五輪汚職の高橋治之に安倍晋三が「捕まらないようにする」と約束した背景 安倍と高橋は親戚、安倍家の自宅購入資金は高橋弟が捻出

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高橋容疑者のコモンズに東京五輪招致委から9億6000万円もの金が流れていた

 しかも、問題は、安倍元首相が招致活動に入れたとされる高橋容疑者がそのあと、やったことだ。招致委スペシャルアドバイザーに就任した高橋容疑者は、各国のIOC委員に対して、安倍元首相から「捕まらないようにする」というお墨付きをもらおうとした理由がよくわかる、きわめてダーティな買収工作を行いはじめた。

 その一端が垣間見えたのが、東京五輪招致委員会から高橋への不透明な金の流れだ。

 フランス司法当局が東京五輪招致をめぐる汚職事件でJOCの竹田会長(当時)の訴追に向けて捜査を開始したと報じられたのが、2019年。その直後、情報誌の「FACTA」が、招致委員会の出入金記録をスクープした。それは、招致委がみずほ銀行に開設した口座の出入金記録だったが、2013年2月から2014年7月までの間、「コモンズ」という会社に、17回にわたって合計約9億6000万円もの金が振り込まれていたことが判明したのだ。

「コモンズ」というのは言うまでもない、今回の東京五輪組織委を舞台にした贈収賄事件の舞台にもなっている高橋容疑者の経営するコンサル会社である。

 この事実について、当時、自分たちも五輪利権に群がっていた日本のマスコミはほとんど無視したが、2020年、ロイター通信が「フランスの司法当局がコモンズへの入金記録を押収し、捜査している」と報道。国際調査報道ジャーナリスト連合も後追いし、高橋氏が招致委から自分のコンサル会社に流れたこの巨額の金を使って、各国のIOC委員に金品をばらまいていた実態が海外で大きな問題になっている。

 この問題については後述するが、とにかくこうした買収工作の結果、2013年9月、東京五輪の招致が決定。その後、組織委が発足して、高橋容疑者が35人目の理事に選ばれるわけだが、これはどう見ても、論功行賞人事だろう。招致における買収工作への貢献の見返りとして、高橋は組織委の理事となり、五輪スポンサーの口利きをする利権を与えられたということではないのか。

 そういう意味では、現在、新聞やテレビが「高橋が組織委理事になった経緯」を問題にしているのは明らかにピント外れで、重要なポイントはもっと前。高橋が招致活動に入り込むようになった経緯と、「文藝春秋」も報じた安倍の関与ではないのか。

 さらに、マスコミの「高橋が組織委理事になった経緯」の報道にはもうひとつ、抜け落ちていることがある。当初、森元喜朗・組織委前会長が高橋の理事就任を決めたと報道。対して、森前会長は「竹田から『どうか』という話があった」と反論しているが、これは森前会長の主張のほうに説得力がある。もちろん最終決定者は会長だった森だろうが、高橋との親しさを考えれば、竹田JOC前会長が言い出し、森前会長が認めて決定したというのが妥当な流れだろう。

 ただ、ここで見落としてはならないのが、組織委の二大巨頭である森前会長と竹田JOC前会長が犬猿の仲で有名だったという事実だ。前出の自民党関係者もこう語る。

「竹田さんが高橋の理事就任を提案したとしても、森さんがすんなり受け入れるとは思えない。森さんが高橋の理事を受け入れたことから、当時は、安倍元首相が森さんに働きかけたんじゃないかという声が上がっていた。安倍さんは、当時の都知事である猪瀬直樹らの反対を押し切って、森さんを五輪組織委の会長にした当事者で、いわば森さんを説得できる唯一の人間だった。これは推測だが、安倍さんが間に立つことで、森さんと高橋の間で何らかの取引が成立していた可能性もある」

 いずれにしても、安倍元首相は東京五輪プロジェクトの最高権力者であり、森氏の組織委会長就任をはじめ、スキームの重要なポイントはすべてその意向が反映されていた。その結果、高橋が招致活動でダーティな買収工作を展開するようになり、開催決定後はスポンサー選定に伴う口利き利権まで手にしてしまったのだ。そういう意味では、今回の東京五輪贈収賄事件の責任の一端が、安倍元首相にあることは間違いないだろう。

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