年末特別企画 リテラの2014年振り返り

メディアタブー大賞発表!2014年、マスコミは何を恐れ、何を隠蔽したのか?

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左『ディズニーリゾート150の秘密』(新潮社) 中 朝日新聞「慰安婦問題」報道(イメージ画像は「朝日新聞」8月5日朝刊より) 右『原発広告』(亜紀書房)


 2014年も残すところあと少し。この1週間、テレビや雑誌などでは今年1年を振り返る企画であふれていたが、大きく扱われるのはSTAP細胞や佐村河内守のゴースト問題、号泣議員騒動といった同じ話題ばかり。だが、それは彼らにとって差し障りのない安全なネタがそういうものしかないからだ。

 実際はテレビや新聞、雑誌などのメディアが、意図して「伝えていない」話題は山ほどある。本サイト・リテラでは、7月のオープン以来一貫して“大手マスコミが報じない”問題を追及。既存メディアが抱える“タブー”を暴いてきた。

 はたしてこの1年、メディアは何を隠蔽し、何を恐れ、何に凍りついてきたのか。2014年のメディアタブー大賞、1位から順番にベスト10を発表しよう。


★1位★ 戦前か!朝日問題を機に幅を利かせ始めた「日本人の誇り」圧力

 大賞は文句なし、今年後半の朝日新聞バッシングがつくりだしたタブーだろう。朝日の誤報を冷静に分析すれば、読売、産経はじめあらゆるメディアが犯しているものと同じレベルにすぎないことはすぐわかる。国際社会の性奴隷批判も朝日の誤報とはほとんど関係がない。にもかかわらず、朝日バッシングがここまで広がりを見せたのは、朝日憎しの安倍首相と官邸が、侵略戦争を肯定したい歴史修正主義勢力と手を組み、朝日叩きを商売に利用したいメディアを使って大キャンペーンを仕掛けたからだった。
 ところが、こうした指摘をしたのは我々リテラと「ニューヨークタイムズ」「ワシントンポスト」「ロサンゼルスタイムズ」といった海外メディアのみ。日本のメディアは右派にかぎらずありとあらゆる新聞、週刊誌、テレビが朝日叩きの風潮に乗っかり、「朝日は責任をとれ」の大合唱を始めた。逆に、朝日バッシングの風潮に少しでも異を唱えると、「日本人の誇りを傷つけた朝日をかばうのか」と集中砲火を浴びる、戦前と見まがうばかりの言論状況がつくりだされてしまったのだ。
 しかも、そのタブー化は慰安婦問題そのものにまで広がった。吉田調書が虚偽だったことを利用して、すべての慰安婦が自らの意志で売春婦になったかのようなデマがばらまかれ、軍の関与や性的虐待の事実を指摘すること自体がタブーになった。慰安婦について触れたとたん、「売国奴」「反日」「韓国人」「非国民」という罵倒、そして「日本人の誇りを傷つけるようなことをなぜいうのか」というお決まりの台詞が返ってくる。
 とくに、安倍首相から右派知識人、そしてネトウヨまでが好んで口にするこの「日本人の誇りを傷つけるのか」という言葉は、今、反対意見を封じ込める最大の武器として機能するようになった。「日本人の誇り」が侵略戦争の肯定とはなんの関係もないこと、そして実際にやったことをなかったことにしてもその誇りは守れないことなど、考えればすぐにわかりそうなものだが、彼らにそんな理屈は通用しない。戦争に反対し、過去の犯罪を反省するだけで、連中は「日本人の誇りを傷つけた」と喚き立てる。
 そして、メディアも安倍首相に引きずられるように「日本人の誇り」という言葉をやたら口にするようになった。
 おそらくこれから先、ありとあらゆる局面でこの言葉が使われ、そのたびに国民が国家のために命を捧げる体制づくりが進んでいくだろう。すでに、この国は「戦前」に入っている。そういうことらしい。

