『ヒロアカ』騒動で集英社がお詫びも、ネトウヨが「731部隊は捏造なのに」と妄言! ならば突きつけよう、“人体実験”の証言

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『ヒロアカ』騒動で集英社がお詫びも、ネトウヨが「731部隊は捏造なのに」と妄言! ならば突きつけよう、人体実験の証言の画像1
発端となった『僕のヒーローアカデミア』(集英社公式HPより)


「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の漫画『僕のヒーローアカデミア』(作・堀越耕平)に登場するキャラクターの名前が、細菌兵器の開発や人体実験を行なっていた日本軍の「731部隊」を彷彿させるとして、SNSで批判が集まった問題。『ヒロアカ』との愛称で知られる本作はアニメ化もされた人気作で、海外ファンも多いという。

 念のため振り返っておくと、3日発売の「ジャンプ」2020年10号掲載『ヒロアカ』最新話のなかで、改造人間を生み出す総合病院の創設者という設定の「志賀丸太」なる名称のキャラクターが登場したのだが、これが、731部隊で殺害や人体実験の対象にした捕虜を呼ぶ隠語になっていた「丸太」「マルタ」を思い起こさせるとして、SNS上で主に海外から強い批判が出た。

 これらを受けて、まず3日に「週刊少年ジャンプ」の公式サイトなどに編集部名義で〈週刊少年ジャンプ10号(2月3日発売)『僕のヒーローアカデミア』の登場人物「志賀丸太」について、その名前が「過去の史実を想起させる」とのご指摘がありました。命名に当たり、作者や編集部にそのような意図はありません。しかしながら、無関係の史実と作品を重ね合わせられることは本意ではないため、作者と相談の上、コミックス収録時に当該人物の名前を変更することにいたしました。〉と、キャラクターの名前の変更を告知。

 さらに7日には、集英社の公式サイトなどに集英社として日本語のほか複数言語へ翻訳した詳細な「お詫び」文を発表。〈「志賀(しが)」は他の登場人物名の一部から、「丸太(まるた)」はその外見から命名したもので、過去の歴史と重ね合わせる意図は全くありませんでした〉と釈明したうえで、〈しかしながら、「悪の組織の医師」というキャラクターの設定とこれらの名前が合わさった結果、中国をはじめとする海外の読者の皆様に不快な思いをさせてしまいました。事前に編集部が表現について十全な検討を行うべきでした〉と述べた。「志賀丸太」のキャラクター名は、コミックス収録時や電子版にて変更するという。

 作者の堀越耕平も、キャラクターの名称について〈いずれも偶然で、読者のみなさんを傷つける意図は全くありませんでした〉としつつ、〈大勢の方に大変不快な思いをさせてしまい、誠に申し訳ございません〉〈今後、二度とこのようなことを繰り返さぬよう、努めてまいります〉とお詫びした。

 しかし、日本国内のネットやSNSでは、3日に集英社が名前変更を告知した直後から、731部隊を想起させるという抗議の声とそれに対応した集英社に対して、非難が殺到した。〈日本には表現の自由がある〉〈難癖だろ〉〈今一番好きなアニメのヒロアカが韓国中国に攻撃されているのに頭きてる〉〈名前を変えさせた集英社にがっかり〉〈突っぱねればいいのにヒロアカの作者も集英社もアホだろ〉〈謝るべきではなかった〉、さらには〈そもそも731部隊も人体実験も捏造なのに〉という声まで……。

 だが、これらの非難は明らかに的外れだ。たとえば、欧米でナチスやホロコーストを彷彿とさせるデザインや名称が無闇に表現物に使われれば批判される。一般論として、戦争犯罪や民族浄化、あるいは大量殺戮等にちなむキャラクターが議論を呼ぶのは、いたって自然なことだ。

 しかも、今回は「丸太=731部隊のマルタ」と見なされたのは、単に読み方が同じだっただけでなく、当該キャラクターの設定が「改造人間をつくる医師」であったことが要因だ。つまり、731部隊を想起させる加害者側の名前に、被害者を指し示す隠語を使うという転倒を用いていたのだ。

 仮にこれが、表現とその他の自由や権利がぶつかる「表現の自由」の問題であるならば、制作者側は表現の意図を説明し、理解を求めるなりなんなりすればよい。たとえば、ナチを描く作品が適切かは、単に「ヒトラー」を登場させたかどうかではなく、その内容や文脈による。しかし、今回の『ヒロアカ』には批評性も必然性もない。そのことは、今回、制作者が「過去の歴史と重ね合わせる意図は全くなかった」としてキャラクター名をあっさり変更したことからも明らかだろう。

 つまるところ、今回の『ヒロアカ』をめぐる騒動は「表現の自由」の問題ではなく「想定の甘さ」と考えるべきで、現に制作者側がそうした認識を示している。むしろ、集英社が公式に〈今後、このような事態を起こさないよう、様々な歴史と文化への理解を深める努力を続ける〉(「お詫び」より)と明言し、負の歴史にかかる議論をうやむやにしなかったことを評価すべきではないのか。

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