DMMニュースがジャニーズ記事を全削除! ネットニュースにも広がるタブー

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次々と飲み込まれていくネットニュース、DMMのウラには山Pとの…(左・DMMニューストップページより)


「アガるニュース」を毎日無料配信──このような謳い文句で昨年9月にオープンしたニュースサイト・DMMニュース。エンタメにカルチャー、社会に海外、マネーなど、扱うジャンルは多岐にわたるが、なかでも人気を集めているのが芸能ニュースのようで、ランキングには「日テレ・内定取り消し女子アナは腫れ物扱い?報道もバラエティも「要らない」の大合唱」「【偽セレブ?】マリエ“借金6500万円”の危ない私生活」「【医師たちのリアル恋愛事情】西川史子も…女医が「非医師」の男を選ぶワケ」などといった記事が並んでいる(5月8日現在)。

 そんななかでもとくに人気を誇っているのが、ジャニーズの話題だ。最近も、「元SMAPの肩書で森且行がパチンコ営業…ジャニーズも容認か」(3月4日配信)や「億ションを複数所有…嵐メンバーのハイソな住居事情」(4月7日配信)、「木村佳乃の“芸人化”にジャニーズ事務所が困惑」(4月12日配信)「フジテレビが春の改編で大惨敗「ジャニーズとの蜜月関係解消」も要因か」(4月21日配信)、「関ジャニ∞がCMで披露した女装姿、ネット上に噴出した予想外の反応とは?」(5月2日配信)といった記事を掲載してきた。

 ジャニーズといえばマスコミではスキャンダルを扱うことが「タブー」となっており、週刊誌でさえジャニーズのネガティブネタを打てるのは「週刊文春」(文藝春秋)と「週刊現代」「FRIDAY」(講談社)、「週刊女性」(主婦と生活社)のみ。スポーツ紙では東京スポーツの独壇場、テレビのキー局にいたっては一切取り上げられないという異常な状況だ。そんななかで、雑誌や新聞社系ではないネットニュースは自由にジャニーズネタを報じるメディア。DMMニュースもそのひとつであった。

 が、そんなDMMニュースに異変が起こった。なぜか最近、過去に配信されたジャニーズネタが、見られない状態になったのだ。ポータルサイトに配信された記事はまだ生きているが、直接DMMニュースのサイトにアクセスすると、ジャニーズを扱った記事はすべて「指定されたページは見つかりませんでした。」とデカデカと表示されてしまう。記事が削除されてしまった結果であることはわかるが、なぜ削除したかの説明はない。

 一体、何が起こったのか。事情を知る人間はこう話す。

「じつはDMMグループのCMにジャニーズの山下智久が起用されるんです。まだこの情報は公開されていませんが、じきにオープンになります」

 調べてみると、DMMニュースでは4月12日にも「山下智久にタレント生命の危機「演技が下手すぎる」」と題して、山下主演のドラマ『アルジャーノンに花束を』(TBS系)の演技に対してネット上に寄せられている意見を取り上げ、記事にしている。たんにネットの声を集めただけの記事ではあるが、もちろん、これも現在はサイト上で読むことはできない。

 サイト名からもわかるように、DMMニュースを運営するのはDMM.com。もともとはインディーズのAVを配信するサイトとしてスタートしたが、現在ではアダルト以外のビデオ・オン・デマンドや電子書籍事業、「艦隊これくしょん〜艦これ〜」などのブラウザゲームでも有名で、DMM.com証券などのグループ会社も擁する一大企業に成長。DMMニュースもその事業のひとつとして発足したのだが、今回、グループ内CMで山下を起用することになり、山下だけではなくジャニーズのすべての記事が消えてしまったというのが真相であるようだ。

 ジャニーズ事務所がDMMに対して抗議を行ったのか、あるい自主規制で削除したのか、その詳細はわからない。

 しかし、利害関係になるとネガティブな情報を伝えることができなくなる。これは、ジャニーズがこれまで出版社に対して行ってきたメディア対策と構図は同じだ。ジャニーズは大きな利益を生むジャニーズタレントたちのカレンダー出版権をさまざまな出版社に分配したり、ファッション誌やアイドル誌のグラビアやインタビューに応じることで、その出版社が発行する週刊誌がジャニーズタレントのスキャンダルを扱うことを封じてきた。

 AKBについても同様だ。総選挙やじゃんけん大会のガイドブック、メンバーの連載、グラビアなどの利権をばらまかれて、ほとんどの週刊誌はAKBスキャンダルを報道することができない。

 本来、ニュースを扱うのであれば、こうした圧力を受けない姿勢が大切だが、大企業のなかで独立性を確保するのは難しいうえ、本や雑誌が売れない状況で売れるタレントへの依存度が高まり、タブーはどんどん強固になってきた。 

 そして今、こうしたタブーがネットニュースにまで広がりつつあるということらしい。ネットは圧力もしがらみもない自由なメディアという認識をもたれていたが、結局、配信会社の利害がからむと、報道はできないということなのか。実際、DMMニュースでは、ジャニーズ以外にAKB48関連のネタはタブーのようだ。これはDMM.comが「AKB48グループ LIVE!! ON DEMAND」として、AKBグループの劇場公演を動画配信している関係だという。

 また、他のニュースサイトでも、その影響力が高まるにつれ、芸能事務所から「所属タレントのスキャンダルを扱うな」という抗議や圧力がかかるケースが増え、その結果、いくつかのサイトでは特定の事務所のタレントのゴシップ記事を一切報道できない状況が生まれつつある。

 ネットニュースは、このまま既存メディアと変わらないものになってしまうのか──本サイトも含め、ネットニュースはこれからその真価が問われることになりそうだ。
(時田章広)

最終更新:2015.05.09 12:13

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