★2位★ 「文春」までが…作家タブーここに極まる!百田尚樹『殉愛』騒動

 出版社が作家の批判やスキャンダルに触れることができないというのはわかっていたが、改めてそのタブーの強固さを思い知らされたのが、百田尚樹のノンフィクション『殉愛』をめぐる騒動だった。ネット民の検証に端を発し百田のウソの記述が次々に明らかとなったが、やしきたかじんという関西大物芸人に絡んだ一大スキャンダルにもかかわらず、いつもは喜んで飛びつく週刊誌メディア、テレビのワイドショーはこれを完全に無視。最近になってようやく「週刊朝日」「サンデー毎日」「女性自身」などが疑惑の追及をはじめたが、逆に「週刊文春」「週刊新潮」「FRIDAY」「FLASH」「WiLL」といったメディアは百田およびたかじんの妻・さくら夫人の擁護にまわった。擁護派は、百田の版権を抱える出版社、もしくは関係の深い編集者がいるメディアばかりだ。
 たしかにこれまでも作家タブーにより、数々のスキャンダルが闇に葬られてきた。しかし、ここまで強固なタブー化は前代未聞。とくに「文春」の弱腰には驚かされた。
 たしかに、「文春」は15年1月1・8日号から、百田の小説連載が始まった。だが、一方で、同誌はたかじんの訃報後からさくら夫人批判する論調で記事にしており、『殉愛』では百田から「(文春の記事は)捏造」とまで書かれている。本来ならプライドを賭けて「捏造はどっちだ」と反証するべきところだろう。ところが「文春」は沈黙。挙げ句、百田の疑惑への言い訳手記を掲載するという行動に出た。
 じつは「文春」はもっと前の段階で、百田の軍門に下っていたようだ。「宝島」2015年2月号によると、今年8月に「文春」はたかじんの娘の手記を掲載する予定でいたという。が、事実確認のために取材班がさくら夫人を直撃したところ、その後、取材班は編集部から取材のストップがかかってしまう。さくら夫人が百田に依頼し、百田が「文春」に直接電話をかけ、記事を潰したというのだ(百田は否定)。
 あの文春が「捏造」と罵られ、「WiLL」に掲載されたさくら夫人の手記で“文春を訴える”とまで言われても、ヨイショしかできない……作家タブー恐るべし、である。


★3位★ 天皇であろうと護憲発言はNG! 安倍政権が封殺する憲法問題

 7月の集団的自衛権行使容認の閣議決定、そして総選挙の自民党圧勝を経て、いよいよ憲法改正に向けて本格的に動き出した安倍首相。それに追随するようにテレビでは護憲派の意見を紹介することさえがタブー化している。その姿勢は、よりにもよって公共放送局であるNHKに顕著だ。
 たとえば、今月12月に亡くなった菅原文太の訃報で、 NHKは夫人が発表したコメントの〈日本が再び戦争をしないという願いが立ち枯れ、荒野に戻ってしまわないよう、共に声を上げること〉というくだりを丸々編集でカット。さらには同じく今月3日に『ゆうどき』に生出演した俳優・宝田明が「戦争を起こしてはいけないというメッセージを発信し続けたい」「無辜の民が無残に殺されることがあってはいけない。間違った選択をしないよう、国民は選挙を通じて、そうでない方向の人を選ぶ(べき)」とごく当然の発言をしたあとも、NHKの山本哲也アナウンサーは大慌てで「各自それぞれが思うことがあるでしょう。いろいろな考え方もありますから」と宝田の意思を遮るようにまとめた。

 しかし、もっとも象徴的なのは、天皇・皇后の“護憲”発言だ。昨年、天皇誕生日での会見で「戦後、連合国軍の占領下にあった日本は、平和と民主主義を、守るべき大切なものとして、日本国憲法を作り、様々な改革を行って、今日の日本を築きました」と発言したことをNHKがカットして放送した事件が起こったが、その後も天皇・皇后は護憲発言を度々発表。だが、マスコミはこうした発言をほとんど取り上げないのだ。
 護憲を口にすれば、天皇・皇后であろうと許さない安倍政権と、その犬であるマスゴミ。当たり前の話だが、すべての基本は現行憲法にあり、天皇はもちろん、政治家などの国家権力者には憲法を守る義務がある。総選挙前に安倍政権は各テレビ局に「公平中立」という名の圧力をかけたが、政権に対してこうした原則へのツッコミもできないまま、マスコミは言論・表現・報道の自由という砦さえ自らの手で崩そうとしているのだ。


