菅首相の著書改ざんは“都合の悪い記録は残さない”という宣言! 森友・加計、桜、コロナで文書隠蔽を主導してきた過去

2020.10.22 08:30
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菅義偉『政治家の覚悟』(文春新書)文藝春秋 


“菅義偉首相らしい”としか言いようがない。今月20日に文春新書として刊行された菅首相の著書『政治家の覚悟 官僚を動かせ』の改訂版で、公文書管理の重要性を説いた箇所を削除していたという問題だ。

 今回の改訂版で削除された部分で問題になっているのは、東日本大震災に対応した民主党政権下で会議での議事録が作成されていないことが判明した問題についての、こんな一文だ。

〈政府があらゆる記録を克明に残すのは当然で、議事録は最も基本的な資料です。その作成を怠ったことは国民への背信行為であり、歴史的な危機に対処していることへの民主党政権の意識の薄さ、国家を運営しているという責任感のなさが如実に現れています。〉

 国民の誰もが異論のない、まったくのド正論だろう。しかし、菅氏は総理大臣になった途端、『政治家の覚悟』と冠した著書からこの箇所を削除してしまったのである。

 今回、「文春新書」編集部は「特定の文言の削除を意図したものではなく、全体のバランスを考え、編集部の判断で割愛した」などとコメントを出している。民主党政権批判の2章をまるごとカットしていることをもってそう言っているのだろうが、到底の説得力のある説明ではない。しかも著者への相談もなく勝手に「編集部の判断で割愛」することなど、まずありえない。版元は著者との付き合いに対する慎重さやきめ細やかさで有名な、あの天下の文藝春秋である。菅首相側からの要望や同意があって削除したことは明白だ。

 では、なぜ菅首相はこの〈あらゆる記録を克明に残すのは当然で、議事録は最も基本的な資料〉という正論を削除したのか。

 実は、菅首相は安倍政権になってから、この箇所の記述について突っ込まれ、赤っ恥をかいていた。

 加計学園にかんする議事録が問題になっていた2017年8月8日の官房長官会見でのこと。朝日新聞の記者で、その後、新聞労連委員長として活躍(現在は再び朝日新聞記者に復帰)した南彰記者が、菅氏がしたためたこの文章を読み上げた上で「その発言をしていた、本に記されていたのはどなたか、官房長官はご存じでしょうか」と質問。すると、官房長官だった菅氏は「知りません」と返答していたのだ。

 自分が出した本について感想を聞かれ、「まだ読んでない」と答え、ゴーストライターが書いていたことをばらしてしまった松本伊代を彷彿とさせるが、しかし、今回の著書の改訂でその忌々しい過去をなかったことにしようとしたというだけではないはずだ。

 総理となったいま、菅首相が、これから都合の悪い記録は一切残さないと考えていることを証明するものと言っていいだろう。

 実際、菅首相は安倍政権時代、それこそ率先して「議事や面談記録の隠蔽」を推進してきた。

 森友・加計学園問題、公文書改ざんや自衛隊日報隠蔽などを受けて、安倍政権は2018年4月に行政文書の管理に関するガイドラインを改正。〈政策立案や事務及び事業の実施の方針等に影響を及ぼす打合せ等の記録については、文書を作成するものとする〉とした。

 ところが、実態はまったく違っていた。ガイドライン改正後に毎日新聞が安倍首相と省庁の幹部らの面談議事録や説明資料などの記録を官邸に情報公開請求したところ、すべてが「不存在」という回答が返ってきたのである。

 ガイドライン改正から2019年1月末までのあいだに首相動静で記録されている安倍首相の面談は、約1000件だ。しかし、官邸の文書を管理する内閣総務官は〈いずれの記録も「存在しない」と回答〉。首相の議事録などの記録がつくられているのかどうか、それさえ不明の状態だったが、さらなる取材によって、そもそも面談の記録を官邸では作成していないことが判明。官邸は「(記録は)官庁側の責任で作るべきものだ」と主張したというが、一方の相手官庁側がきちんと作成して情報開示しているというわけではない。

 なかでもひどかったのが、菅首相が当時、官房長官として率いていた内閣官房だ。内閣官房は安重要政策や災害・テロ対策などを担う立場だが、毎日新聞がおこなった情報開示請求に対し、「外国人材の受け入れ」「西日本豪雨」「台風21号」などにかんする安倍首相と内閣官房幹部の面談時の説明資料計47件を開示したが、打ち合わせ記録は〈47件中1件もない〉と回答したのだ。

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