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横田一「ニッポン抑圧と腐敗の現場」66
都立墨東病院の院内感染による医療危機は小池百合子都知事の責任だ! 医療マスク欠乏を隠蔽し「マスク確保」と大嘘
「新型コロナウイルスの感染拡大で、医療崩壊がすでに始まっている。特に救命救急医療が圧迫されています。心臓外科でいえば、急性大動脈乖離や急性心筋梗塞になったら、通常なら救命手術で救える命も、コロナウイルス感染への対応で手が取られ、救えない事態に陥っているのです」
こう話すのは、岡江久美子さんのかかりつけ医だった心臓外科医の南淵明宏氏(昭和大学横浜市北部病院循環器センター長 注1)。「訃報は本当にショックだった」と話す南淵氏は、「新型コロナウイルスに感染すると、直前まで元気だった人が突然死の淵に追いやられる! それほど怖い病気だ」と強調した上で、医療現場の危機的状況についてこう続けた。
「新規の救急患者の受け入れは、2つの意味で負担増になります。1つは、多くの医療スタッフが夜通しで手術するようなことになるし、もう1つはコロナに感染しているのかどうか分からないので院内感染のリスクもあることです。普段から救急患者は病院側のキャパシティいっぱいのところで対応してきました。どこの病院も同じだと思います。そこにコロナウイルス感染やその疑い、あるいはまったく症状がない、つまり疑いがなくても実際は感染していた、という患者が来院されているのです。
ある産婦人科で出産をした母親が感染していることが分かって、病院全体に衝撃が走りました。担当した医者や看護師全員が濃厚接触者になるので、すぐにPCR検査をして自宅待機を強いられた。1人の潜在的な感染者を受入れることで、その病院の全科で診療ストップという事態になりかねないのです。
岩手県の県立病院が帰省中の妊婦の受け入れを拒否したと報じられましたが、日本中の病院が『新規の患者は基本的に拒否する』という事態に陥ってしまっても仕方がないと思います。大病院だけでなく、歯科医も『新しい患者は診ない』という同じ対応をしているようです」
医療現場が危機的状況に陥る中、都庁のライトアップで医療従事者にエールを送るなどのパフォーマンス(口先対策)は得意だが、医療崩壊を食い止める職務遂行が不十分なのが小池百合子東京都知事だ。
多くの新型コロナウィルス感染者を受入れてきた感染症指定医療機関で、三次救急医療(重症~危篤)も担ってきた「都立墨東病院」(墨田区)が4月21日、救命救急を一部停止した。同病院のHPによると、「救命救急センターを含め、新規入院患者の受け入れを中止」「ER、周産期治療、小児救急患者は、一部受け入れを制限」「手術を原則として制限」「新規外来患者の受入を原則として中止」となっている(5月9日現在も表示継続)。
都民の命綱となってきた病院の機能が院内集団感染で危機状態に追い込まれているのだ。
同病院の厳しい状況についてツイッタ―でいち早く発信していた医療ジャーナリストの伊藤隼也氏は、「1ヶ月以上前からマスク枯渇訴えていた」「都は見殺しにした」(4月18日のツイッタ―)と指摘した。
同病院では医療用マスクが枯渇寸前で、「1日1枚」にマスクの使用を制限する内部通知が出されていた。3月2日の参院予算委員会で福山氏は、この内部通知を配布した上で加藤勝信厚労大臣らを追及したが、マスク不足は改善されることはなかったというのだ。伊藤氏は翌19日に以下のようにツイートしたのはこのためだ。
「こんな体制で1ヶ月も続ければ(筆者注:墨東病院で)院内感染が出ないわけがない。国会で福山議員がオリンピック病院(筆者注:墨東病院はオリンピック病院に選定されている)の窮状と加藤厚労大臣に、この写真(筆者注:先の内部通知の画像)を見せてマスク不足解消を迫ったが、全マスコミは墨東病院の窮状と東京都のマスク不足無しという大嘘を看過した」
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