★4位★ 夢の国はタブーだらけ! メディアが取り上げないディズニーランド不祥事

 昨年、世間を賑わせた阪急阪神ホテルズの食品偽装問題。マスコミはこぞって批判を繰り広げたが、今年5月に発覚したある企業の問題には追及の手を引っ込め、なかったことにした。そう、夢の国・ディズニーランドの食品偽装問題だ。
 偽装を認めず「誤表示」と説明した阪急阪神ホテルズをマスコミは袋だたきにしたが、対して同じように「表記に誤りがありました」と対応したディズニーには責任追及は一切なし。謝罪会見さえ行われることなく、結果、偽装問題は産経新聞がほんの少し報じただけ。ディズニーの対応の杜撰さが大きく報じられれば世間も黙ってはいなかっただろうが、追及するメディアがないために話題にさえならなかったのだ。
 さらに、今年は東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドから解雇された従業員(キャスト)がオリエンタルランド・ユニオンを結成し、夢の国のイメージからかけ離れた「ブラック」なバイト労働の実態を告発。本サイトでも「ディズニーランド「ブラック労働」をごまかすための“洗脳”人材教育」「殴られても笑顔!? ディズニーがバイトに強いる恐怖のホスピタリティ」「ディズニーのホスピタリティの正体は千葉のヤンキー文化だった!?」といった記事で、ディズニーのブラックな企業体質を批判したが、こうした労働実態を取り上げた大手マスコミは皆無だった。
 なぜ、マスコミはディズニー問題に触れられないのか。そこにはディズニーがマスコミにとってタブーとなっている背景がある。民放テレビ局や雑誌を抱える出版社にとってディズニーは大広告主。さらにディズニーはマスコミ関係者に向けて「フリーパス」「マスコミプレビュー」「アニバーサルにご家族全員特別ご招待」といったエサもばらまいている。他方で、ディズニーは写真使用の版権や原稿チェックを厳しく行い、マスコミをコントロール。アメとムチを使い分け、メディアを手なずけているのが実態だ。
 利害のない企業は徹底的に叩き、利益を与えてくれる企業にはダンマリを決め込む。こんな体たらくで報道機関を名乗る資格はあるのだろうか。

★5位★ 原発タブー完全復活! 報道されなくなった原発の危険性と不祥事

 原発再稼働を掲げた安倍政権とともに完全に息を吹き返した原発タブー。いまや、ほとんどの新聞、テレビで原発批判はタブーになってしまった。原発に関する批判や不正、放射能などによる健康被害を報道するのは全国紙では朝日と毎日、テレビでは「報道ステーション」だけ。その結果、どんな危険な実態や悪質な不正が明らかになってもなんの追及もされずに、フェードアウトしてしまう。
 たとえば、今年7月、元関西電力副社長の内藤千百里氏が、歴代首相に毎年2000万円もの裏金を手渡していたという事実を朝日新聞が暴露したが、この朝日のスクープを後追いするメディアは皆無。他の大手新聞各社はもちろん、テレビや週刊誌、大手ネットニュースなどもスルーだった。
 また、福島県南相馬市などでは、住民が帰還しているにもかかわらず、今も10マイクロシーベルト以上という恐ろしく高い線量の場所があることも判明。除染が進んでいないどころか、膨大な予算が投入されている除染が利権と不正の温床と化している実態も明らかになっている。ところが、この事実も新聞やテレビではほとんど報道されていないのだ。
 健康被害についても同様だ。福島県の調査では甲状腺がんと確認、あるいは疑いありとされた子どもが100人を上回るという衝撃的な結果が出たほか、さまざまな健康被害の情報が流れているが新聞やテレビは黙殺。それどころかネットなどではこうした情報を紹介しただけで「放射脳」というレッテル貼りをされ、トンデモ扱いされる始末だ。
 こうした背景にはもちろん、安倍政権=官邸からの圧力がある。原発の危険性を指摘するだけで、即座に「偏向ではないか」という圧力が加わるのだ。実際、川内原発の再稼働決定に際して、『報道ステーション』(テレビ朝日系)が原子力規制委員会の「火山活動の影響が及ばない」という判定を追及したところ、田中俊一委員長の官僚的な受け答えを編集で強調しただけで、規制委から抗議を受け、社長が謝罪。BPO審議対象になるという事態も起きている。
 さらに、こうしたメディアの原発への弱腰の裏には電力会社の広告、PR攻勢が再開されたということもあるようだ。新聞や雑誌には原発広告が並び、再稼働に向けた推進活動が活発になってきている。あの東京電力までが原発事故後から封印していたマスコットキャラクター「でんこちゃん」のFacebookページを開設した。
 電力会社が新聞やテレビ、雑誌に膨大な広告費を投入し、対するメディアが原発に批判的な論調をシャットアウトしてきた事実は、福島の原発事故後さんざん批判されたはず。なのに、またカネに目がくらんでマスコミは再稼働に疑義を呈することもなく、不都合な真実を隠そうとしている。根っからマスコミは腐っているとしか言いようがない。

