット映画の秘密」という特集のなかで『この世界の片隅に』を大々的にピックアップ。映画の内容のみならず、クラウドファンディングを用いて資金を集めた過程などの制作秘話を紹介していた。また、のん本人の出演こそなかったものの、彼女の写真を映しつつアナウンサーが「自然な演技が評判です」と説明し、コーナー終わりには井ノ原快彦による「のんちゃんがいいんですよね、声がね。メチャクチャ良かった」との絶賛の声を放送していた。

 映画に対する圧倒的な評価と、それに後押しされた興行成績が旧態依然とした芸能界の論理をほんの少しだけつき崩したワンシーンと言えるかもしれない。他の番組、他の放送局も後に続いてくれることを切に願う。
(編集部)

最終更新:2017.11.12 01:57

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