★6位★ 広告攻勢と流通掌握で最強のタブーとなったセブン-イレブン

 投入される広告費によってメディアが企業に物が言えなくなる例は、ディズニーや東電だけに限った話ではもちろんない。その力を強めている一例が、コンビニエンスストア業界最大手のセブン-イレブン・ジャパンだ。524億円という広告宣伝費(2014年2月期)がマスコミに落とされているだけでなく、セブンは新聞・雑誌の重要な販売網。原発批判をタブー視しないラジオでさえも「セブン批判はNG」となるほどの影響力をもっている。
 よって、一方的なフランチャイズ契約の実態や、加盟店オーナーの自殺、24時間営業の過酷な就労状態などといったブラック企業体質は、ほとんど報道されることはない。
 たとえば、今年10月15日にはセブンイレブン本社がチェーン店独自の販売方法を妨害したという裁判でセブンの敗訴判決が下っているが、日経新聞の翌日の朝刊はそのニュースに一切ふれず、かわりに「セブンイレブン 高知進出」という記事を掲載した。
 また、2013年にはブラック企業体質が指摘されていたセブンイレブンの鈴木敏文会長の次男の会社で新入社員が飛び降り自殺するという不祥事が起き「週刊現代」(講談社)「週刊新潮」(新潮社)が取材を進めていたが、記事掲載がストップするということも起きている。
 しかも、セブンイレブンはじめコンビニチェーンは、たとえば自社のCMに出演しているタレントなど、自社以外の報道についても圧力をかけて記事潰しを行っているという。
 コンビニチェーンというのはメディアにとって想像以上に巨大なタブーであるようだ。


★7位★ 安倍首相夫人の本も握りつぶす! 今年もバーニングタブーは健在

 芸能界のタブーのひとつに“芸能界のドン”周防郁雄氏が率いるバーニングプロダクションの存在がある。そして今年のバーニングタブーは、なんといっても安倍首相の妻・昭恵夫人の出版延期騒動だろう。
 じつは昭恵夫人が書いた安倍首相にかんするエッセイ集が、安倍首相とも昵懇の仲といわれる見城徹社長の幻冬舎から発売される予定だったのだが、これが白紙状態に。何かまずい記述でもあったのかと思いきや、周防社長の右腕的存在であるケイダッシュ・谷口元一氏からストーカー被害を受けたとして訴訟を起こしている吉松育美氏の告発を昭恵夫人が支援していたことがその理由だった。時の首相夫人でさえバーニングに握り潰されるとは、あらためてその力の強力さを感じさせる事件となった。
 ちなみに、前述した『殉愛』問題でも、百田にはバーニングの後ろ盾があるのではと囁かれている。たかじん利権と関係のないキー局のワイドショーがこの騒動に手出ししない理由はここにもあるのだろう。

★8位★ネトウヨに脅えて…韓流もヘイトスピーチも「知らぬ存ぜぬ」のマスコミ

在特会をはじめとするヘイト・ネトウヨの抗議行動、そして社会に広がる嫌韓ブームの影響で、テレビ局ではすっかり「韓流」がタブーになってしまった。一時はあんなに大量に放映されていた韓流ドラマを大幅に減らし、韓流スターやK-POPアイドルたちを歌番組やCMから排除してしまった。
 いや、それだけではない。関根麻理がK-POPシンガーと結婚したとたん「ZIP!」(日本テレビ)の司会をおろされたように、最近のテレビでは出演者が韓国に対して友好的な言動をすること自体がタブーになっているという。
 もちろん、テレビでは、こうしたタブーをつくりだしているヘイト集団などの問題にもふれることはできない。ヘイトスピーチ規制問題がいくら論議の対象になっても、安倍内閣の閣僚とヘイト団体幹部の親密な関係がネットで盛り上がっても一切スルー。おそらくこれは、政権への配慮があるのはもちろんだが、ネトウヨからの抗議がこわいのである。
 それでいて、セウォル号沈没事件や大韓航空のナッツリターン騒動などは視聴率が見込めるため、国内ニュース以上の時間を割いて取り上げる。韓国の問題点をあげつらい、韓国を見下し、国民の嫌韓ムードを醸成させる。
 そういう意味ではテレビ局の態度はまさに無自覚な「差別者」。かつては差別される側への過剰な配慮で「在日問題」などをタブー視していたテレビ局が今度は「差別」する側にひきずられて、韓国をタブー視しているのだ。
 これで、アメリカの黒人差別事件をしたり顔で批判しているのだから、開いた口がふさがらない。


★9位★ メディアが恐れる宗教タブーは創価学会より幸福の科学とワールドメイト!?

 ネット上では、メディアのタブーというと創価学会の名が必ず上がるが、最近の勢力図から見るとこれはハズレ。マスコミにとっていまもっともタブーとなっているのは、創価学会ではなく「幸福の科学」と「ワールドメイト」だ。そしてタブー化した原因は両方とも同じで、“広告出稿量”と“訴訟リスク”にある。
 たとえば広告出稿量でいえば、幸福の科学は幸福の科学出版から怒濤の勢いで出版されつづけている大川隆法氏の霊言本や関連本の広告を5大新聞のほかスポーツニッポンや日刊スポーツ、東京スポーツ、日刊ゲンダイなどにも出稿。一方、ワールドメイトは、リーダーである深見東州氏が設立したたちばな出版より刊行されている書籍や、深見氏のクリスマスディナーショー、スポーツサミットの広告を、やはり5大新聞をはじめスポーツ紙などに出稿。どの新聞社も広告収入が激減するなか、幸福の科学とワールドメイトは“ありがたいスポンサー”となっているのだ。特定の宗教団体と関係をもつことは新聞社にあるまじき行為だが、新聞社は「あくまで広告だから」と言い訳する。
 また、新聞社だけでなく出版社やテレビ局にとってもこの2つの宗教団体の問題を扱いづらいのは、ともに訴訟を起こされる可能性が高いからだ。過去にさかのぼれば、1991年に「FRIDAY」「週刊現代」が掲載した幸福の科学への批判記事に対し、複数の訴訟が立てつづけに発生。ワールドメイトもまた、講談社や新潮社、文藝春秋、小学館、岩波書店、毎日新聞社、日本テレビなどを訴えてきた過去がある。
 触らぬ神に祟りなし、とはこのことか。

★10位★ ジャニーズ支配は今年も健在。一方、AKBはタブーが破られる?

 前述したバーニングとともに芸能界のタブーとして知られるのが、ジャニーズ事務所と新興勢力であるAKB48グループ。ジャニーズでいえば、今年10月に山下智久がトラブルとなった一般人の携帯電話を奪い去った事件によって警視庁麻布署に書類送検されたが、ワイドショーやスポーツ紙などのジャニーズ御用メディアは完全無視。ニュースでさえ書類送検のことを「捜査書類を送付」と妙な表現に言い換えて伝えるというジャニーズへの気遣いを見せた。他方、AKBも今年はメンバーの恋愛スキャンダルが「週刊文春」によって数々と暴露されたが、もっともダメージが大きかったのは握手会での暴行事件。これにより一時は握手会の存続も危ぶまれたが、AKBの運営であるAKSは批判を封じるためにスポーツ紙の担当記者に擁護記事を書かせるべく、その論調までをもレクチャー。この情報誘導によって生命線である握手会を再開させた。
 だが、AKBに関しては、ここにきてメディアに対する威力が衰え気味。ジャニーズ同様、カレンダーや写真集などの“利権”を各社に分配することでメディアを支配してきたが、肝心の売り上げが伸び悩み、メディアがAKBからの手の引き際を考えはじめつつあるのだ。はたして来年は、「文春」以外もAKBスキャンダルに参戦するのか、注視したい。

 ざっと振り返っただけでこの量になってしまったが、いかがだっただろうか。企業タブーに芸能タブー、作家タブー、宗教タブー、そして憲法や原発再稼働問題にかかる政権批判タブー……今年もメディアはタブーだらけだったことがおわかりいただけたかと思う。まさしく暗澹たる状況で、新年を前にため息が洩れてしまいそうだ。

 しかし、このような腰砕けの大手マスコミに代わって、本サイトは引きつづきタブーのないサイトづくりを行っていく所存だ。もちろん、今回のようにメディアのタブーもどんどん監視していくつもりなので、どうか来年も愛読していただきたい。
(編集部)

最終更新:2014.12.31 11:16

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タブーの正体!: マスコミが「あのこと」に触れない理由 (ちくま新書)

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